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東逗子から徒歩12分、沼濱城跡(義朝館跡)へ   吾妻鏡の今風景45

 平忠常の乱(たいらのただつねのらん)ののち、源頼信(みなもとのよりのぶ)の息子の頼義(よりよし)が平直方の婿となったところから、河内源氏と鎌倉とが繋がる。頼義の息子が、八幡太郎義家。元服は石清水八幡宮であるが、一説によれば、その出生地は小田原近辺であったという。
 頼義→義家→義親→為義→義朝。義朝は、曾祖父の義家ゆかりの鎌倉へと下向し、逗子の沼濱に館を構えた。田越川を遡り、東逗子から徒歩12分(実際は20分ぐらいかかる)、の丘の中腹。

 東逗子徒歩12分で検索したら、4LDK駐車場付き中古が5000万円前後(注・2024年現在)。
 沼濱城は、どのぐらいの建物であったのだろうか。一族郎党が住むとなると、30LDK? 馬50頭ぐらいの厩舎と馬場、納屋(武器庫)も必須。


東逗子駅より 進行方向田浦


ハイキングコースまでは行きませんが。遭難事故ですか、遭難事故・・・。


 
 義朝の長男、悪源太義平は沼濱城(義朝館)で生まれたと言い伝えられる。義平の母親は三浦の娘。実家は横須賀衣笠、横須賀線で東逗子から3駅め。東逗子、田浦、横須賀、衣笠。衣笠駅から衣笠城までは徒歩18分(実際に歩くと30分ほど。衣笠城址前から大善寺を経て城跡までは急斜面の登り坂。)
 
『吾妻鏡』建仁二年(1202)二月二十九日 甲辰
 故大僕卿沼濱の御旧宅を鎌倉に壊し渡し、栄西律師の亀谷寺に寄付せらる。行光これを奉行す。この事、当寺建立の最初その沙汰有りと雖も、僕卿彼の御記念として、幕下将軍殊にその破壊を修復せらる。暫く顛倒の儀有るべからざるの由定めらるるの処、僕卿尼御台所の御夢中に入り示されて云く、吾常に沼濱亭に在り。而るに海辺漁を極む。これを壊し寺中に建立せしめ、六楽を得んと欲すと。御夢覚めるの後、善信をしてこれを記さしめ給い、栄西に遣わさると。大官令云く、六楽は六根楽かと。

 北条政子の夢に義朝があらわれ、「我は沼濱亭にいるが、近くで漁師が殺生をするのでいかん、館を壊して寺にせよ、心安らかにしたい」というので、沼濱城の建物を壊し、これを栄西の亀谷寺に寄付した。
 なので、沼濱城はもうない。だいたいの場所が、田越川にかかる馬場橋から、山のほうへと登っていったあたり。平安時代末期には、馬場橋近くまで海が迫っていたらしい。

 聖武天皇の時代、東大寺勧進で諸国を巡っていた行基が沼濱を訪れ、大沼に住んでいた七頭の大蛇を改心させるために十一面観音を彫った。その十一面観音は、さまざまな遍歴を経て、法勝寺に収められているという。七頭の大蛇。そんな怪物が住んでいた、逗子の沼濱。
 法勝寺は、沼濱城跡よりも奥まった田浦寄り。逗葉新道に近い、というほうがわかりやすいか。かつて天台宗であったが、のちに日範(にちばん)が法論に勝って天台宗を日蓮宗とした。現在は、幼稚園が併設されている。


田越川


法勝寺入り口。この時、雨が土砂降り。そういうふうには見えませんが。


法勝寺



 
 さて、前世紀、横須賀で借家暮らしをしていた頃、桜山九丁目に30坪280万(300万だったか?)の土地があるというチラシを見つけた。桜山九丁目、鐙摺漁港の近く、渚橋から山を登っていった場所。
 30坪280万円って破格じゃない?その頃の犬仲間のひとりにそのチラシを見せたら、「ここ知ってるわよ」という。もしかしていわくつきの土地?と聞いたら、「建築物が建てられない土地なのよ」、じゃあなんでそんな土地が売りに出されているのか?「畑でもするんじゃない?」、280万円も出して畑? さらに調べてみたら、建築物さえ建てなければいい、というではないか。
 トレーラーハウスだったら600万円ぐらいで購入できるのではないか?排水設備を含めて1000万円でなんとかなるのではないか?!(注・電気や排水設備に接続してしまうと建築物になってしまうので、実際はNGだった。)
 当時の借家の近くにあった山科台という住宅地(注・駅から徒歩18分、実際には30分なので車必須)では、30坪で新築一棟7000万円とか!(今でも逗子の交通の便のよい新築はそのぐらいするようですが)、それが頭金の1000万円で住まいができてしまう?うわ~!! というとんでもない夢を描いたことのある場所が、桜山九丁目なのでありました。
 
 桜山界隈には古墳が多く、長柄桜山古墳群(ながえさくらやまこふんぐん)という、全長90m前後、神奈川県内最大級の規模を有する2基の前方後円墳がある。ということは、縄文時代から人が住んでいた場所。
 そこに、行基がやってきた。そして七頭の大蛇を改心させる。改心とは仏教に帰依させることで、七頭の大蛇とはつまり先住民族の7人の勇者のことだったのかもしれない、などと想像してみる。


東逗子駅前、スズキマーケット。





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