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日本でどこまでブームになるか?~タイBLドラマの変遷と日本との関係~

※2020年9月20日 加筆・修正

現在、日本にタイBLドラマが続々輸入されてくるという波が起きている。最近一番話題になっている「2gether」をはじめ、「Tharn Type」「Dark Blue Kiss」「OurSkyy」「My Engineer」と立て続けに日本へ入って来るという情報が出るたび、Twitterでのタイ沼はざわつきを抑えられなくなっている。

※タイ沼とは…タイのドラマに魅了され、抜けられなくなった人たちの集まり。主にタイBLドラマとタイ俳優(カップル)をこよなく愛している。

日本にタイBLドラマが入ってきたのはつい最近の話ではない。では、今までのタイBLドラマはどのように日本に入ってきたのだろう?ということに興味を持った私は、色々ネット上で調べてみることに。(情報収集能力が欠如しているので、ツイ友さんにも手伝っていただきました。ありがとうございました!)

タイBLドラマと日本の関係が密になっていくこの過渡期に、渦中にいられる喜びと感謝を込めて!

※個人がネットなどで調べた情報を基にまとめています。間違いや私が知らない情報等がありましたらぜひ教えていただければと思います。

あこ:タイ沼ビギナー。「2gether」のバズツイ後、様子見をしていたが気になり過ぎたためGWを利用して一気見。以降、すっかりタイBLドラマのとりこに。今現在で計17本のドラマを見て感想ブログなどを綴っている。別ジャンルでライターもしている。

タイBLドラマの歴史

本国でのBLドラマの制作は2014年の「Love Sick」が最初。以降数々の名作BLドラマが作られている。(日本に入ってきている作品や日本でファンミーティングが行われた作品は太字表記。あえてGMM TV制作のみ明記させていただいてます)

2014 ・Love Sick(7月~9月)

2015 ・Love Sick2(5月~10月)

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出典:ThaiPVR "LoveSick" on YouTube

この頃はこの作品のみ。2が作られたということは人気があったということなのだろう。この後から多くのBL作品が生まれている。

2016

・Kiss(1月~5月)GMM ※サブカップルがBL
・Secret Love : Puppy Honey(3月~4月)GMM※サブカップルがBL
・Make it Right(5月~8月)
・Bad Romance(7月~9月)※サブカップルがBL
・SOTUS(8月~2017年1月)GMM

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出典:GMM TV "SOTUS" on YouTube

大手のGMM TVがBLドラマ制作に着手し始めている。まだBLメインのものは2作品のみ。この年の「SOTUS」のヒットが起爆剤となり、BLドラマが多数つくられるようになった印象。

補足:SOTUSの配信時には英訳がついておらず、ファンが付けてアップしていたもよう。1か月ほど遅れて公式のGMMが英訳をつける…という流れ。この時期よりGMMが英訳を付けて配信するようになった?※個人のHPより

2017

・2moons(3月~7月)
・Secret Love : Puppy Honey2(3月~5月)GMM※サブカップルがBL
・Water Boyy(4月~7月)GMM
・Make it Right2(5月~8月)
・My Dear Loser:Edge of 17(7月~2018年3月)GMM※サブカップルがBL
・Together with me(8月~10月)
・I am your king(8月~9月)
・SOTUS S(11月~2018年3月)

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出典:TV Thunder Official "Together with me" on YouTube

作られるドラマの本数も増え、サブカップルとしてではなくBLカップルをメインとして作られるようになった時期。「Bad Romance」でのサブカップルだったKornKnockの物語をメインとして作った「Together with me」や、タイBLドラマの金字塔「SOTUS」の続編が作られているという点も興味深い。本国での人気が本格的になっており、さらに海外のファンも増えて行った。

補足:「この頃から日本語字幕を付ける人が増えてきた」という記載あり。※個人HPより

2018

・What the duck(1月~3月)
・Kiss me again(4月~7月)GMM※サブカップルがBL
・My Tee(Cause you're My Boy)(6月~9月)GMM
・Love by Chance(8月~10月)
・Together with me:Next Chapter(9月~11月)
・Our Skyy(11月~12月)GMM
・Friend Zone(11月~2019年2月)GMM※サブカップルがBL

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出典:Studio Wabi Sabi "Love by Chance" on YouTube

大人気ドラマ「Love by Chance」が作られたこの年は、「Together with me」の続編や、過去のBLカップルのその後を描いたオムニバスドラマ「Our Skyy」が放送。安定した数のBLドラマが供給されるようになっている。

