220914 自分なりの型

若いころ、建築におけるオーソドックスな「型」をただひたすらに学んでいた時期がありました。その経験を経て自分なりの「型」が身に付いた実感があるから、戦略やアピールの仕方をあれこれと変えたとしても、ちゃんと「芯」を伝えられていると思えるんです。

戦略や方法は変わっても、自分の伝えたいこと、やりたいことの「型」はひとつなのです。

保育園に通う子どもに「虹はどうして7色なの?」と聞かれたら、どんなふうに答えますか?答えは3通りあって、しかも「フツウの答え」「いい答え」「最高の答え」のランクがある──という話を、空間デザイナーの谷川じゅんじさんから聞きました。フツウの答えは、「太陽の光の中には色の粒があって……」というようにプリズム現象をかみくだいて教えるもの。次のいい答えは、「君は何でそう思ったの?」と聞き返す答え。つまり、まず問いを立ててあげることで、自発的に考えることを導いてあげるんです。

また、できるだけ口に出すというのは、味方をつくっておくためでもあります。なぜなら、提案が新しければ新しいほど、「今までに前例がないもの」にネガティブな反応を示す人が多いから。知らないことに否定的になってしまう人、すなわち、誤解されることや失敗することを恐れる人はまだまだ多いのです。僕らにしてみたら、知らないことだから興味を持ってほしいし、前例がないものだから提案する。前例があるもの、すでにフォーマットがあるものをつくっても、人の心を揺さぶるものなんてできないはずだと考えています。

言い訳をしないというのは、自分の失敗を後々まで引きずらないための、少し遠回りだけれど確実な処方箋なのだと思います。

谷尻誠. CHANGE-未来を変える、これからの働き方- (Japanese Edition) (pp.105-106). Kindle 版.

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