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冷たくなる、夏

暑い日が続いている。私と一緒に、公園の紫陽花もバテている。

夏に限って、髪を伸ばしていることが多い。髪を括っていないと、気持ち悪くて、ついついお出掛けの日も髪の毛を結んでしまう。
本当は、髪の毛にアイロンを通して、温い風にサラサラの髪を靡かせたい。

誕生日も近くなって来たので、本格的に食事制限と有酸素運動をしていかなければならない。ちゃんと半身浴もしなきゃね。脱毛は予約したから、後は睫毛パーマと美容室かな。
毎朝、顔に日焼け止めを塗りたくなくて(ベタベタするから)、試しに帽子を被って自転車を漕いだら、髪の毛がペタンとして、それも不快だった。

去年の夏のことをふと思い出す。
幸せに生きていた。誕生日も恋人と旅行して、あのときの私の写真は満面の笑みばかりで。本当に本当に幸せだった。
誕生日を迎えてすぐに、恋人に振られて、去年の夏は最悪だった。
ひとりでいると死んでしまいそうだったから、日中はひとに会って誤魔化していた。動悸や不眠で薬は増えて、夜勤をするのが難しくなって勤務を調整してもらって。

誕生日が近くなるにつれて、しんどかった夏を思い出す頻度も増えて来た。身体が冷たくなる感覚に陥る。どうしようもなく、不安で、不安定だ。

去年と今年の夏は違うものだし、去年と今年の私も違うものだし、分かってるけど、怖い。
死にたいと泣く日々に戻りたくない。
ひとは死ぬと冷たくなる。精神が死に近く感じる。滲んだ汗が、つーっと落ちていくような、足の裏で、地面を踏ん張れなくなるような、変な感じがする。

死のうと思って足を運んだ踏切。
通り掛かる度に、あのときの私はどうかしていたと思うと同時に、別に私は今死んでも良いんじゃないかと思ったりもする。

どうか、弱い私でも生き抜くことができる夏でありますように。扇風機にアーー、と声を当てで遊んでいるときみたいな些細な幸せでも良いので。不幸でない夏でありますように。

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