EPSONのプロジェクターがATEMminiを認識しなかった話

2023/6/19 最下部に一部追記しました。

概要

ATEM mini、それはBlackMagicDesignから彗星のごとく現れビデオスイッチャーで、昨今のコロナ対策の配信用途やスイッチング用途など数多くの場面で用いられています。

そのうちの一つにVJで使用する、というものがあるますが、Twitterで軽く調べてもプロジェクターが認識しない...などといった症状が報告されています。

原因は2018年くらいにはすでにハッキリしていて、「ビデオエンコード信号が対応していないから」というのが理由です。

動画は通常、そのままでは伝送帯域が足りず、人間の目の特性を利用した圧縮がなされています。そのうちの一つに下記ウィキペディア記載の「クロマ・サンプリング」というものがあります。

詳しくは上記ページにありますが、ATEM miniはこのうちのYUV4:2:2のみに対応し、epsonの一部プロジェクターは対応していない為にその出力信号を受けれない、という理由です。epsonのプロジェクターはそのほとんどがPCと繋ぐ前提なのでそこまで対応しなくても良かった、というのが理由になります。

ここまでの情報は「Atem mini epson プロジェクター」とかでTwitterで検索をかけるとポロポロと出てくるので詳しくはそちらをご確認ください。ここまでは割と知られている話です。

急遽試した話

日本国内ではあまり騒ぎになっていない印象ですが、海外では相当盛り上がっていたらしく、両車協議の末、どちらかがファームを更新するみたいな噂は聞いたことがあったような、、、という感じでした。

ところがこないだとあるイベントで主催さんがプロジェクターを持ち込んだものの、2機種とも映らないという事態が発生。ということでファームウェアが、、という頭の片隅にあった記憶から対処したものです。

注意事項

海外のEPSONサイトにのみ展開されている情報ですので、国内の機器に適用することで発生する問題は未知数です。当然EPSONさんに問い合わせても"保証しかねる"という答えになることが予想されますので、あくまで自己責任でお願いいたします。

また、ファームウェアアップデートはチップを直接書き換える作業であるため、何らか問題が発生した場合再起不能になる恐れがあります。

この点に関してこちらでの責任は負いかねますので、会社で保有している、、などのリスクがある方はやめといた方が良いと思います。

(私も人ので試してしまいましたが....動いたので許してください。)

もしEpson Projector mangement Software (リンク先でDL可)でファームが上げられそうだったらこっちで試すのが無難です。日本語なので。
しかし、プロジェクターを直接インターネットに接続する必要がある点、オフラインで更新しようとしたら何故かお近くのエプソンサービスセンターに連絡を取らないといけない点から現場でサクッとやってしまうのならepson.euから落とすのがベストです。

方法

まずはお手元のEPSONプロジェクターの機種名+firmwareとかで検索をかけます。

仮にEB-S04としましょう。

画像1

epson.euのリンクがありますね、そのページの一番したを確認してみます。

画像2

ページの一番下に"Drivers & Software"とありますね、Downloadsをクリックしましょう。

スクリーンショット 2021-12-27 22.13.53

するとFirmwareという項目がある場合があります。日付を確認すると2021年に更新されたようですね、EB-S04は2015年発売の製品で、すでに販売が終了している製品ですので、2021年にアップデートがあるのは何かありそうです。Downloadを行います。(Downloadをクリックすると、規約に同意してくれ的なボックスが出てくるのでチェックを入れ、DLします。)

この時点でファームウェアなどがない場合、残念ながら信号を変換する以外打つ手がありません。申し訳ありません。(ちなみに一個前のEB-S03にはありませんでした。無念。)

ダウンロードしたファイルの中身はこんな感じです。

スクリーンショット 2021-12-27 22.20.31

上の.binファイルが本体で、パソコンとUSBケーブルをつないてアップデートかける方法とUSBメモリを使う方法の2種の方法が記載されたpdfファイルが入っています。

今回はUSBメモリで実施したのでUSBメモリでアップデートを行う方法を示します。(機種によって異なると思うので都度確認してください。)

