大人の色気
少し前までは、「美」の要素の一つに「若さ」があった。
人間は、生まれた瞬間から、誰でも年老いていく。
自分の意志とは関係なしに。
だからこそ、「若さ」への渇望と羨望が生まれ、
永遠に続かないものであるからこそ、
長い間「美」に欠かせないものとして考えられてきたのだろう。
昨今は、「若さ」に代わって「エイジレス」であることも重視されている。
年齢を感じさせない、実年齢には見えない、
そういった表現で、「美」の要素から「若さ」を排除しているようにみえる。
だが、根本的な考え方は同じ。
「若さ」が重要であると考えているから、
「若く見えること」にも価値を見出している。
結局は、「美」の要素に「若さ」は不可欠ということだ。
はたして、「若さ」を失うことは、悲しむべきことなのだろうか。
年齢を重ねることで出てくる深みやまろみ、輝きというものもあるわけで。
大人の色気も、その一つ。
そういったものは、内面の成長に伴って生まれるもので、
心の持ちよう、経験などによって、その質を大きく変えてゆく。
自分の年齢と経験を愛おしむのは、まるごと自分を受け入れること。
その包容力には、どんな若さも叶わない。
だから私は、若く見えると言われるよりも、
色っぽいね、と言われたい。
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