本質を知る 特別編

福島に通っていたころ
「本質を知る。自分のことより他のために(利他)」
を生きる指針にして、ここ20数年来生きている。現実は遠いが。
 この二つの言葉は、尊敬する中村哲さんの死後、彼が長男に言い遺した言葉だと知った。心も身体も熱くなった。

 中村哲さんの偉業とはほど遠いが、「間違っていなかった」ことを確信した。

 今から、20数年前、福島県の原発近くに通っていた。原発を止めたい一心で。また、「おとなたちは便利さを享受して、負の遺産を私たちに押し付けるの。何もしないの」という多くの未来の声に、少し抗いたかったから。

 町議選の最中、「原発を止めたい」仲間とともに、同じ意思をもち、富岡に家を借りてくれている女性のもとに、寝袋を持って。
 
 スピーカー付きの車で、街宣もしたが、一軒一軒、話をしながら回った。免許取り立ての私の運転で。原発も危ないが、これも危なかった。

 「正月も事故があったんだけど、報道されなかった。しょっちゅうあるよ。だけど、甥が原発で働いているから」
「牛を飼っているから、騒がれると困る」
などなど、住民の多くは不安はあるが、「しょうがない」だった。やはり、今でいう経済格差。

 原発建設地、誘致場所は、風光明媚。だが、概ね経済的には裕福とはいえない自治体と住民の暮らし。そこに付け込む、電力会社や関連組織(建設会社、原子炉メーカー三菱、東芝、日立など多くの企業)は膨大。官僚の天下り組織も多い。そして、俗にいう「札束で頬っぺたをはたき、足元をすくう」のだ。

 山口県上関原発(中国電力が2基計画実施中)の近くに実家がある女性は、
父親から「600万円、2回受け取ったから、建設に反対できない」と言われたと、原発反対の集会で話していた。建設費は、1基400億ともいわれているが、それ以外莫大な金が動いている。その費用は、すべて国民の懐から。

 上関原発では、中国電力が自治体に24億円を寄付。選挙時、社員100人が転入したと報じられた。原発は、国策でもある。原発建設・稼働は、国家ぐるみの犯罪だと思う。

もうすぐ、3月11日。

「オリンピックの聖火リレーで福島を映して、復興できているとアピールしたいのだろうが、復興していない」と、反対している住民たち。

この事故は、本質を知れと、教えてくれていると思うのだが。

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