薬が効くまで

地雷は突然踏み抜かれる。

爆誕した希死念慮を抑えるために、用量を超えない範囲で薬を飲む。

薬が効くまでうずくまる。

早く効いてくれと思いながら、思考をあっちこっちに飛ばそうとする。

弱過ぎる自分に腹が立つ。

頼むから現実にならないでくれ。

私が想像する最悪の事態。

死んでやると思って、やっぱり死にたくないと思う。

私は諦めが悪い。

嫌なことがあると、何もかも楽しくなくなる。

眠気が来るまでの過ごし方も分からず、ここまで来てしまった。

YouTubeも見飽きた。

音楽を聴けば感情移入し過ぎるし、SNSは雑音でしかなくなるし。

本を読むなんて以ての外。

今の私にそんな頭のキャパは無い。

文字の羅列を、眺めて、何も入らず邪魔な思考が入ってくるだけになるのは目に見えている。

なんでこんなに死にたくならなきゃいけないんだ。

なんで気にしないができないんだ。

もう嫌だ。

もう嫌なのに、ちゃんと薬を飲んで、明日のアラームを掛けて。

何がしたいんだか分からない。

お酒のせいで余計に死にたくなると思って、ビールの小瓶をふたつ開けた後はソフトドリンクを飲んだのに。

また訳が分からなくなって、気づいたら病院で目が覚めたらなんて、馬鹿みたいなことを思う。

疲れているのかもしれない。

私が過量服薬をしないのは、その後頭が馬鹿になることも、みんなに迷惑を掛けることも、好きな人にガッカリされることも分かってるからだ。

ちゃんとしないと付き合ってもらえないから。

それだけが動機で生きてるだけなのが、怖くて仕方無い。

ただの抑止力でしかない。

好きな人はいるよ、とみんなに言う度に悲しくなる。

自殺企図がもたらす結果は、死ぬか、生きて後悔するかの二択だ。

頓服を10錠くらい飲んでしまいたい。

大人になりたいだけなのに。

大人にならなきゃいけないのに。

早く眠くなってくれ。

生きる理由なんて、勝手な期待だけ。

いつか報われるだろうと信じてやっていることが、報われなかったとき、私がどうなるか。

それはそのときの私に任せる。

強くなりたかった。

プライドだけ無駄に膨れ上がったから、こうなってしまった。

あの日のことを一生後悔して生きるくらいなら死にたい。

忘れたい。

このままじゃ頭がおかしくなる。

もう良いよ、って言われるのを待っているのかもしれない。

認めてもらいたいわけじゃない。

許してほしい。

誰かに話したいわけでもない。

この孤独は、失った幸せを取り戻すことでしか埋まらないことは分かってるから。

自我が揺れている。

脆くて、おんなじようなパンチを喰らったら、倒れそうなくらいに。

いつもの私も分からなくなる。

涙も出なくて悲しい。

泣いたら少しは楽になるのに。

薬が効いてきた。

おやすみなさい。

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