ルクレツィア・ボルジア: 宿命の美女と家族の陰影

映画「ゴッド・ファザー」にも登場する「ボルジア家」は、マフィアが怖れ、敵を侮辱する際の言葉として使用されるほどの名を馳せている。この家の中で、特に「悪女」として名高いルクレツィア・ボルジアの名は、多くのスキャンダルと共に歴史に刻まれている。

ボルジア家は、ローマ教皇アレクサンドル6世や、マキャベリが「君主論」で取り上げたチェーザレ・ボルジアなど、多くの名門貴族を輩出してきた。しかし、教皇アレクサンドル6世が禁じられた恋愛の果てにチェーザレとルクレツィアをもうけるなど、家内の退廃は深かった。

ルクレツィアは13歳で、父の野望の一環としてミラノ公国の貴族と結婚したが、1年後にはその結婚を解消。さらに、彼女が恋に落ちたペドロ・カルデンは謎の死を遂げ、彼女が生んだ子供の出生についても多くの謎が取り巻いている。

アレクサンドル6世は、彼女をナポリ公国の王族と結婚させることで、教皇庁の力を強化しようとした。しかし、その結婚も長くは続かず、彼女の夫と子供は不慮の死を遂げる。ルクレツィアと兄チェーザレの間の関係についても多くの噂が飛び交っている。

彼女の3度目の結婚相手、エステ家のアルフォンソとの間にも、さまざまなトラブルがあった。彼女がアルフォンソの姉の夫、ゴンザーガとの不倫を始めたことも、その一つだ。

ボルジア家の中で、ルクレツィアは毒指輪を使って邪魔者を排除したり、父の代理としてローマ教皇の椅子に座ったりと、多くのスキャンダルに関与してきたと言われている。しかし、彼女の周りの多くの醜聞は、家族、特に兄チェーザレや父アレクサンドル6世の影響が大きい。

ボルジア家のような家が教会の中心にいた時代、ルターの宗教改革の動きが起きるのも理解できる。

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