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私の仕事はエア社員。

アスリートの起業・事業化から、医療・教育・福祉の現場、製造小売サービスの零細中小企業、そして新規上場・グローバルファーマまで、営利・非営利・行政・政府組織含め、常時10社程度で「エア社員」として事業と組織と人の成長を支援・促進しています。
「エア社員」の名付け親はスターフェスティバルの岸田祐介社長です。

「エア社員」は文字通り「空気のような社員」のことです。

・いるのかいないのかわからない
・いないと困る。でも「圧力」や「突風」が発生するのでずっといられるのも困る
・「社外の人」でもないし「社内の人」でもないし、どっちつかずで「際」や「縁」に立っている
・単年or複数年の業務委託契約が基本
・「お試し」でやってみて合わなかったらフェードアウトするケースもある
・飽きられる(呆れられる)ケースもある
・事業を通じて人と組織をファシリテーション(支援・促進)します

エア社員の出社は月に1-2日程度です。
地方であれ海外であれ、オフサイト(対面)であれオンラインであれ、始業時間に出社して終業時間に退社します。
深夜まで残業をすることや、早朝・休日出社をすることもあります。
業務委託なので就業規則は適用されません。
出社日以外はリモートやグループウェアで案件に携わります。
毎夜、各社の日報やグループチャットをつぶさに追いかけています。

守秘義務があるので「何をしているか」を具体的には伝えられないものの、現在のクライアントでは、おおよそこのようなテーマを取り扱っています。
・社員参加の中計のプロセス設計
・役員の「自己組織化」に関する学習
・事業部単位の月次振り返り
・小売業から製造業への業種変更、構造改革
・全社横断プロジェクトの推進
・次世代リーダーの育成
・社長と新規事業のビジネスモデル構築
・人事部と社内ファシリテーターの育成と研修プログラムの設計

「エア社員」は役職による権限を持ちません。
トップ-ミドル-ボトムの「ボトム」に位置しています。
人事権も予算権も持ちません。
なので、「私が決める」ができません。
エア社員として物事を決めるには、同僚の合意を得て(根回し調整)上司の同意を得る(稟議・決裁)必要があります。

エア社員はこうした社内にある「暗黙的・形式的に存在する意思決定プロセス」を支援、促進します。
既存社員が年次や職位、級等や部署の垣根を越えられず、かつトップ-ミドル-ボトムも自らの意志で自由に往来できないときもエア社員の出番です。
糊・ボンド・つなぎ(溶き卵)・両面テープみたいな役割です。
「ウォーキングデッド」におけるジーザスみたいな感じ、「あん」における徳江さんみたいな感じ、「男はつらいよ」における車寅次郎みたいな感じの役割です。

僕は、年次や職位や級等や、分業によってもたらされる部署の垣根は、社内外の秩序を維持するために必要だと思っています。
この垣根の存在を否定も肯定もせず、その美しさを保ったまま「内」と「外」を往来するのがエア社員の役割です。
ですが、年次や職位や級等や分業が肥大化すると(時々カオナシみたいになっちゃうことがある)、部署の垣根が事業の成長を阻害することがあります。

そんな時がエア社員の出番。
エア社員には体力・情報収集力・心理的柔軟性・観察構造化スキル・言語化スキルが求められます。(説得・説諭スキルは実はそれほど求められない)

そんなエア社員稼業が10年続いておりますが、エア社員にも「辞めどき」があります。
・「彰がやってくれると思ってた」
・「彰が上司だったらいいのに」
・「決めてもらっていいですか?」
・「(社員を)評価してください」
・「(現任者が)後任に引き継ぐので」
こんな事を言われたら退くタイミングです。
できるだけ気づかれないように、すっといなくなります。
僕の存在が事業を阻害しているからです。

エア社員的な仕事の仕方(働きかた)を「プロティアン」と呼ぶむきもありそうですが、僕はプロティアンではありません。
サブスク客先常駐ファシリテーターとして、確固たるビジネスモデルとメソドロジー(方法論)があります。
僕のエア社員アプローチの思想的土台はガーゲンの「社会構成主義(Social Costruction)」に依っています。

エア社員アプローチについては、また日を改めて書きます。

ひとまず今日はここまで。

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