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口コミやレビューを盲信するな

僕は食べログでカレーのレビューを多数書いています。カレー関係のレビューしかしないと決めてそうしているのですがそれでも積もり積もって2023年10月現在で6200件を超えていて、まだまだ辞める予定もないので生きている限り増え続けていくことでしょう。いつの間にか食べログのレビュワーアワードなるものでゴールドを毎年受賞するようにもなり、食べログmagazineで連載もしております。


僕の口コミ、レビュー、あるいは連載記事を参考にしてくれている方が大変多いことに対して有難くも思いますし、同時に、あくまで参考程度にしてもらって盲信はしないで欲しいとも正直なところ考えているんです。

常々感じているのは、グルメサイトの口コミに左右されすぎる方が少なからずいるということ。
味覚なんてものは人それぞれであり、僕にとって美味しくてもあなたにとって美味しいとは限らないし、逆もまた然りなのですが、それを何故か盲信する方が少なからずいるようで、時折「あいつのレビューは嘘ばっかりだ」などと言われることもあるわけですが、僕から言えば「嘘なんかついてないですよ。あなたと僕の味の好みが違うだけでしょ。」ってことなんですよ。

誤解が無いように僕のスタンスから説明させていただきます。
ここ10年程はカレーでメディアに出ることが多いのでカレーで飯を食っていると思われることが多いのですが、僕の本業は音楽であり、現在も収入の約8割は音楽です。
音楽業に関してはアイドルの指導育成、制作という裏方としての仕事なので自分がメディアに出ることはほとんどありません。だから誤解が生じるのでしょうが、音楽業が充実しているのでカレー関係の仕事が全て無くなったとしても金銭面で生活に支障をきたすことはありません。
あくまでカレーの仕事は趣味の延長線上であり、お金を儲ける為にはやっていないし、やる必要も無いのです。
では何故やっているかというと、僕が好きなお店の為になれば、あるいは美味しいカレーの情報を探している方々の参考になればという思いでやっているというわけです。
趣味の延長だからこそ本業でやっている方々の仕事を無闇に奪うことにならないよう、ギャラをいただいています。また、お金をいただくことによってより責任感を強く持ち、お店の選定や執筆にあたっているという意味もあります。

そんなわけで僕が紹介しているお店は、連載にしろTVにしろ、全て僕自身が選んでいます。僕の連載、レギュラー出演しているTV番組は、お店の決定権を僕に持たせてくれているところばかりです。
稀にレギュラー外の単発の仕事で「このお店を紹介してください」という案件もあるのですが、そのお店が自分の好きなお店であればお受けしますがそうでない場合は全てお断りしています。
と、このようなスタンスでカレー関係の仕事にあたっているのです。

閑話休題。
レビューの話に戻します。
カレーについてレビューを多数書いている方は僕の他にもいます。僕自身も元々はカレー評論家、研究家の先輩方の書いた記事や口コミやカレーブロガーのレビューを参考にしていたのですが、ある時からそんな方々の口コミについてもほとんど見なくなりました。

何故かというと、情報ゼロの状態で自分が感じたままに口コミや記事を書きたいと考えているからです。
僕についてではなく一般論ですが、情報を入れてしまうとどうしてもそれを無意識になぞってしまうことにつながり、それによって誰か有名なレビュワーが美味しいと書くとその後にも「美味しい」という投稿が続くという状況をよく見かけます。
また逆に、誰か有名なレビュワーがあるお店を批判したとすると、自分は食べてもいないのに「そうだったのか。ならもう行かない。」などと言う方もいて、僕からしたら「何で?」って思うんです。

その人と自分の味覚が同じなわけじゃないのに。さらに言えばお店の評価は味以外の部分も含まれることが多いわけで、その価値観を考えると有名レビュワーだとしても自分とかなり違うはずなのに。
なのにどうしてそんなに盲信するの?と不思議に思います。

