三国恋戦記プレイ記 早安ルート感想

※これは2010年にブログに書いたものです。

孫朗早安は隠しキャラで、仲謀の弟。
なんというマイナーなキャラをもってくるんだ。
このゲームで人を呼ぶ時に不自然なほど字ばっかり使われてるのは、このキャラの出生を隠すためなのかもしれない。名は出さないにしても姓+字(例:劉玄徳)が頻繁に会話に出てきてしまったら、早安の場合「孫」の文字によってハッとされてしまうからだ。
あとは、過去に飛んだ時に出会った少年が孔明だということを伏せておきたい事情があるのだろう。製作者側に。
でなければ、字ばかり使ってたのにいきなり「亮」とだけ出てくる意味がわからん。

さて早安だが、三国志はそこそこ知っているはずの私も、彼が原作でどんなふうに出てきたのか全然覚えていない。演義では名前も出てないんじゃないだろうか。それくらいマイナーだ。
孫家の影として間諜のような仕事をしている早安は、公瑾のもとで働いている。
このゲームでは仲謀が早安の存在を知らないという設定なので、公瑾が彼の存在を丸抱えという状態だ。母親を亡くした後公瑾に助けられて居場所をもらったという恩義と、居場所を失いたくないという気持ちから、公瑾に命じられれば本当に何でもいうことを聞く早安。これがハードなBL作品でなくてよかったな。
外見は仲謀とそっくりで、性格は冷たく無機的な感じ。でも、一人称が「俺」で言葉遣いがわりと乱暴なので、人形っぽさや機械っぽい印象はあんまりない。家族の温かみを知らない、自分が寂しい状態であるということすら分からない、厳しい環境にある少年だ。
早安については、元ネタの経歴やら何やらを全然知らないということもあって、始終新鮮な気持ちでプレイできたのだが、いつ彼が主人公に惹かれ始めたのかよくわからず、その点が残念。
他のシナリオでは、ヒロインの「元の世界に戻れなくても彼と一緒にいたい!」という気持ちに納得できたのだが、早安の場合はあまりゲーム中で接触していなかった(彼はおおっぴらに軍中にいないので)せいか、「そ、そんなにヒロインは早安のこと好きだったの?いつの間に?」という感じだった。
ちょっと唐突に感じたので、もうちょっと段階を踏んだラブっぽいイベントが欲しかったと思う。
あと、このシナリオでは仲謀シナリオ同様、公瑾が早安を使って玄徳を暗殺しようとするのだが、それがやっぱりどうしても納得できない。
しかも公瑾ときたら、君主の仲謀に内緒で勝手に実行しようとしている。孟徳に対抗するための同盟なのに、わざわざ玄徳を呼び出して婚儀の最中に花嫁に化けた早安が暗殺しようとしている。これではこの後、玄徳軍が黙っておるまい。情勢が変わってからならともかく、この時点で仲謀軍と玄徳軍が争って得をするのは孟徳軍だけである。
同盟が嫌なら結婚決まる前になんとかしろ。荊州が欲しいなら、益州なりなんなりを獲ってからしろという感じだ。玄徳を暗殺するにしても、孟徳軍の仕業にして孟徳と玄徳を争わせるとか、色々やりようがあるだろうと思う。公瑾のツメの甘さが目立っていたし、そんな事をして何になる感が拭えない。
これを三国志の周瑜公瑾ファンが知ったら激怒しそう。それどころか、このゲームの公瑾が好きな人もこれではちょっとがっくりだろうと思う。せっかくの策士キャラなのにもったいない。
早安自体は悪くないが、シナリオの恋愛以外の部分が納得できないのが悔やまれた。

ラストは二人で軍を離れて、早安は町医者として働きながら主人公と暮らすことに。早安は普段から大っぴらに好き好き大好き!みたいなキャラではないだけに、エンディングで「お金がたまったら家がボロいのを何とかしよう」「子供が出来たらボロ家じゃ困る」つまりは「早く子供欲しいから、今夜は頑張っちゃうぞ」みたいなことを言うところは好ましかった。

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