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現代ならではの引受審査乗り越え方

ランサーズにて経営企画室長をつとめている多胡です。
前回はエクイティストーリー着手時期の重要性について共有させていただきましたが、今回は最初の関門である引受審査の乗り越え方について、ランサーズとしての経験をお話したいと思います。

▼ランサーズIPOチームのTIPS リレー
0. ワーママ女性CFOがランサーズIPOを経て学んだ4つのこと
1. 雲外蒼天。投資家との初ミーティング
2. 現代ならではの引受審査乗り越え方
3. OOOー乞うご期待ー 

正確かつ迅速な回答が求められる引受審査

ランサーズの場合は、GWが明けたあたりから、証券会社の引受審査が始まりました。この引受審査というのは、主幹事証券会社が行う審査業務であり、その会社が上場するにあたり適正かどうかを様々な観点から確認されるもので、東証の上場審査に先行して実施されます。具体的には、事業内容、管理体制(予算・売上債権・労務・システム)、業績・・・など本当に丸裸にされます(笑) !また一連の流れとしては、①ものすごい数の質問リストを受領し、②2週間ほどかけて回答準備し、③審査担当部/担当者に送付し、④③の回答に対して追加で質問をいただき、⑤⑥さらにそれらに対して数日で回答し、⑦翌日以降に対面でヒアリングを受ける、というものです。時間軸や質問内容・数は各社のサービス内容や歴史に応じて変わってくるはずですが、ランサーズは創業10年強、サービス数も多くあるので、質問数は多めだったのではないかな?と思います。

■流れ(ざっくりとした時間軸):
①質問票受領(0日目)
→②回答準備(1~13日目)→③回答(14日目)→④追加質問票受領(15日目)→⑤回答準備(16~17日目)→⑥回答送付(18日目)
→⑦インタビュー(20日目)×3
■各質問票の質問数:
・第1回質問票:約200問 
・第2回質問票:約50問
・第3回質問票:約50問

当時の自身の日記を読み返すと「神経がすり減っているのを感じる」と書いてありました(笑)。質問に対して「正確」に回答をすることはもちろん「迅速さ」求められているので「いかにチームで効率よく動けるか」がポイントになります。
※回答準備に追われる経営企画チーム

経営企画チーム

回答準備のパターン化

前置きが長くなりましたが、ここからが本題になります。
ランサーズでは、質問票を受領した後のチームの動きをパターン化し、
無駄なコミュニケーションや不必要な動きをしないようにしていました。

具体的には、①質問票を受領したら、すぐに②-Aプロジェクトチーム内で担当振りをし、②-Bその担当者が10日目ぐらいまでに回答書を作成し、
②-C12-13日の間にチーム全員で3h-4hぐらいかけて読み合わせをし
(必要に応じてその場で修正)、③最後提出、というフローで回しており、
東証審査を合わせると6回ほどこの流れを実施してきました。最初に回答の仕方・時間軸など含めたフローを構築し、毎回同じフローで回答書作成をしていたので、後半になるにつれてチーム全員が動き方を把握して、リマンドやスケジュールについて明示しなかったとしても、阿吽の呼吸で各自が「いつものように」という掛け声で自然と動けるようになっていました。

またヒアリングに関しても同じで、回答者(ヒアリングに参加する人)は毎回同じ人にしていました。②で財務・法務・内部監査担当者含め回答はIPOプロジェクトチーム全員で作成しますが、回答者(MTGに常に参加する人)はCFO+経営企画の3名に絞っていました。たしかに、範囲外の内容含めて事前に全て4名にインプットし回答できるようにするには少し時間がかかりますが、一貫性が求められる審査において、回答をぶらさない、という意味で非常に良かったやり方だと思います。

最強のバックアップ体制

またヒアリングは毎回3~5時間にのぼり、どんどん深堀りがされていくなかで、その場で即答できない質問も出てきます。そのようにすぐ回答ができない時には、社内の適切なメンバーにすぐチャットで質問し、その場でできる限り回答し、宿題を残さないようにしていました。会社全般に関わるヒアリングなので、上述した4名で回答しきれないことはもちろんあるので、そうした時はチャットツールで把握していそうなメンバーに聞き、すぐに回答をいただき、その3~5時間のミーティング内でできるだけ打ち返すようにしておりました。
裏でサポートしてくれるのは、CEOを含む経営メンバーを始め、各領域のエキスパートのメンバーでした。このように、できるだけ口頭でその場で返答させていただくことで、ランサーズチームのその後の負担(追加質問に対するドキュメント作成)を減らすことができ、また審査担当の方には「すぐ疑問がなくなってよかった」といった印象を持っていただけたのではないかと考えています。

まとめ

長くなりましたが、こちらが引受審査におけるTIPSになります!!

TIPS②:初回に回答準備のフローを構築し、パターン化をはかる
TIPS③:チャットツールを活用し、審査時間中にボールは打ち返す

最後に

言わずもがなではありますが、諸先輩方が各社にてIPOを「成功」に導いていらっしゃる中でこういった一ベンチャーの一体験を共有させていただくことに恐れ多さは感じております。ただ「1雲外蒼天。投資家との初ミーティング #ランサーズIPOチームよりささやかなTIPS 」にてお伝えさせていただいたように

今後IPOを検討されている皆さん(特に現場で実際動き回る皆さん)の参考に少しでもなれたら嬉しいです。

という気持ちでこちらの記事は作成しておりますので、どうぞ暖かく見守っていただければと思います。


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