アップデート手順

用意するもの
1:USBメモリ(FAT32にフォーマットしたもの)
2:上記ファームウェアのbinファイル
3:プロジェクター本体と電源コード

手順1
ファームウェアのbinファイルをUSBメモリの一番上の階層に入れます
(何らかのフォルダを作ってその中に、という意味ではなくそのまんま入れます。)

例えばDATAというUSBがあるならこんな感じ

画像5



手順2

この状態になったら、プロジェクターにUSBメモリを繋げましょう。

スクリーンショット 2021-12-27 23.04.19

この時一度プロジェクターを立ち上げ、現在のファームウェアバージョンとUSBを認識するか確認しておくと、丁寧です。


手順3
プロジェクターの電源を落とし、電源ケーブルを抜いた状態にします。
理由はこの後の操作のためです。もちろんUSBは挿しっぱなしです。


手順4
電源ボタンを押しながら、電源ケーブルを挿します。

画像7

すると、プロジェクターの電源・温度異常などのLEDが全て点滅し始めます。(していない場合、アップデートは行われておりません。)この時USBメモリにアクセスしてファームウェアアップデートを行なっていますので、待ちます。電源は絶対に抜かないでください。
しばらく(数分)すると、パワーオンランプのみ点灯し、通常どおり起動します。(一部機種は終了後電源が切れるみたいです、通常通り再起動しましょう)

起動後、ファームが上がっているか確認してください。

ちなみにですが、海外から落としたファームだからといって、メニューが全部英語といった事態にはなりませんでした。日本語のままです。

接続してみて対策されていたらATEMminiを認識するはずです、が、認識しない場合もありますので悪しからずご了承ください。




まとめ


Roland最高






おまけ

全く試したことがないので妄想ですが、アクティブタイプのHDMI→VGAのアダプタを使用して、一度アナログ信号にかえ、VGAで繋げてしまうのも手かもしれません。(非常に嫌がられますが最終手段として...)

一度コンポジットに戻して HDMIに戻すという対策をされていた方がいたのですが、信号がRGBに変換されてしまうので理屈はあっているはずです。機会があったら調べてみます。


2023/06/16追記


この記事書いてしばらく経ちましたがたまに擦られますし、特定の検索ワードだと上位の項目として出るみたいです。そろそろ「他の方法はないのか!?」「上の方法だとうまくいかねぇ!」という声が聞こえてきそうなのでコンバーターはあるのか?という点で記載します。

結論、あります。ただ往々にしてatem miniと同じかそれ以上の値段での取り扱いになりますので、メリットあるかと言われたら…ないかな、、という点です。機器をお出ししたいところですが、如何せん未検証のため責任が取れません、どういうものなのか

コンバーターを噛ませる


世の中にはSDIとHDMI、HDMIとSDIを相互に変換できる
「アップダウンクロス」な「コンバーター」が存在します。
その中でもRGB出力とYUV4:2:2系の両方に対応しているものがあれば映るはずです。
おそらく上記キーワードで検索すると「オレンジ色と緑色のコンバーター」が出てくるのですが、その辺です。ただ、お値段がATEM  miniもう一台分くらいです。

しかしそれで安心が買えるのであれば、安いと思います。

また、別に上記機器でなくても、YUVやRGBなどの条件が揃い、何らかの時点で映像の再生成が行われるものであれば対応できるかと思います。

現在、検索したところ、プロジェクターの一部機種は日本語サイトでもファームを配布しているみたいです。
 当然配布していないものもありますが、メンテナンスが終わった品番の機会の面倒を見続けることを企業に要求するのは酷ですので、サッサと諦めて(ゴネても意味ありません、やめましょう)コンバーターを買うか、V-1HDなどの現場に合わせた機種を確認の上、買いましょう。今なぜかすごい安いので、、

まとめ

・安心は金で買え
・機械はその通りにしか動かない
・機械を信じるな
・現場には魔物が住んでいる
・段取りが9割


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