ボルバル戦術について思うこと【among us】

東大VSアマングアス配信者という企画で、東大側が「ボルバル戦術」なるものを持ち込み、話題になった。この戦術は要約すると

1.サボタージュが押される前に誰かが緊急ボタンを押す
2.他のクルーメイトはゲージが進むタスクを速攻で終わらせる
3.議論時間でタスクを完了させた人物は自己申告する
4.ゲージの進み具合を確認して確白を増やしてインポスターを絞る

といったものである。結論から書くとこの戦術は論外だと考えている。

戦術内容の共有が難しい

まずこの戦術を卓内で用いる場合「メンバー全員が事前に戦術の概要とボルバル戦術を使うことを把握している」か、最初にボタンを押し「戦術内容を説明して賛同を得る」必要がある。このうち前者のパターンは「ボルバル戦術を使うことを把握している」という条件を満たせるのは身内村のみなので、考慮外とする。

よって一般的な卓でボルバル戦術を使用したい場合は最初にエマージェンシーボタンを押して戦術内容を共有するところからスタートすることになる。ゲージが進むタスクはO2の落ち葉集め、アドミンのカードスラッシュ、メッドベイの生体認証などがあるが、この戦術を用いる場合は招集ボタンがすぐに押されてしまうため、時間的に間に合わないものが多い。そのため「時間内に間に合うタスク」を挙げることが求められる。

時間内に間に合うタスクをぽこぽこ言われても、そのタスクが今回のゲームに存在しているかどうか議論中に確認することはできないし、全て記憶するのもかなりの記憶力が必要と思われる。自身の移動経路や、他の船員とのすれ違い/同行など覚えておきたい情報がたくさんあるアマングアスにおいて、脳のリソースを急遽「時間内に間に合うタスク」に割くことをこの戦術は要求している。

仮に議論時間が180秒あるとして、作戦内容を話しきった上で全員から賛同してもらわなければならない。ここが非常に大きな山だと考えていて、例えば一人のクルーメイトが賛同せずにこの作戦を遂行した場合、その一人分のタスク申告をインポスターが行ったときに白確インポスターが生まれてしまう。かつ、この作戦はタスクゲージの管理に重きをおいていたり、個々のプレイヤーに対し、本来記憶する必要のない情報を記憶させることを強いているので、クルーであっても反対するプレイヤーがいておかしくない。

クルーであっても反対できるのだから、当然インポスターも上記の理由で同様に反対することが可能である。現実的な落とし所としては、この戦術を使おうとしてボタンを押そうとしている最中にカードスラッシュなどのタスクをした1〜2人を白置きできたらラッキー程度のものだろう。

同系列として比較対象に挙がる人狼でも、これほど大掛かりではないにせよ「作戦」と呼ばれるものはある。有名なものとして「黒リレー」を紹介したい。黒リレーとは「作戦提示者が黒っぽいと直感的に思った人を指名し、指名された人物が同様のことを行い、3名出揃った時点でその人物を投票対象とした議論をする」といったものである。この作戦のメリットは「AがBを指名してBが処刑され、Bが黒だったときAの白濃度が上がる」、つまり真占い師の占い幅を狭めつつ、別軸で狼を補足できることにある。デメリットとしてはAとBがライン切りを画策していた場合Aという白狼にたどり着きづらい点が挙げられる。

人狼で用いられる作戦の多くは黒リレーのように30秒程度あれば伝わるものであるが、ボルバル戦術は作戦内容の煩雑さから、説明に議論時間の大半を要してしまう。「エマージェンシーボタンを押したのは自分なんだからその時間は喋り通しても良いのではないか」という意見もあると思うし、それ自体は正当性があるとも思うのだが、インポスターを特定するための議論をするために用意されたボタンを、インポスターを特定する手段を提案するために使う行為自体が、最適解ではないように感じてしまう。

タスクバーが非表示の際に使用できない

タスクバーが常時非表示の際は当然ながらボルバル戦術を使うことはできない。ボルバル戦術考案者のちよだ氏は「今後のアマングアスにおける戦術発展の一助になりうる」のようなことを言ってtwitter上で紹介していたと記憶しているが、プレイヤーのレベルが向上し、ゲームが難化するにつれて「タスクバーでインポスターを絞る」といった推理を必要としないインポスター特定手段は環境から消滅していくと思われる。現にメッドベイでの生体認証でクルーを確認する行為はルール上可能ではあるものの、多くの卓でタブーとされている。

とどのつまりアマングアス界隈がこれからも発展し続ける場合、タスクバー切りの歴史を辿るのは目に見えていることであり、ボルバル戦術自体が死産のようなものだと思っている。おしまい。

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