2019

・彼は清明節に僕の隣のお墓参りにやってきた"He's Coming To Me"(3月~4月)
・What the duck : Final call(3月~5月)
・REMINDERS(4月)
・Theory of Love(6月~8月)GMM
・2moons2(6月~9月)
・3 will be free(8月~10月)GMM※サブカップルがBL??
・Make it Right on the beach(8月~9月)
・The Effect(10月)
・TharnType(10月~2020年1月)
・Dark Blue Kiss(10月~12月)GMM
・Until We Meet Again(11月~3月)

・2wish(11月)

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出典:GMM TV "Dark Blue Kiss" on YouTube

制作されたドラマ数も増え、人気作も数多く生まれた年。多くのヒット作によりインターファン(外国のファン)の増加が更に加速。

2020

・Why R U?(1月~4月)
・2gether(2月~5月)GMM
・My Engineer(3月~5月)
・En of Love(3月~6月)
・YYY(4月~6月)
・The Shipper(5月~8月)GMM ※BL?なのか?
Still 2gether(8月~9月)GMM
・A Chance To Love : LoveByChance2(9月~11月)
・Oxygen(9月~11月)
・My Gear And Your Gown(9月~11月)GMM
・FriendZone2 : DangerousArea(9月~)GMM ※サブカップルがBL,GLもあり
・Thonhon Chonlathee(11月~)
・Manner of Death(11月配信開始予定)
・TharnTypeSS2(年内配信開始予定)
・テディベアの奇跡(仮)未定 CH3

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出典:”Why R U?" on LINE TV

世界的大ヒットドラマ「2gether」が放送された。このドラマをきっかけに、海外でタイBLドラマの人気が爆発。コロナ拡大のため撮影に影響がでて中途半端になってしまった作品も…。また、タイの老舗大手TV局CH3が初のBLドラマに着手するという情報が!2020年はタイエンタメ界にとっても変革の年になりそう。そしてコロナ自粛があったせいか、9月からは怒涛の勢いで新しいドラマが供給されている。

GMM TVがオンラインファンミーティングを行ったりと、世界に向けた展開を始めた年でもある。その他のドラマもそれに追随するように、続々とオンラインファンミーティングを行うという発表がされている。

タイBLドラマの日本上陸について

2019年の時点で日本に版権を買われていたのは以下の3作品のみ。

①SOTUS(版権会社:アジドラ)

2019年2月~アジアドラマティックTV(CS放送)で日本初放送。唯一、今でも日本語字幕付きをYouTubeで見ることができる作品。DVDも発売されておらず、このドラマのみ現在も日本においては色んな意味で特別なドラマ。

②Love by Chance(版権会社:アクロス)

2019/11/8 DVD発売告知
2019/12/1 Rakuten TV先行配信
2019/12/8 GYAO!、ひかりTV、U-NEXT、ビデオマーケット、AmazonPrime、TSUTAYA TVにて配信開始
2020/2/4 DVD発売開始

韓国ドラマを数多く扱っている会社が版権を購入。後述する「Until We Meet Again」とは版権会社が同じであり告知のタイミングも同じであるため、同時期に購入されたと予想。2018/8/3にタイで放送が開始されており、人気を受けての日本輸入か。

③Until We Meet Again(版権会社:アクロス)

2019/11/9 タイ本国にて放送開始
2019/11/29 日本でのファンミーティング案内開始
2020/1/27 Rakuten TVにて先行配信
2020/3/15 日本でファンミーティングを開催予定だったがコロナの影響により中止(延期?)
2020/7/3 DVD発売開始

「Love By Chance」と制作会社・制作陣が同じという理由があったからか、LBCと同時購入したと推測。タイで放送された直後に日本でのファンミーティング案内、本国がまだ放送中に日本でも配信開始という早さ。「Love by Chance」が日本でも人気があったため、完全な”青田買い”であったように思われる。

上述した通り、この3作品はこと”ジオブロック”という点に関しては特別。「SOTUS」に至っては未だにYouTubeで日本語字幕付きで見られる。「Love by Chance」と「Until We Meet Again」に関しては、日本語字幕付きYouTubeは削除されているが、LINE TVの英語字幕で視聴可能。

補足:ジオブロックとは?動画の提供者が特定地域以外に再生を許可していないこと。このため、特定の地域では再生できないこと。

この流れから、日本の会社による版権購入の動きは2018年から行われていたと推測される。

日本でのファンミーティング

タイBLドラマに出た俳優の活動として面白いところが、ドラマでのカップル2人がアイドルのような活動をしているということ。ドラマ放送開始時や終わった後でも、タイのみならず各国でファンミーティング(以下FM)を行っている。ドラマ出演者全員が出演している”ドラマ宣伝型”のFMと、BLドラマでカップルになった2人で行う”カップル型”のFMがある。

【タイBLドラマ出演俳優と日本の関係】

★2018/3 「2moons」出演者によるアイドルユニット「SBFIVE」として来日し、1DayTripとFMを開催。1DayTripではファンと一緒にバス旅行をし、観光などを楽しんだ様子が、ファンのブログや動画等で残っている。

※バス観光まで行っていたとは驚きです!

