今のテレビ番組に決定的に欠けていること

今のテレビ番組、とりわけバラエティ番組のテンポが著しく悪い。間伸びしすぎている。同じカットを何度も繰り返し見せられ、煽りに煽った挙句、コマーシャルに入る。ようやくコマーシャルが終わったかと思うと、再び同じカットを見せられる。"もうわかった", "勘弁してくれ"とツッコミを入れざるを得ない。イライラしてくる。

例えば、こんな一幕。地方の有名なレストランを紹介するコーナーがあり、そこでの名物料理が伏せられたまま、ヒントがいくつか出されていく。全てのヒントが提示され、さあ、その料理とはなんでしょう?と視聴者に問いかけたのち、コマーシャルに入る。

ググればわかってしまう程度の情報をなぜそんなに出し惜しみするのかが、まずわからない。クイズとはそういうものである。それは同意する。しかし、僕が辟易しているのは、クイズ番組だけでなく、情報を紹介するようなバラエティ番組においてもこのフォーマットが頻繁に用いられるということである。そんな出し惜しみはクイズ番組でやってくれ、と思ってしまう。

この冗長性、緩慢さ、間伸びは、youtubeなどの動画配信サービスと極端に相性が悪い。なぜなら、このような動画配信サービスでは、いつでも好きなタイミングで視聴者が動画をスキップできてしまうからである。これを説明するために、仮にテレビ番組をこのようなサービス、例えばTVerで配信した場合を考えよう。いつでも動画をスキップすることができるyoutubeに慣れきってしまった僕らは、もはやテレビ番組の間伸びに耐えることができない。だから当然の帰結としてスキップする。するとTVerではどのようにして広告の非表示を回避しようとするか?スキップした直後にCMを流すのである。少なくとも9/8のTVerの広告表示アルゴリズムはそのようになっている。これはテレビ番組の内容がないため、スキップを多用されると広告が打てないためであろう。そのCMは4x15秒程度の長さであり、視聴者は一分近く待たされることになる。番組の内容を簡潔に、詰まったものとするのではなく。その点、youtubeの広告表示アルゴリズム、そして動画は我々にこのような不快を感じさせることがないという点で、テレビ番組よりも優れている。

テレビ番組の冗長性をそのままに、媒体を配信に切り替えるということは不可能である。なぜなら、このような冗長性は、シークバーを利用した動画のスキップと相性が非常に悪いからである。テレビ番組の配信は利便性を向上させるどころか、ユーザビリティを著しく悪化させている。もちろん、テレビ番組の中にも良質なものはあり、そのまま配信できるというものもあろう。しかし、悲しいことに帰省してゴールデンタイムにテレビをつけると、冗長な番組ばかりのさばっている。このままではテレビの衰退は加速するばかりだ。

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