たかさんは、20代の頃に統合失調症を発症してから、何度も入退院を繰り返してきました。そのたびに、スケッチブックに色鉛筆で絵を描いてきました。絵を描くと、とても心が落ち着きます。た…
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再生
ドキュメントとしての表現
「ドキュメントとしての表現」 埼玉の浦和で開催された障がい者アートの展覧会に兄の作品を展示していただきました。 初めてのことなので、兄も私も何が何やら…という感じで開催を迎えました。 スペースは程よい広さで、どの作品も個性豊かで、いわゆる「障がい者アートっぽさ」はなく、観る視点がフラットになるように工夫されている印象でした。 それが故に、この展覧会を障がい者アートで括る境界線はどこにあるのかしら?という謎解きが始まるのです。でもそれは、健常者で括られる側にいる私の色眼鏡なのかもしれません。 そんな眼鏡を外して、それぞれの作品と作家さんの背景をひとつひとつ堪能してみると、とても多様な世界が広がっているのがわかります。 主催者の中津川浩章さんは、長年この分野でたくさんの展覧会やワークショップを実施していらっしゃるそうです。それぞれの個性を読み、きめこまやかにアレンジして頂くので、作品や作家が持っている力がさらに輝きを見せるのです。なるほど、キュレーションとはこういうことか、と感心することしきりです。 精神疾患を抱えている作家さんたちのこころの問題は、とても奥深く複雑に入り組んでいて、なかなか言葉で表すことはできないけれども、絵を通して表現することが生きている証であるかのように、刻一刻時間を刻むかのように、ドキュメント(記録)としての表現がここにある、のです。 これまでコツコツと積み重ねてきた、福祉・美術関係の方々の地道な活動があってこそ、こんなにも拡がりを見せ、クオリティの高いものが集まってくるのでしょう。メジャーに対してのカウンターというよりも、新しいメジャーが生まれればいい。色んな意味でとても楽しみです。