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幻想でしかない何か

飲みに行くことも少なくなって、
連絡頻度もなんだか落ち着いちゃって、
それぞれが"大人"になった今。

LINEの通知に、あなたが現れた。

「結婚式やるから〇〇は来るの確定ね!」

ムカついた。

誰と結婚するの?
前に話していた彼氏さんと続いていたの?
何も知らなかった。何も教えてくれなかった。
LINEを無視してやろうかなんて思った。

でも、彼女が結婚式に呼んでくれた嬉しさの方が勝っちゃったんだよね。
私って、特別な友だちだもんね。

えー、

何色のドレス着るんだろう。
私、絶対にあなたの結婚式で泣きたくないんだけど。
だって、泣いたらさ、

「えー!?〇〇、泣いてんだけどー!」

とか言って、泣いてる私とのツーショット撮って、インスタに載せたりするんでしょ。

狡いよ。

私の結婚式では泣かなかったくせに。
てか、泣いてる私見て、ゲラゲラ笑ってたじゃんね。

ふと、学生の頃を思い出す。
傘を忘れて、雨の中を駆け回ってずぶ濡れになって笑ってる彼女。
文化祭の出し物を準備しているのに、なーんも手伝わないでふざけていた彼女。
サイゼで勉強している私に、間違い探しの残りひとつが見つからないと言って、間違い探しに付き合わせてきた彼女。

私が恋人に振られてたくさん泣いていたときは、珍しく、「〇〇は良い女なんだから、あいつなんか忘れて良いんだよ!〇〇は幸せになれる!」って真剣な顔で言ってくれたよね。

あー、なんか、涙出てきた。悔しいな。

私ばっか、あなたを見ている。
私ばっか、あなたを思っている。
私ばっか、あなたのことが好きでいる。

結婚式のあなたも、
みんなに写真撮ろうよー!って囲まれて、
ニコニコ笑ってるんだろうな。

みんなの"アイドル"だったもんね。

てか、私の知り合いとか、結婚式来るのかな。

高校の友人たち、とか、
ひと括りにされたくなさ過ぎ!

なんか、また、ムカついてきた。

高校の卒業式のことを思い出して、嫌な気持ちになってきた。

はぁ、

しょーもない思い出ばっかなのに、
涙が止まらなくて、
ひとこと、「おめでとう」とだけ、返信した。

すぐにLINEが返ってきて、

「え!?結婚式、来るよね!?」

って。

あなたってひとは、本当に、本当に。

「行くに決まってるじゃん。」

.....

君の幻想 夢で逢えたら
後日談

Photography by えのき

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