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刹那に過ぎ去る青春だからこそ眩しい-台湾BLドラマ「HIStory3 那一天~あの日」個人的感想

最近台湾BL沼にどっぷり浸かっております、どうもあこです。台湾BLドラマといえばHIStoryシリーズを思い浮かべる人が多いと思いますが、その中でも色んな意味でインパクトのあった「那一天~あの日」について掘り下げていこうと思います。

※最初は見どころ、途中からネタバレで書いていきます。内容には触れますので、まっさらで見たい方はあらすじだけでUターンしてください。ネタバレは予告します。

あらすじと概要

高校3年生の主人公・ハオティンは仲間たちと自由に学生生活を謳歌していたが、孤高の秀才・シーグウを気にし始めてから、彼らの日常が動き始める。シーグウを前にすると高鳴る心臓。気づけば目で追ってしまう、コントロール不可能な感情。初めての想いに戸惑いながらもまっすぐな気持ちをぶつけてくるハオティンに、次第にシーグウも心を許していく。そして、親を失い孤独の中で生きてきたシーグウの寂しさを、ハオティンは温かい心で埋めていく。何事にも動じず、現実と必死に向き合うシーグウと、情熱と勢いで行動するエネルギッシュなハオティン。月と太陽のように正反対な2人の恋の行方は…。(台湾ドラマ「HIStory3那一天~あの日」日本公式サイトより引用)

【登場人物と相関図】公式サイトに詳しく記載されているのでそちらをご覧ください。

【概要】1話45分前後 全10話

【視聴可能媒体】

RakutenTV「アジアドラマ・プレミアムチャンネル」、AmazonPrim、FODの定額見放題に入っています。 

最終話を見るかはあなた次第

これはある種ネタバレにあたるかな?とも思ったんですが、一応警告しておいた方がいいような気がしたので書きます。このドラマを見たファンの間では「那一天は9話まで」という声があるほど最終話10話を見返すことができない!って人が多いです。(かく言う私も1度しか見てません…)10話で作品の印象がガラッと変わるので、自分の判断で見る見ないは決めたらいいかなと。私は見返すことはできないけど、見なければ良かったとは思いませんでした。(理由は後述)これも本当にとらえ方次第なので…。

おさえておくべき登場人物

ハオティン

出典:華流・韓流・タイ【RakutenTV公式】 Twitter

天真爛漫で怖いもの知らずの主人公。最初は自分の彼女が興味を示したシーグゥを目の敵にしているが、次第に自分も惹かれていることに気づく。

シーグゥ

出典:華流・韓流・タイ【RakutenTV公式】 Twitter

幼い頃に両親を亡くして叔母に育てられた孤独な少年。現在は叔母の元を離れひとり暮らしをしている。

ボーシャン

出典:華流・韓流・タイ【RakutenTV公式】 Twitter

ハオティンの友達で従兄のジムでバイトをしている。そのジムに来ているジーガンを好きになり追いかける。

ジーガン

出典:華流・韓流・タイ【RakutenTV公式】 Twitter

カフェを経営しており、このカフェでシーグゥがアルバイトをしている。シーグゥの境遇を心配して何かと気にかける優しい男性。

最初は我慢が必要

これも人により捉え方は様々ありそうですが、私は冒頭の数話は見ていてイライラしまくってました(笑)。まず主人公のハオティンを取り巻くいわゆる”リア充”軍団が自分勝手過ぎてイライラ。高校生の男子なんてこんなもんかな…とも思えますが、いきがっていてちょっと人と違うことするのがカッコいいと思っている節がある。そんな風に楽しさだけで過ごしていたい気持ちも分かるけど、真面目に必死に一人の力で生きているシーグゥを目の敵にして、邪魔をしたりいじめたりする姿に心が痛みました。自分たちがそうしたいなら自由にどうぞですが、人を巻き込むなよ…というのが最初の印象ですね。

出典:コンテンツセブン公式YouTube

見返すときには10話を見ないのと同じで、最初の2話くらいも見返してません(笑)。そうやって考えたらこのドラマは私の中では全7話なのかな…。

ハオティンがシーグゥを好きになってから世界が変わる

2話の最後の方からなんとなくシーグゥのことを気になり出すハオティン。感じたことのない感情に戸惑いながらも、自分の気持ちを確信してからは真っ直ぐの愛情表現をシーグゥにぶつけていきます。

とにかく押せ押せでストレートに思ったことはすべて顔にも言葉にも出てしまうハオティンが可愛い。あんなに冒頭「コノヤロー…」って思ってたのに、終わる頃には「ちゃんとシーグゥを幸せにしてやるんだよぉおおおお(号泣)」ってなるから不思議。これもハオティン役のウェインくんの愛嬌のある人柄のなせる業かな。