★2018/12/15 「SOTUS」のKristSingtoファンミーティング

★2019/2/3 Mean(Love By ChanceのTin)単独ファンミーティング

★2019/3/2 Tul Owndaysイベント

※日本の眼鏡会社「Owndays」のイベントとして来日。OWNDAYSの公式Twitterにコメントを寄せているTulさんの動画を貼っておきます。日本語話してくれてるのが純粋に嬉しい…!

★2019/5/12 Perth&Mark(Love By ChanceのAe&Kla役)ファンミーティング

★2019/6/15 KissBoysTH(Saint、Mean、Peak、Jo、Tonnam)ファンミーティング

※アイドルユニット。「Very Thai Show」と銘打ってタイの伝統芸能を日本のファンに教えてくれるというFM。タイの番組収録も兼ねていたよう。(個人HPより)

★2019/7 「Together with me」のMaxTulファンミーティング

※渋谷の結婚式場で”疑似結婚式”を挙げるという、なんともファン想いのFM。

★2019/12 「2moons2」6moonsファンミーティング in 和歌山

★2019/12/21 KristSingto 2nd ファンミーティング

※日本のファンみんなで新宿と渋谷のビジョンを購入し、2人へプレゼントしたということがタイのテレビ番組でも取り上げられていた。

★2020/1 TEMPT(Perth、Plan、Gun、Tittle)ファンミーティング

※Love By Chanceから派生したアイドルグループ。バスツアーもあったそう。各国をツアーで回っていた?

★2020/3/15 「Until We Meet Again」のファンミーティングが行われる予定だったが、コロナの影響で中止。(延期?)

★2020/4 J9(2moons2でのカップルMing役とKit役)ファンミーティングが行われる予定だったが、コロナの影響で延期予定。

FMの変遷を見ていると、日本で特に人気のあるドラマや俳優さんがわかる。2019年は特に来日したタイ俳優さんが多い!(羨ましい…)日本にドラマが輸入され始めたタイミングで、日本に来る俳優さんたちも増えたのだろう。

その中でもKristSingtoとMaxTulは昔から日本人にも人気がある印象を受けた。日本でも他の俳優さんがさらに人気が出てきた…というタイミングでコロナとかぶるという不運に見舞われ、日本のファンとしては残念だが、オンラインFMに期待しよう。

※ネットで調べれる範囲で拾ったつもりですが、もし落としてるFMがあればぜひ教えて下さい!

オンラインファンミーティング

コロナの影響により直接会うFMの開催が難しくなった2020年。GMM TVが5月~6月にVLiveにおいてKristSingto、OffGun、TayNew、BrigthWinの4カップルによる「GLOBAL LIVE FAN MEETING」を行ったのを皮切りに、続々と他ドラマでもライブ配信を行う告知がされている。

・2020/5/30 KristSingt(VLIVE)
・2020/6/6 OffGun(VLIVE)
・2020/6/13 TayNew(VLIVE)
・2020/6/20 BrigthWin(VLIVE)
・2020/7/18 2moons2
・2020/8/8 My Engineer ※
・2020/8/15 En of Love「Eternally」 ※
・2020/8/22 SOTUS 「SotusTheReunion 4 EVER MORE」(VLIVE)
・2020/9/6 Why RU?「AcrossTheGALAXY FM」※
・2020/9/6 MeanSitComWorld(VLIVE)
※シットコムと歌とファンとの交流を配信するという新しい形のFM。アーカイブには日本語字幕も!
・2020/10/18 Still 2gether(VLIVE)※
・2020/10/25 Untill We Meet Again(VLIVE)※

※通常のファンミーティングの様子をライブ配信で流すスタイル。

開催予定を見てもわかるように、過去の人気作から今年放送された人気作までこぞってオンラインFMを行っている。この中でも4年前に放送された「SOTUS」がまた2020年にFMを行うということに関しては、タイ沼民としても驚きを隠せなかった。この流れで他の過去人気作もオンラインFMが来るのだろうか?期待している。

★2020/7/30、8/22に行われる「SOTUS」FMの告知をVLIVEにて行った際に、初めて日本語の同時通訳がついた。GMM TVが本気で日本を市場としてとらえたことを実感した日になった。8/22の本番では英語字幕、中国語と日本語が同時通訳という対応になっていた。

