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【読書 】ジェームズ・ロリンズ/暗黒結晶ディープ・ファゾム DEEP FATHOM

シグマフォースシリーズ作者ジェームズロリンズによる初期の作品です。少し読むのに時間がかかってしまいましたが、ようやく読み終えたのでいつも通り感想を。

ロリンズ作品の鉄板、世界遺産、歴史の謎、最新科学(とんでも科学?)、アクション、ロマンスをまとめて分刻みのサスペンスハラハラドキドキ仕立てで、毎度のことながら外れなしでした。

例に漏れず、出てくる要素が多すぎてどこから手をつければ良いかわからなくなるのですが、エアフォースワンと共にアメリカ大統領が事故死、そこから始まる世界情勢の不安定化。ここでは今の世情を先取りしているかのように台湾有事が始まり、世界大戦さながらの状況に陥ります。ロリンズさんの調査をストーリーの組み立てが緻密な調査に根ざしているものということがよくわかります。

そこから舞台は環太平洋の島々をめぐります。日本の沖縄、与那国島も出てきます。失われた文明の残した謎の文字をめぐる謎解きは言語学者が最新AIを駆使するのですが、この作品の出たのが2001年ということですから驚きです。

主人公ジャックは元宇宙飛行士。ミッションの中で彼女を含む他のメンバーを失い、彼らを救えなかった原因は自分にあると思い込み、塞ぎ込み、宇宙を離れて、海をベースに生活をしています。

もう一人の主人公、というかジャックのライバルがデビッドです。エアフォースワンの事故調査に乗り出した主人公ジャックを付け狙う彼は、事故で死んだ元メンバーの一人でジャックの彼女だったジャニファーの兄です。妹の死の原因がいまだにジャックにあると逆恨みしています。

後の作品とのつながりを感じさせたのは彼が所属している部隊の名前、オメガチームというのです。かなりの精鋭部隊ですがこっちは悪いです。同じギリシア文字を冠するシグマフォースとはえらい違いですね。

ネタバレするような細かなストーリーは書きたくても書けないくらい複雑なストーリーですが、いつも広げた大風呂敷をどう畳むのかもロリンズ作品の面白いところ。あっさり片付けてくれるの今まで何度も味わってますが、今回はちょっとこれまでにはない展開でした。丁寧にストーリーにうまく取り入れながら読者が感じるであろう矛盾もきちんと説明してくれています。

なお、シグマフォース共通の登場人物もいるのですが翻訳や出版の違いもあり、読み方が違ったり若干違和感を感じるところがありますが、気にしちゃいけません。無視して読みましょう。

ロリンズファン、シグマフォースファンならずとも読んで損はない、面白い作品でした。

おすすめ度:★★★★(初期の作品で若干荒削りなところがありますがそこをさっぴいても面白いですよ!)


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