出典:HIStory3_JP Twitter

シーグゥも最初は拒んでいますが、だんだんそのハオティンの真っ直ぐさや太陽のような明るさに救われ惹かれていきます。孤独ながらも必死に自分の力で生きてきたシーグゥに、愛し愛される喜びを教えたのがハオティンだっていうのがたまりません。

心だけでなく体も求め受け入れていく過程が丁寧に描かれる

これがこのドラマのメインと言っても過言ではないのでは?と私的に思っているほど、お互い想いを通い合わせてからの心情の動きが丁寧に描かれます。

好きだからこそキスより先に進みたい、もっと相手に触れたいと思ってしまう。でも相手はそこまで受け入れきれてないし躊躇してしまう。そこで生じたすれ違いや、どうやって心でも体でも相手を欲していくのか…という過程を、2人の心に寄り添いながら見ることができました。

出典:HIStory3_JP Twitter

ラブシーンもキレイなんですよね…。すごく踏み込んではいるけどキレイに撮ろうとしているのが感じられて、萌えるし眼福だしで素敵なシーンになっていたと思います!

サブカップルの色気

メインであるハオティン×シーグゥと同時で進行していくサブカップルであるボーシャン×ジーガン。こちらの2人はジーガンさんが大人でありゲイであるという設定も手伝ってか、進みがとにかく早い!

出典:HIStory3_JP Twitter

過去の出来事から恋愛に憶病になってしまった大人のジーガンさんに、若さゆえの猪突猛進でぶつかっていくボーシャン。ここもちょっとボーシャン大丈夫か?ストーカー!?って見ていてハラハラしましたが、ラブシーンはメインカップルより踏み込んでいて見てドキドキしました。

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ここからネタバレ入れていきます

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親の問題との向き合い方

男性同士のカップルということで、ここを詳しく描くか描かないかというのでドラマのイメージが変わりますよね。シーグゥはもう両親が亡くなっているので、問題はハオティンの家族の受け入れ方。

御曹司ではないけど、恐らく何不自由なく暮らせてはいる一般的な家庭のハオティン。私たちにとっても身近に感じられる家族の葛藤と受け入れるまでの過程を描いていると思いました。

実は強そうなのはハオティンと見せかけて、芯が通っていて強く立ち向かっていけるのはシーグゥ。その対比と、そこまでハオティンを愛していたのか!いつの間に!という姿に感動しました。

また、ジーガンさんもカミングアウトにより実家と疎遠になっています。そのお父さんに諦めずぶつかっていって、ついには雪解けまで向かわせたのが年下で子どもっぽかったボーシャン。2つのカップルのまた違った家族問題に踏み込んでおり、どちらも上手く解決していたのが良かったです。

色々突っ込み集

①友達の彼女のことに首を突っ込み過ぎ問題

友達の彼女に手を出したとか…それで勝手に乗り込んで因縁付けるとか…マジですか!?しかもシーグゥは勝手に彼女に追いかけられて迷惑しているのに、本当にとんだとばっちりですよね。

出典:コンテンツセブン公式YouTube

②いい人か悪い人か分からなくなる問題

ハオティンの彼女が最初の印象悪すぎるので、最終的にどちらに感情を振ればいいのはちょっと迷子になってしまった…。脇役たちのキャラ設定はよく分からなかったかな。

③双子の弟問題

どうもシーグゥに肩入れしてるし好きなのかな?と思っていた双子の弟のシャ・ダー。におわすだけにおわせて何にもなかったんだけど、入れる時間なかっただけなのか、ただ同情していただけなのか…。最初の方はハオティンの印象が良くなかったから、「双子弟ちゃん頑張れー!」って応援しちゃったじゃないか!

④ボーシャン怖い問題

最初の方「大丈夫!?」って思いませんでしたか?いきなりキスしたり自転車で追いかけたり、勝手に勘違いしてシーグゥに詰め寄ったり。ジーガンさんが想いを受け入れてくれたから良かったものの、下手すればストーカー…。

出典:コンテンツセブン公式YouTube

⑤リビングでしちゃダメ問題

いくら我慢できないからってリビングでキスしたり押し倒したりしちゃダメ。どう考えても親が帰って来るフラグビンビンに立ちまくってたやん!

⑥ベッドシーンより興奮問題

熱に浮かされているハオティンがシーグゥとお互い愛撫し合う…というシーン、キレイに描こうとしているベッドシーンよりある意味生々しくて興奮しませんでしたか…?

出典:HIStory3_JP Twitter

⑦妹が理解者問題

ハオティンの妹、お兄ちゃんのお金で動いているように見せかけて、すごく兄に寄り添い理解しているのが良い。飄々としてそうなのに、お兄ちゃん想いの妹に癒されてました。

⑧同性愛についてBL漫画で学ぶ問題

ボーシャンが男性と付き合っているということを理解しようとする友人たちが勉強に使ったのがBL漫画。それで大丈夫ですか…?