そもそも僕が食べログのレビューを書き始めたのは、僕が美味しいと思うお店の評価が低かったり、逆に高評価なので行ってみたもののまるで自分の好みと合わなかったことがどちらも少なからずあったから。その時既に揃いも揃って同じようなレビューが並んでいることに違和感を覚え、自分の感じたままに色々と書いてみようと考えてスタートしたのがきっかけで、気づけばいつの間にかその色々が6000を超える数となっていたというわけです。
他の数多くの記事を書いている方々(つまりプロとして記事を書いている方)の意見を見ても、いまだに自分の意見とはかなり違うと感じることがあります。そんな時は「あぁ、この方の味覚と自分の味覚や価値観は違うのだな。」としか思わず、騙されたと思ったことはないです。
そして自分がレビューを書いた後に他の方のレビューを読むことはあります。その際に自分と全然違うことを書いていたとしても、その方が食べた時はそれが真実であり、僕が食べた時は僕の書いたことが真実だったというだけで、どちらかが嘘をついているわけではないのです。
正義はひとつだと思ってしまうと間違いが生まれるのは世界の常。戦争もそういうところから起こってしまうわけで。

では僕はグルメサイトを全く見ないかというとそれは違います。むしろかなり見る方です。食べログについては毎日結構な時間をかけて見ています。ただ、見る場所が他の方と少し違うのかもしれません。
僕が見ているのはメニューです。その店にどんなメニューがあるのかをしっかりと見ているのです。
どんなメニューがあるのかがわかれば、そのお店がどのようなスタンスで料理を作っているのかがある程度予想ができますから、それを元に食べに行く店を決めます。
点数については嫌が応にも見えてはしまいますが、それを参考にすることは一切ありません。
では何故自分は点数をつけているのかというと、自分自身の備忘録とする為です。
スタンス的には先述したように趣味の延長線上にある自分の為のレビューなのです。
書くことによって自分の記憶をより確かなものにする為。
そして、それでも記憶が曖昧な時に見返すことができるようにする為。
そんなレビューです。
もちろんそれが誰かの参考になり、その方にも美味しかったと思ってもらえたならとても嬉しいですよ。
しかし、味覚は千差万別ですから「カレーおじさん\(^o^)/のレビュー見て美味しそうだと思って行ったのに美味しくなかった。騙された!」と言われてもですね、こちらは騙したつもりはありませんし、勝手に盲信したのはあなたでしょ。と思うわけです。

さらに言えば同じお店だとしてもコックが多く在籍していれば日によって作る人が変わるわけで、そうなると味はブレる事もありますし、僕が行った時には腕の良いコックだったのが他の誰かが行った時にはそのコックが休みでイマイチ腕が良く無い他の方が作ったという事もあるでしょう。同じコックだとしてもコンディションによってうまく作れる日もあればそうでは無い日だってあるでしょう。人間ですから。
また、チェーン店だと店舗によって味もサービスもクオリティに大きな差があることも少なくありません。
もちろん一流となればそのブレがほとんど無くなるわけですが、そこまでのコックはなかなかいないものですし、そこまでできているチェーン店はほとんど無いでしょう。
昼と夜で値段が変わり、味もその分変わるお店も少なからずあります。
さらに、僕のレビューに限らず他の方のレビュー全てが、書いた日から年月が経っていればいるほどそのレビューの信頼性は低くなっていくものなので、もし誰かのレビューを見るなら、その日付もちゃんと確認した方が良いですよ。

最後に、レビューに限らずこれは全てのことに言えることであり、僕の中でも大事にしていることなのですが、誰かが強い言葉で何かを言っていたとしたら、それを鵜呑みにせずにその反対意見もちゃんと聞いた方が良いということを伝えたいです。
どちらの意見も聞いて、その上で自分はどう思うのか考える。僕は常にそのようにしています。
特に誰かと誰かが揉めている時はそうするように心がけています。
好きな人の敵が自分にとっても敵とは限りませんし、嫌いな人の敵だからと言って自分にとって味方だとも限らないのです。
レビューについてもそのスタンスでいたいものです。
色々とレビューを見ていると「この人の感覚は自分に近い」と思うこともあるでしょう。そのレビュワーのレビューを主に参考にするというのが正しい口コミサイトの使い方だと思っていますが、その上で信頼しているレビュワーのレビューだとしても自分にとって全てが正しいとは限らないし、逆に嫌いな人のレビューでも全てが間違っているというわけでもないということを忘れてはいけません。

長々と書いてきましたが、それでも僕のレビューを読んでくれる方々の為にも、これからも自分が思ったことに正直に、ありのまま書いていきたいと思います。
何の忖度も無しに。嘘偽り無く。

それを参考にしてくれたら嬉しいです。
そして同時に、繰り返しますが盲信はしないで欲しいのです。

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