タイムバンクは、個人で活動したいというものの1つの光だった(後編)

前編は売買や手数料など、システム的側面に焦点を当てたので、後編は、もう少し本質的な所を話します。

良かったところ:スキルシェアコミュニティ

タイムバンクには様々なジャンルの専門家が上場していて、時間を買い、行使しなければ投資になり、行使すればリワードを受けられるという、選択肢が与えられることが魅力でした。

このことにより、リワードを使うよりも、キャピタルゲイン目当てで時間を使わないという層がかなりいたように思いますが。
自分もタイムバンカーの集いのメンバーに誘ってもらってから、心理的ハードルがとれ、続々リワード利用をするようになったので人のことは言えません。

リワード利用が躊躇なくできるようになると、上場者の全スキルがお金を出せば共有してもらえるようになるので、このコミュニティの存在はかなり大きいです。

後半では上場者も、他の上場者のリワード利用をする文化が徐々に築かれ始め、まさに各々の得意なことで助け合うという、そこは理想郷のように私には見えました。

私は全然人脈が広くないのですが、タイムバンクのおかげで、普段関わることができない専門家と交流し、サービスを受けることにより、例えば自分の手がけているサイトも大きくできたと思っています。

今、そのユートピアが無くなりつつあり、改めて大きな存在だったことを実感しています。

最後に、価値主義経済を実感

価値主義という言葉は、メタ佐藤さんが述べられている言葉の意味通りですが、上で述べたスキルというのは、他人に大したものを提供できない人もいます。勿論私もその1人です。

少し話は変わりますが、私は新卒時にいい会社に入社しないと厳しいだとか、会社を途中でやめたりブランクを作ったら終わりだとか、正社員として週5日働くべきだとか、そういう当たり前の風潮に少し疑問を感じています。

また、嫌々生活のために働いたり、組織に搾取されながら働いているであろう人を見ると残念な気持ちになります。

しかし、タイムバンクの上場者は、全員が自分の好きなことをリワードに掲げ、発信していたので、生き生きしていたように見えました。この、生き生きしているというのがこんなにも重要なファクターなのかと気づいたのは、時間主総会でアイドルのライブを見たときもそうでした。

こういうプラットフォームで活躍できそうな人は、生き生きしている人。絵を描いたり、デザインをしたり、歌が歌えたり、つまり価値を提供できる人達。逆に、どこの難関大学を出ているとか、何何商事の社員だとか、そんなステータスは重要な要素ではないので、なんだか下克上というか、新しい世界を見たようでした。

タイムバンクの成否にかかわらず、遅かれ早かれ、インターネットにより価値の伝達がより滑らかになるので、こういう傾向になっていくのかもしれませんが、その経済をいち早く体感できたのは大きな学びでした。

終わり