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(現役皮膚科医が教える皮膚科に行かなくても健康、綺麗になる方法)虫刺されのお話①

みなさま、こんばんは!
早いもので本日から9月。夏休みも終わり新学期が始まりましたがまだまだ暑い日が続いています。
前田医院は自然がいっぱいの島原市にありますので毎年たくさんの虫刺されの患者さんを診察します。今回と次回は代表的な虫刺されのお話をしたいと思います。

外来では一年中見かける疾患ですが、やはり春から秋にかけて増える皮膚トラブルです。
虫に刺されたり吸血されることで生じるかゆみのある丘疹(ぶつぶつ)が一般的な症状です。

虫のなかで吸血するのはノミ、ダニ、蚊、ブヨなど。毒針で刺すのがハチ。ます。咬むことで皮膚炎を起こすのはクモ、ムカデです。
また、毛虫皮膚炎は毛虫の毒毛が肌に刺さることで生じます。

虫さされによって生じるかゆみは、虫の毒や唾液の中に含まれる物質に対するアレルギ-反応によって生じます。
アレルギーは刺された直後からかゆみや赤みが出現し数時間で軽快する即時型反応と
刺された2日後くらいにかゆみや赤みが出現して数日で軽快するという遅延型反応の二つがあります。
アレルギー反応にはかなり個人差があります。

次に代表的な虫刺されについてお話します。

○蚊刺症

蚊に一度は刺されたことがある人がほとんどだと思います。
虫刺されの中では一番多いです。
吸血するのはメスだけです。顔、手足などの露出部を刺されることがほとんどですが薄い衣類などはその上から刺されることもあります。
蚊に刺されるとかゆみ、発赤(即時型反応、遅延型反応を含む)が生じます。
一般に乳幼児期には遅延型反応のみ、幼児期~青年期には即時型反応と遅延型反応の両方、青年期~壮年期には即時型反応が出現し、老年期になるとどちらの反応も弱くなるといわれています。実際には個人差が大きいです。
蚊に刺されないように屋外では肌を露出しないように覆うことが大切です。また、防虫スプレ-なども効果がありますが種類により子供に使いにくいタイプのものもあります。昔からハッカ油には虫除け作用があるとされており、香りも爽やかで身体にも無害のため必要に応じて使用してみるのもお勧めです。



○ネコノミ症

夏に多い代表的な虫さされです。ネコノミはネコやイヌなどに寄生します。足元に飛び付き吸血するため膝下に症状が集中している人が多いです。
室内で飼育するペットに寄生している場合は室内でも吸血されるため上半身や体幹部も症状が出現します。
ノミ対策には燻煙殺虫剤が有効です。ネコのノミ対策も併せて行いましょう。

○ダニ刺症

ネズミに寄生するイエダニ刺症が有名です。ネズミが生息する古い住宅などで被害にあいます。就寝中吸血しますが
蚊と違い露出部ではなく服や下着に隠れた体幹部などを刺すことがほとんどです。

イエダニ対策には燻煙殺虫剤が有効ですが宿主であるネズミの駆除が必要です。



マダニ症 

10年ほど前にマダニにが媒介する重症感染症(SFTS)が全国的に報道されたのでご存知の方も多いと思います。
山登りやレジャーだけでなくペットの散歩や農作業の際にマダニに咬まれることがあります。マダニは通常野生動物に寄生していますがヒトの被覆部の皮膚に咬みつき吸血します。数日から一週間ほど吸血後にはダニの腹部が数mmから1cmくらいまで大きくなりその後自然に脱落します。
マダニは咬みついたあとは口からセメント状の物質を分泌し自分の口と皮膚を固定します。咬まれてからおよそ24時間経過するとセメント状の物質は固まり、引っ張ってもなかなか取れません。
無理に取ろうとすると、頭部が皮膚に残りしこりを作ったり炎症を起こします。
マダニに咬まれているのを見つけたら無理に取ろうとせず皮膚科を受診してください。
また、マダニ症は時にライム病や日本紅斑熱、SFTSなどの感染症を引き起こすことがあります。頻度はかなり低いものの、発症すると重症になりやすいため咬まれたあとに発熱や発疹、全身倦怠感などが出現した場合も直ちに医療機関を受診するようにしてください。
マダニ対策は屋外では肌を露出しないこと、衣類の隙間を作らずマダニの侵入を避けることです。

マダニの唾液中に含まれるα-gal(ガラクトース-α-1,3-ガラクトース)は牛肉、豚肉、羊肉などにも含まれています。マダニに繰り返し刺されることで、このα-galのアレルギーになってしまい、牛肉、豚肉、羊肉などを食べられなくなるケースもありますのでご注意を。

最後までお読みいただきありがとうございました。続きはまた次回に…

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