ちなみにかなり余談だけど、私はこの中の4つ買った&買う予定。恐らくタイ沼民の中では少ない方かと思われます。

2020年はタイBLドラマが日本に怒涛の勢いで押し寄せている

恐らく「Love by Chance」「Until We Meet Again」からの日本輸入への流れはあったのだと思うが、「2gether」の人気によって加速している感がある。今後は放送開始前から購入先が決まっているものも出てくるだろう。実際、放送予定の「Love By Chance2」「My Engineer2」に関しては、もう版権会社が決まっている(元々買った会社が持っている?)という噂も。

その中でも「2gether」の動きは早かった。(版権会社:コンテンツセブン)

2020/5/15 「2gether」最終回
2020/6/30 近日中のジオブロックとRakuten TVにて7/31より配信開始がアナウンスされる
2020/7/31 Rakuten TVにて配信開始

情報解禁と共に今後の予定が明かされた。

それに対して「TharnType」

突然のジオブロック。全く音沙汰がないまま、7月に急にジオブロックが解除されたかと思いきや、2日程度でまたジオブロック。そしていきなり2020/7/17にRakuten TVにて8/28より配信されることが発表される。

その後も間髪明けずにアジアリパブリックより3作品の日本CS放送が発表される。

2020/9/6 「OurSkyy」CS衛星劇場で放送開始
2020/10 「Dark Blue Kiss」CS衛星劇場で放送開始予定
2020/11 「My Engineer」CS衛星劇場で放送開始予定

この3作品は日本での「2gether」ブーム以前に買い付けしていたということなので、2019年から日本にタイBLドラマを輸入するという動きは活発化していたのであろう。

「2gether」の続編「Still 2gether」が配信当日にジオブロックされているということが判明。その後も「A Chance To Love」「I'm Tee Me To」「Oxygen」が続々とジオブロックされているということがわかった。版権を買ったであろう会社からは未だに何もアナウンスがなく(2020年9月20日現在)いつどのような形で日本で展開されるのか全くわかっていない。フィリピンなどもジオブロックされているようだが、フィリピン独自のアプリなどでリアルタイム視聴ができるような配慮がされている。(吹替がつく作品も!)世界中がリアルタイムで観れる環境にある中で、日本だけが蚊帳の外にあるような印象を受ける。

今後は日本にすでに輸入されている人気ドラマの続編が続々と放送されることから、今までYouTubeなどで全世界のファンとほぼ同時視聴して盛り上がっていたものがどうなるのか…その辺りの心配がある。(心配が的中してしまいました…)ぜひ今までのタイ沼の広がり方を加味したうえで、日本の会社には賢明な判断をして欲しいと願っている。

日本における「タイ沼」について

私がタイBLドラマにはまった2020年5月頃、もうすでにファンの間で”2次創作”、”布教シート”、”タイ沼実況”、”ファンアート”などが行われていた。バズツイ前の状況は私が知るところではないが、昔からのファンの方がツイートでつぶやいていた内容から推察するに、昔のタイBLドラマファンの間ではこのような動きはなかったか?(※昔からのファンの方が教えてくださいましたが、ファンアートや2次創作は鍵垢やプライベッターで行われていたそう。近頃増えてきたという印象は受けるということでした)

皆が「自分が大好きなドラマを広めたい!」という思いで布教シートを作ったり、私のようにブログを書いたり…。タイ本国側から供給されたものを基に、ファン自身の能力を使って”無償の”広告塔となり、どんどんファンダム「タイ沼」が広がっている。

当の私もタイ沼に入ったばかりで「さぁ何を見よう?」と迷ったとき、”布教シート”は本当に参考になった。

ファンがファン自身の手で、さらにファンを拡大していく。K-POPと同じ手法を使っているのではないか?と言われているタイBLドラマだが、この広がり方を見ると戦略としては大成功であろう。

色々な趣味(K-POP、海外ドラマ、BL)を持つ人たちが集まって「タイ沼」が大きくなってきていると思われる。

何かと閉鎖的な日本のエンタメ界。海外のエンタメに目を向けて初めて気づいた国内の状況。ぜひこの移り変わる時代の波に乗り遅れないようにしていただきたいと切に願っている。

あとがき

最初は個人的興味から色々調べて書きだしてみましたが、色々な気づきがあって面白かったです!

私はタイBLドラマを好きになってまだ日も浅いですが、昔から好きな人たちが親切に教えてくださり、とても楽しい日々を送れています。そんな温かい人たちが大切に育ててきたタイドラマ好きのファンダム。日本にたくさん輸入されてくることによって、悪い方向に行かないようにと願っています。日本で人気が出るということは、大好きな推し俳優さんにとってもきっと喜ばしいことだと思います。タイ沼は広がり方がちょっと特殊です。その辺りも踏まえた日本での展開を期待して、あとがきとさせていただきます。

※一緒に過去の作品などを調べてくださったkjさんに、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。また、私が調べ切れていなかった情報を教えてくださった皆様にも、感謝申し上げます。

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