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25年以上前のポケモンキッズと最新弾を比べてみた

はじめに

 ポケモンキッズとは、発売から四半世紀以上経った現在でも新作が作られ、店頭に並び続ける長寿食玩シリーズである。

 このシリーズでは通例、最新作で新たに登場したポケモンをラインナップしてきたのだが、ゲーム本編で「サン・ムーン」が発売された辺りから方針が変わったのか、新弾に数体の割合で過去作のポケモンが新規造形で収録されるようになった。

 今回は、この1年ほどで発売された新規造形の過去作ポケモンと、私が所持している90年代当時に発売されたポケモンキッズを比較していく。

比較対象

今回比較していくのは以下の四体である。

左からキュウコン、ライチュウ、メタモン、カビゴン。
右端のアクリルフィギュアはリモートポケモン学会のイメージキャラクター「リモナちゃん」。

 2023年11月27日発売の「仲間たちと冒険の世界へ!編」より、ライチュウとメタモン。2024年2月26日発売の「キミとポケモンの出会い編』より、キュウコンとカビゴン。
 本来ならば、ライチュウとメタモンと同弾にて収録されたリザードンや、キュウコン・カビゴンと同弾にて収録されたロコンやプクリンなども対象に含めるべきなのだが、リザードンとロコンは私が当時のポケモンキッズを未所持、プクリンは新弾を買い逃したため断念せざるを得なかった。
 後者は特に無念である。プクリンの人気の高さを甘く見ていた。

 気を取り直して、早速比較していこう。

比較①ライチュウ編

当時品(写真左)と最新(同中央)とリモナちゃん(同右)。

 言わずと知れた人気ポケモン・ピカチュウの進化系がこのライチュウだ。
 幾度となくポケモンキッズにラインナップされてきた進化前と比べて、このライチュウがポケモンキッズになった回数は少ない。単体でポケモンキッズとなったのは「ダイヤモンド・パール」の頃にさかのぼる。
 一方で人気は根強く、2018年にポケモンキッズ20周年を記念して発売された復刻弾ではウェブ投票等で上位に入り、ピカチュウと共に全11種の狭き門をくぐり抜けラインナップされた。
 最新のものが顔と胴体が明確に分かれた造形なのに対し、当時品は顔と胴体の境目がない。また、腹部の白い部分の解釈も異なっている。

べた塗りの最新に比べ、当時品はグラデーション的解釈。

 最も解釈が異なっているのが耳の部分だろう。私はライチュウと言えば長い耳のイメージを持っていたのだが、それはこのポケモンキッズの影響が大きいかもしれない。

最新は耳が丸めで当時品は長い。背中の縞模様も長く、腿まで達している。

結論:当時品も最新も、どっちもかわいい

比較②キュウコン編

最新(写真左)と当時品(同中央)とリモナちゃん(同右)。

 最新のキュウコンが黄色がかった体色なのに対し、当時品は白い。白すぎてついた手あかがありありと分かってしまう。見苦しく申し訳ない。
 ポーズも当時品は公式水彩絵を意識した立ち姿なのに対し、最新はゲームのCGモデルやポケモンセンター公式絵などで見られる姿となっている。

目力の強い当時品キュウコンと顔が大きく見える最新。

 最も違うのは目の解釈であろう。白目がある当時品に対し、最新のものは赤い目に白いハイライトという解釈になっている。旧水彩絵でも白目があった様子がないので、この目の解釈はポケモンキッズ独自のものと思われる。

結論:どっちも神々しい。当時品は洗え

比較③メタモン編

当時品(写真左)と最新(同中央)とリモナちゃん(同右)

 シンプルな造形のメタモンなので、正直金型が変わっているとは思っていなかったのだが、実際に比べてみると全く違っていた。
 当時品の方が全高が低く、広がっている感じになっていることが分かるだろう。また、色の解釈も赤が強い。最新は青っぽい色合いで、マットな塗装になっている。
 ゲル状のモンスターとしての「プニッと」感は当時品の方が上に思う。だが、敢えてマットな塗りになっていることを考えると、現在のメタモンの体の解釈は固体に近いのだろう。ゲームのCGモデルも特に透け感があったりはしないし。

当時品は口元がギザギザしており、この個体は塗装のはみ出しもみられる。

 顔の印象も大きく違う。最新のものは口元がニコッとしていてかわいくなっている。
 一方、当時品は何を考えているのか分からない。「へんしん」する生態を持つモンスターとしての曲者感が強い。

結論:当時品は化けて騙すが、最新は化けずともあざとく微笑む

比較④カビゴン編

当時品(写真左)と当時品(同中央左)と最新(同中央右)とリモナちゃん(同右、見切れ)

 実は、このカビゴンが今回の本題である。
 二体の当時品は、左端の少し色が薄い方がポケモンキッズ4にラインナップされたもの、中央左の方が98年ごろの復刻弾のものだったはずだ。
 ゲーム上のドット絵と水彩公式絵しかなかった時代に比べると、カビゴンの立体解釈はずいぶん変わった。頭の耳のような部分も、当時品が頭と一体になっているのに対し、最新では独立したような造形になっている。
 V字の切れ込みも最新の方が深い。色味も黒系から青みが随分と強くなっている。
 しかし、本題はそこではない。顔と腹部の色が違う部分に注目してもらいたい。

上から見た図。並び順はリモナちゃんを除いて前の写真の通り。

 最新のカビゴンは、顔と腹部の色が違う部分が繋がっている。この特徴は、カビゴンの造形としては広く知られたものだ。
 1998年発売の「ポケモンスタジアム」などでも見られるもので、TOMY(現タカラトミー)より発売されていた、当時のモンスターコレクションでも、つながった造形になっている。

ポケモンキッズと一緒に遊んでいた人も多いだろう。私もそうだ。
画像引用元:「駿河屋 -<中古>カビゴン 「ポケットモンスター」 モンスターコレクション 13 (フィギュア)(https://www.suruga-ya.jp/product/detail/602164441)」

 一方、当時品のポケモンキッズでは、顔と腹部の色が違う部分が画像の通り独立している。
 これは、当時のドット絵や水彩公式絵では大きなお腹越しにこちらを見ているポーズだったため、この部分がどうなっているのか詳細が分からなかったために生じた解釈違いであろう。

当時のドット絵。
画像引用元:「ついに蘇る!『ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ』 名場面や名勝負から大冒険をふり返ろう![Vol.2] | トピックス | Nintendo(https://www.nintendo.com/jp/topics/article/86fa4041-d52d-11e5-adcb-063b7ac45a6d)」

 上記の通り、TOMYの「モンコレ」とで差異が生じている。ポケモンキッズの方が当時は監修が甘かったのだろうか。
 ちなみに、この最初期のポケモンキッズはFRLG期に再販がされているが、その時には修正されている。

ポーズは変わっていない。ちなみにファイヤーも新規造形になっているようだ。
画像引用元:「ポケモンキッズファイアレッド&リーフグリーン4|バンダイキャンディトイ(https://www.bandai.co.jp/candy/products/2005/28913.html)」

結論:カビゴンに歴史あり

おわりに

 ポケモンキッズの当時品と最新弾の比較、いかがだっただろうか。当時を知る人にとっては懐かしく、若い読者にも新鮮に映っていれば幸いだ。
 このような比較は歴史の長いシリーズなればこそなので、これからもポケモンキッズが末永く続いていくことを祈る。


<参考サイト>
ポケモンキッズ|バンダイ キャンディ公式サイト

指人形大図鑑

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