三国恋戦記プレイ記 孟徳ルート感想

※これは2010年にブログに書いたものです。

攻略最後に楽しみに取っておいた孟徳。なぜなら三国志で好きな人物を5人挙げろと言われたら、私の場合、曹操孟徳がそこに確実に入ってくるからだ。
私は夏侯惇、関羽、張遼、孫策、曹操、この5人が好きなのだが、恋戦記で攻略対象になっているのは孟徳だけだ。関羽は厳密な意味では対象ではない。
だからというわけではないが、私は全ルートの中でこのシナリオが一番好きだと思った。

孟徳は普段はへらへらしていて、権力の座にあることを感じさせない軽い男だが、実は冷静で一度思い定めたらどんなことでも実行する冷徹さを持つキャラクターだ。しかも暗い過去があるので完全には他人を信じていない。
孟徳に限らず、乙女ゲーで暗い過去とか人を信じないとか、そういうワードが出てきたら「このルートは、この男のメンタルケアをしながら進むのだな」と腹を括った方がよい。
孟徳は優しい。過剰に裏のある大地先輩(コルダ3)という感じだ。長坂橋で河に落ちたヒロインは、孟徳に拾われて孟徳軍に身を寄せることになる。途中で子龍が迎えに来るが一緒に行かず、ここで玄徳軍とは完全に敵対関係になる。
それがとても新鮮だった。
孫呉ルートではなんだかんだ言っても玄徳軍とは共闘関係にあったし、魏の文若ルートでも主人公は明確には玄徳軍と敵対していなかった気がする。しかし、さすがに魏の君主である孟徳に恋しつつ、敵対関係にある玄徳さんのことも守りたい、とうのは都合が良すぎる。
ヒロインは、そんなこんなで忙しい孟徳とデートしてみたり、着飾って御前に出て喜ばれたりしながら孟徳軍になじんでいく。
孟徳の方は、最初っから花のことを好き好き言ってくるが、なにしろ彼は全ての雌に優しいタイプなので、それが本音なのか社交辞令なのか全然分からない。
「傍にいて」ともかなり早くから言ってくるが、「本を取り上げられて役に立たない私をなんで傍に置きたいんだろう」と、ときめく前に真意を疑うヒロイン。
このシーンだけでなく、ヒロインの花はかなり後まで「孟徳さんて、本当に私のこと好きなのかな」と悩み続けている。あんなに面と向かって好き好き言われてるのに、これっぽっちも信じてねえ。
玄徳ルートの時は「玄徳さんみたいに立派な人に私はふさわしくないんじゃ…」と散々悩んでいた花だが、孟徳ルートの場合、つきつめれば「この男、女なら誰でもいいんじゃ…」という不安でいっぱいだ。
しかし、ラストは花が暗殺者から孟徳の身を守って死にかける事で、彼に人を信じる心を取り戻させることに成功する。そして接吻である。
このルートは歴史もの的ハラハラ感もあるし、他の女の影をちらつかせてみるなど、甘いイベントも多い。軽くて華やかだけど、実は有能というタイプ(友雅とか大地先輩)が好きな方には特におすすめだ。
しかし、彼の真骨頂はアナザーEDにあったのだ。
重要と思われる選択肢でセーブしてあったので、別のを選んで進んでみたところ、なんとヒロインが妾になって孟徳ハーレムの一員になるというエンディングを迎えた。
おわーーー、すごい!乙女ゲーは数あれど、本妻ありの愛人EDというのは初めて見た。さすがは曹操様である。でも、それはそれでありだし、面白いEDだと思う。
そして、このシナリオはエンディングの後がすごくよかった。
孟徳が魏公になるという話が出て、それを受けるか否かで陣営が揺れている。
受けたら漢王室をないがしろにしたという話になるし、そのせいでまた戦争が起こるかもしれない。
ヒロインはもちろん、戦争が起こることは避けてほしい、つまりはその話を受けないでほしいと思っている。しかし、受けるか否かの部分は、実にうまく曖昧なままにしてある。それがとてもいい。
もし「公位を受ける」と明言してしまったら、せっかくのエンディング後に孟徳と花が揉めることが想像できてしまう。かといって、孟徳が「君が言うなら公位は受けない」と譲ってしまっては孟徳のキャラが崩れてしまう。ずっと腐った漢王室を打倒して、新たな王朝を作り上げることに血道を注いできた孟徳なのだから、ここで「漢王室を支えよう!」などと言い出してはいけないと思うのだ。かの曹操孟徳が、女のために信念を曲げるような描写を入れないでくれて本当に良かった。
本編では孟徳がいつの間にヒロインに興味以上のものを持ったのかよくわからなかったが、エンディングロールでそれがうまく補完されていた。
イベント、ハラハラ感、二人の気持ちの推移、この世界の今後、などなど全部を考えた時に一番完成度が高いルートだったと思う。
不安があるとすれば、今後、孟徳に何人妾が増えるのかということくらいだろう。
彼が一生、ヒロイン一人を妻にするなんてちょっと信じきれない。だが、そんなキャラ設定でもゲスな感じがしないのが孟徳のいいところだと思う。

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