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日崎さんと出会ってから 2度目の春は、 不思議な電話から始まった。 あれは3月下旬頃、春分の日も過ぎて 外の風や空気にうっすらと 春の輪郭が見え始めた頃。 僕が午後の訪問を終え診療所に 戻ってくると、菅ケアマネが するするっと近づいてきた。 「松嶋君、おかえり! あなたに電話があってさ。 日崎さんの娘さんから」 日崎さんと聞いてドキッとした。 名探偵は冬の寒さで、 体のこわばりが増していたのが 積み重なって調子が悪かったから、 何かあっ