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オススメを聞く女

札幌は紅葉が見ごろです
病み上がりのリハビリを兼ねて
今日は紅葉狩りに行ってきました

北海道には、雪虫、という
小さな羽虫がおりまして
その名の通り
近々に雪が降るよ、の合図の虫と言われています

今年の雪虫 こんなにキレイじゃない

数年前まで、この雪虫と降雪の関係性が
バッチリ当たっていたのですが
覚えている限りで、3年前から外れまくってます

あげく、今年の札幌近郊では
この雪虫が大発生してまして
山ちゃんも、400匹ほど食べました
鼻から口から、髪の毛から耳の穴まで
避けられないほど宙に大量なのです

つまり、情緒のあった雪虫は
初雪も当たらないし、大量で迷惑千万
もうその存在価値すら危ういのでした

さて、肝心の紅葉です

雲の隙間から陽が照って
紅葉が黄金色に輝いて
我々は圧倒させられたのでした

さっぽろ湖、というダム湖です
真っ赤な他人20人くらいで
いっせいに写真撮ってました


今日は4人で紅葉狩りに出かけたのですが
うち1人は初めましてで
30代半ばのオシャレ女子でした

持ち前の人懐っこさと愛嬌を使って
ぐいぐい人のプライバシーに入り込んできます
悪い気はしないのですが
初対面で話したくないなということほど
やたらと追及してくるのが凄い
鼻の利くヤツでした

このオシャレ女子を、静江ちゃんとしましょう
静江ちゃん、なかなかのこじらせ女子だったのです

目的地は、札幌都心から車で40分
定山渓温泉です
ランチは帰り道沿いにある
近代化の進んだ洋食屋にしました

今日のオススメランチ
きのこたっぷりペペロンチーノ

静江ちゃん:
すいませーん、今日のこのオススメって
ニンニク抜きってできますか?

店員:
はい、大丈夫ですよ

静江ちゃん:
このハーブティをアイスにできますか

店員:
ちょっと待ってくださいね
確認してきます

店員は厨房に消えてゆく
我々が店に入ったのが13時半だったので
店内は満席ながら、あとに並んでる客もいないので
比較的落ち着いていた

俺はオムライスとビールで決まり
友人はワタリガニのトマトパスタに
ミートソースグラタン
3人は早々にオーダーを決めている

店員:
お待たせしました、アイスのハーブティ
大丈夫です

静江ちゃん:
良かったぁ~ サラダのドレッシングは
何味なの?

他3名は、静江ちゃんに分かるように引いた
セットのサラダのドレッシングの味を
確かめないとダメ?

店員:
普通の、えっと、なんて言ったらいいんだろ
確認してきます

また、厨房に消える店員
静江ちゃんは、涼しい顔でメニューを覗いてる
我々のオーダーは決まっているのを
静江ちゃんは、知っているのだろうか

店員:
お待たせしました、レモンが利いた
塩味のドレッシングです

静江ちゃん:
ふーん、そっかぁ
じゃあ、私も

ミートソースグラタンにしよっかな

山ちゃん:
ひゃおぇっ!

静江ちゃん:
ん?どうしたの山ちゃんさん

山ちゃん:
い、いいの?
この流れだと
きのこたっぷりペペロンチーノでしょ
サラダは、全員につくんだよ

静江ちゃん:
うん、大丈夫
グラタンが食べたい気分♡

店員:
で、では、ミートソースグラタンですね

静江ちゃん:
お願いしまーす

ランチが終わって、それぞれ清算している時
アイツ、変わってるよな
運転手が、呆れた顔でトイレに向かった




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