気づかせていただくということ

スタートアップの経営はエキサイティングであるが、本当に日々多くの学びがある。

今週は友人でもあり最も信頼している経営パートナーと時間を過ごすことが多かった。

彼とは出会ってから15年近くになり、一緒にビジネスをするようになってから10年になる。その間、当然であるがスタートアップらしい様々な出来事があり、都度共に乗り越えてきた。

私より年下ではあるがとても尊敬のできるパートナーである。

そんな彼から今週はいくつかの「気づき」を与えていただいた。

1つ目は時間の使い方について。

私は複数の企業の経営に携わっている。その中でも2社に対して多くの時間を使っている。複数の経営をする際、それぞれで時間を決めて(例:週1回訪問する、日中の●%を使うなど)スレッドを切り替えて行う人もいるだろうが、私は「すべてが1つの大皿に乗っているのであり、その皿の中で連携することでメリットがある場合、すべてが絡み合うように連携する形を意識し、時間や体の使い方で切り替えることをしないように」している。(これはもともと、私がそれぞれが競合であったり相反する企業の経営に携わっていないからであるが)

そのため時間をどこに割いているというのではなく、必要性に応じて使うことを意識していた。しかし、彼からすると特定のA社に7割ぐらいを割いており、もう少しB社にも使ってほしいという要望であった。私からすると、そういった意識はしていなかった。なぜならAとBは密接に連携をしており、Aが好調になることでBもそれにつられて成長できるからだ。さらにAは人数を増やして急拡大をした時期でもあり、新メンバーからの相談やフォローアップの頻度が結果として多い時期でもあった。B社の業績は安定しているということもあり、A社を重点フォローし伸ばすことでB社を成長させる、そういう考え方であった。

ところが、彼はB社独自での成長ということを強く意識していたし、私にそれを期待しているというメッセージを送ってくれた。まだまだ成長できる余地と余力があるし、市場もあるのでチャレンジしてほしいと。私の中で上記の戦略が間違っていたとは思っていないが、それを継続しつつも、さらに飛躍を目指すという攻めの意識を送ってもらったという気持ちになった。有り難いことを気づかせてもらった。

2つ目は私の考え方について。

私は比較的、積極的に新しい取り組みを決めて動かしていくタイプであるが、後からきた人がその役割に興味を持って、それを担おうとした際に、それをそのまま譲ってしまうことがよくある。その場で争うよりも、次のスペース、次のスペースを見つけて動くことが多い。実際にやりたいこと、やろうと思って手をつけられていないことが山ほどあるので、誰かが担ってくれるなら、すんなりと明け渡して次のアクションを取っていく。逆に、1つのことに固執することもない一方で、始めた取り組みに誰も興味を持ってこない場合は、終了するまで責任を持ってやり遂げるというスタンスで取り組むことが多い。

人によっては、私から譲り受けたあとでも、私を立ち上げた功労者としてループに入れ、相談し、重要な判断を委ねてくることもあるが、もちろんそうでない人もいる。

彼からは、「譲るな」という気づきをもらった。

特にそこが戦略上重要な位置付けであり、今後も多くのチャンスを生む可能性があるのであれば、絶対に譲るなという。今までも私と彼とのやりとりの中で、彼は私の性格を良く理解してくれているので、私が譲ろうとすると、丁寧に私がやるべきことの重要さを話し、私が自分のスタンスを曲げてでも譲るべきではないと感じるよう伝えてくれていた。また時には私は納得しないながらも、彼がそこまで言うならということで、彼の意見を尊重するという形で進めてきたこともあった。

これから彼とは今まで以上に密接に連携をする部分もあるが、一方で他のメンバーが介在してきて少し距離ができてくる部分も出てくる。その中で、今までのように彼と私の関係性で、私がスタンスを変えて、彼が正しいと感じる考えをサポートできることがどのぐらいあるのか。もっと言うと、そういう相談すら彼のところまで届かず、彼がそういったアドバイスをできる機会すらないこともあろうであろう。そういうこともあって、ストレートに伝えてくれたのだと感じた。

浜口隆則氏の言葉で、経営者とは「雪が降っても自分の責任」というのが私の心には強く残っています。当然ですが、企業で言えば会計税務財務法務人事といったバックオフィス関係から事業の創出から開発、営業、顧客対応まですべてにおいて責任がある。

そんな状況で「譲る」ことは絶対にすべきではなく、仮に譲る場合があったとしても、主導権をとって「任せる」程度にすべきであり、自ら身を引いて譲ってしまうことは、経営者として有り得ないし考えてはいけない、選択肢になり得ない。そういった強い意志が必要なんだと。

年を重ねてきて、そして組織においても上になればなるほど、指摘を受けることは少なくなるケースが多い。そういった少ない機会の中で、気付かさせていただくということは貴重な時間だった。

自分が持つ考え方のスタンスにも癖や見えない傾向があり、知らず知らずのうちに面倒が少なく、争いが少なく、楽な方楽な方の考え方へと偏っていってしまい、気づいた時には「それが自分のスタイル」とカッコイイようなことを言ってしまっていることも多いのかもしれない。

自分のスタイル、スタンスを持つことは悪いことではないが、それが本当に自分のエゴや自分のために楽なスタイルやスタイル、もっとひどいケースだと逃げの言い訳のための材料になってしまっていないだろうか、常に振り返り、見直しをしながら、律していきたい。

格好つけずに、譲るべきでない部分にはこだわり、固執し、チャレンジし続けることを再認識させられた、強く印象に残る1週間であった。

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