⑨塩買いに行っちゃダメ問題

台湾でも「塩を買いに行く」というのがバッドエンドの隠語みたいになってるそうですね。どのくらいウェブドラマの認知度があるのかは分かりませんが、”WeBestLove”に出ているSamくんが使ってたみたい。それくらい衝撃が強い最終回でした…。

10話の受け入れ方について考える

私は「結末はバッドエンドだ」という情報だけは仕入れて見始めました。バッドエンドと言われたら「別れる」か「死亡」どちらかを頭に思い浮かべると思いますが、まさか死ぬ方が来るとは…。シーグゥが細かったから、吐血しそうだし倒れそうだし、最初っから死亡フラグ立ってるやん!と思って見進めていましたが、病死じゃなくまさかの交通事故。

これ…リアルタイムで観てた方ってかなり精神やられたんではないでしょうか。フラグがまったく立ってない状態で、いきなり10話では6年後に進んでる。(9話終わりで何か不穏ではありましたが)「ん?」と思っていると、どうやらシーグゥが亡くなったらしいということが分かっていく…。

ずっと封印していた思い出の品を開けたハオティンが涙を流し、それを見ていたお母さんがこらえきれずに泣いてしまう。あのシーンで涙腺崩壊しました。時が経っても残された者はその人が生きていたという想い出を抱えて生き続けていかなければならない。ハオティンも事実を受け入れてはいるけれど、心が前に進まない。だからシーグゥが叶えたかった夢をなぞって、それを生きる糧にして前に進もうとしている…。

・ハッピーエンドだったらどうだったのか

ハッピーエンドだった場合とバッドエンドだった場合では、ハオティンとシーグゥの懸命に愛し合って生きていた青春時代の受け取り方が変わると思うんです。2人があのまま愛し合いながら一緒に暮らし、働いて大人になって、別れを選ぶのか結婚するのか…。幸せな日々を見て「良かったね」って終わるのもまた良しですが、ただ過ぎ去った一つの過去としてあの眩しい高校時代がある。あの頃は若くて楽しかったね、と過ぎ去る過去の一つとして。

・大切な人を失った人に寄り添いたかった?

制作側(脚本家)の意図として、”あの日”という副題を付けた通り、このドラマが9話までで描いて来た青春が、輝かしく眩しい2度と戻ってこないものとしての印象をより強く残したかったのかな?とも思いました。大切な人はいつも側にずっといてくれる訳ではない、今この瞬間の気持ちを大事に真っ直ぐ生きることの大切さとか、愛する人を愛せるときに愛そうということとか、そんなメッセージ性も込めたかったのでしょうか。

「大切な人を失った人」にハオティンなりの向き合い方と前への進み方、決して忘れる必要はないということを伝えたいという思いもあるのかな…とも思ったけど、実際の制作側の話を聞いていないので想像の範囲になりますね。

私が「辛いし見返したくはないけど、10話を見なければ良かったとは思わない」というのは、この10話があったことで9話までの2人の物語が余計に刹那的でより美しく色づいてしまったから。(これは賛否両論ありそうですが…)死を描かないとそこまでの映像を見せれないのか!と思う人もいるでしょうが、人間はいつか死ぬもので避けては通れないものだから、そこに踏み込んだ作品があってもいいのかな、とも思いました。

でも願わくば、ハッピーエンドルートも作って欲しいな…。私のこの感想は間違えている、生きて幸せにしていたって青春時代は輝かしく美しく映るぞ!というのを証明して欲しい気持ちもあります。

出典:HIStory3_JP Twitter

まとめ

終わり方は賛否両論あるでしょうが(主に否)3話~9話の内容は見応えもあり、萌えもあり、とても良かったです!一生懸命誰かを好きになり、ただ好きだという気持ちだけで追いかけて結ばれていく過程が丁寧に描かれていて、人を好きになるって素敵だなぁと思わせてくれました。ハオティンがシーグゥの境遇に過度に同情するわけでもなく、お互いそういうものとしてすべて受け入れているところも良かったです。携帯をあげたりご飯を差し入れはしてたけど、他のことはシーグゥの意志を尊重してましたしね。

最後は悲しかったですが、それを癒すかのように2人が日本のウェブドラマ「Life~線上の僕ら」の最終話に少しだけ出演してますよ!画面が暗いしちょっとだけの出演だったのは残念でしたが…これを見たおかげでちょっと気持ちが救われましたよ。まだ見ていない方がいたらぜひ。

出典:Life~線上の僕ら~公式Twitter

そして最終回の衝撃を和らげる最大の方法が、中の人ウェインくんとホアンくんが出てる映像を漁ること!あんな終わり方だったから?なのかは分かりませんが、とにかくハオティン役ウェインくんのシーグゥ役ホアンくんを見る目がめちゃくちゃ愛に溢れています。「可愛い」とか「愛おしい」とか本気で思ってる!?とこっちも妄想しちゃうくらい、愛に溢れているウェインくんを見ることができて心が救われますよ。

※トップ画像はHIStory3_JP Twitterから引用させていただきました。



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