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いま、わたしは たべもの【生後2ヶ月 育児日記】

牛でもヤギでも、搾乳をしたことはあるやろか。

小学生のときに、一度牛さんの乳搾り体験をしたのだけども、なかなかに複雑な手の動きが必要で難しかった。

生まれたばかりの赤ちゃんは、
自分の手の存在を知る前に、おっぱいを探し当て、
飲む力を持って生まれてくるらしい。

器用に舌と顎を使って、
乳腺から出てくる母乳を搾り、飲む。

空腹時の痛そうな泣き声をあげる顔の前に
食糧を差し出した瞬間のかぶりつきの表情は
さながらハンターもしくは獲物にかぶりつく肉食動物のよう。

栄養を差し出す側のわたしはひたすらに
「いまはこの子のたべものなのね」と思う。

わたしの血を原料とした母乳を1日1リットルほど
飲み干す大食いの息子は、
ごくごく飲んで、パタパタ遊んで、
いつのまにかメリーを真剣な眼差しで見つめるようになって、ワーワー泣いて、
スウスウ寝息をたてて

生まれた時はたったの2662gだったのが、
気づけば5.3キロまでになっている。
身長も47センチから60センチに伸びた。

こんだけの成長率、どんな細胞分裂の速さよ。

急成長を支える母乳はどえらい高エネルギーらしく、成人が飲むとあまりの栄養の高さで消化しきれず腹を下すらしい。
 

データで言うと、母乳を赤ちゃんにあげると、1mlあたり0.66kcalを消費するらしい。

もしも、1回の授乳につき100mlの母乳をあげるとすると、66kcalを消費。
1日7~8回の授乳が推奨されていることを踏まえると、トータルの消費カロリーは何と約500kcalにも及ぶ計算に!

500kcalというと、ランニングや水泳1時間ぶんくらいの運動量だ。

たべものとして、それだけ栄養を子に差し出してると、体の中から栄養やらなんやら抜けて
ひたすらお腹が空いて空いて空いて、
喉も乾くし貧血で目はしょぼしょぼするし眠い。
とことん眠い。

母乳育児は経済的だよ、と知った顔で言ってる人いたらしばきたい。
全然経済的じゃない。
質の良いたべものをキープするための食費が膨らむだけで、手間やら身体的負担やら含めたら
母乳育児もミルク育児もおんなじくらい大変だ。


食欲よりも睡眠欲が勝って食べるのを怠けていたら、もちろん母乳は出るっちゃ出るけど
いわば薄めて薄めたカルピスのような状態で
子からするとすぐさま消化してしまって満腹にはならず、すぐぐずってしまう。

たべものとしての質を保つために、
母体は食べ物を摂取せねばいけない。

食欲と反してごはんを詰め込む、
食事=作業になる感覚は妊娠中の食べづわり時期以来だ。

このまま完母のまま卒乳時期までがんばるか、
乳腺炎覚悟で断乳し、
完全ミルク育児にシフトするか
常に二択で迷っている。

どうしようかなあ、
メリットデメリットは…とややこしいこと
考え出すとすぐさま脳みそがショートする
産後ポンコツになった脳みそ。

もうすぐ産後3ヶ月になる今になって
はじまってきた産後の抜け毛。

ここまで弱音を書いて、いろいろと疲れ溜まってんな…
とほほ…と思うけど、

目が合うと笑い、
左手だけだったゲンコツしゃぶりを両手でできるようになり、
喉の奥から歌うように声を出し、
力強くキックをする、

1日1日できることが増える息子の成長は
希望でありよろこびである。

いまは多分、たべものとしてしか認識されてないだろうけど
ひとりの人間として認識してくれる日が来てくれるのが待ち遠しい。


スキを押すと、2/3の確率で冬にうれしい生活雑学を披露します。のこりはあなたの存在をひたすら誉めます。