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組織課題を「病気」のメタファで語るべきではない10の理由

組織開発講座に参加される皆さんへ。
次回はお伝えしていた通り「ナラティブ(物語)、メタファ(隠喩)、レトリック(修辞)と組織開発」について学びます。

事務局からの連絡にあるように、今回も事前課題が用意されています。
事前課題の目的は、事前に情報共有し、ある程度の理解を持った上で自部門に当てはめて考えることで、レクチャーの時間を減らすことです。

下記の課題について考えてください。
※提出義務はありませんが、思考プロセスを伝えられるように準備してください。

課題.この動画を観て、あなたの部門で起きている典型的な「組織的な悲劇」を語れるようにしてください。
※「書く」のではなく「話す(語る)」準備をしてください。
※「病気」のメタファ(隠喩)やレトリック(修辞)は用いないでください。
理由は下記の通りです。

組織課題を「病気」のメタファで語るべきではない10の理由

  1. 現状把握・原因特定が不正確になるから
    病気のメタファは原因を単一の要因に帰着させがちですが、組織の問題は通常、複数の要因が絡み合って発生します。この単純化は、問題の真因や要因を遠ざけるリスクがあります。

  2. スティグマとレッテル貼りが生まれるから
    例えば「大企業病」といった言葉は、その組織や人々にネガティブなイメージを強制的に関連付け、スティグマ(社会的な偏見や差別)を生み出す可能性があります。

  3. 解決策を誤導するから
    病気のメタファは医学的な「治療」に焦点を当てがちですが、組織の問題はシステムの構造変容や個々の関係性の構築や組織文化の改善など、より広範なアプローチが必要です。

  4. 一時的な対処に留まるから
    病気として扱うことで、症状を抑える一時的な対応に注力し、根本的な問題の解決解消、課題の達成を見逃すことがあります。

  5. 責任の所在が曖昧になるから
    組織の問題を「病気」とみなすことで、個人や組織の責任から目を逸らすことになり、組織構造の脆弱点(ボトルネック)を見逃すことがあります。

  6. 多様性を無視するから
    複数の組織(社・部・課・係)の問題を同一の「病気」として扱うことは、各組織の独自性や特異性を無視することにつながります。

  7. 議論や対話の機会を奪うから
    病気のメタファは上からの指示や一方的な処方が強化される反面、組織内での議論や対話の機会を軽視する傾向があります。

  8. 文化的適合性に欠けるから
    特定の文化や環境において有効なメタファが、別の文化や環境では不適切となる可能性があります。

  9. 過度に単純化するから
    組織の問題を病気に例えることは、複雑な問題を過度に単純化し、表面的な理解に留まる恐れがあります。

  10. 協働・共創の妨げになるから
    病気のメタファは従来の考え方や既存のフレームワークに固執することを強化し、組織内の助け合いや挑戦的な思考を妨げる可能性があります。

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