金色のコルダオクターヴプレイ記 土岐ルート感想

キャンプルート、3人目は土岐。
オクターヴ発売前、3のメンバーが無人島でキャンプをするという情報がもたらされ、我がTLも騒然とした。メンバーがどんな感じで過ごすのか楽しみ!といったツイートが多かったように思う。
しかし、そんなワクワクとは全く違う呟きを見かけたことがある。
「土岐さん、そんなとこで暮らして身体は大丈夫かな?」
そう、土岐クラスタは彼の身体の弱さをオカンのごとく心配していたのだ。
無人島と聞いて「ドキサバ!」「八木沢部長の一人舞台!」「いぇーい!」としか思わなかった自分を恥じるばかりである。
その土岐であるが、ひと言で言えば、ひと言では言えないキャラである。
長髪、メガネ、気だるい関西弁(通称・土岐弁)、女に優しいがそれがファンサービスで恋愛じゃないのが丸わかり。来るもの拒まず、去るもの追わず。
退廃的というかデカダンというか18世紀革命前のフランス貴族というか、とにかく「松岡修造の対極」と思っておけば間違いない。
ただ、それだけだと土岐は、なんとなくエロくて色っぽいメガネ兄さんになってしまう。しかしそこに「病弱」のカードが加わることによって彼の魅力はアップしているのだ。つまり病気がちというのは、彼のキャラを語る上で重要なのである。
今回、土岐のルートはその「病弱」にかなり重点が置かれていたように思う。
オクターヴのキャンプルートでは、魔法のアイテムがよく登場するが、土岐の場合は「食べると健康になる魔法の魚」。釣れたてホヤホヤのこれを、小日向が買い取り捌いて土岐に食べさせる。
もしも小日向がこの変な色の魚を見て「やだ、魚なんて捌いたことなーい」とか言ったら土岐ルートはここで終了であるが、彼女は野良猫から貰った食材であってもそれを使って美味い料理を作る女だ。
魚料理のおかげか土岐の身体の調子は一時的に良くなるが、その後に反動が来て学校を休んでしまう。土岐はいちいち身体の具合を心配されるのをうっとうしがるが、小日向に弁当を作ってもらったりして、彼女に構われる事自体は嫌ではないと気づく。
土岐はきっと幼いときから身体の弱さのせいで、色々な事を諦めてきたんだと思う。例えば楽しみにしていた遠足や旅行も、当日熱を出したら行けない。もしリレーの選手に選ばれたり、学芸会でいい役をもらったりしても、当日に欠席したら全部が無しになってしまう。留年したことにしてもそうだが、生まれついての病弱は本人の意思や努力に関係なく、結果として土岐にいろんな物を諦めさせたのではないか。
そうやって諦める事を繰り返し、土岐は自分から動くより待つ方が楽だと思うようになったのかもしれない。波風をたてて対立するより相手に適当に合わせるスタイルなのも、そのせいかもしれない。
しかし、試練の場で離れ離れになった時、待つことしかしなかった土岐が初めて自分から動き、小日向を呼ぶための演奏をする。
鳴かぬ蛍が身を焦がしてる場合じゃねえと気づいたのだ。
そうして奏でた音が小日向に届いた時、土岐はキスやら王子様やらと浮かれた事を言ってくるが、きっと自分から動いてそれを成功させたことがすごく嬉しかったんだろう。
エンディングではキッスで、全く期待を裏切らぬ甘さ。
土岐が退廃的で物事を諦めがちなのにはちゃんとした理由があるが、彼がエロくて色っぽいメガネ兄さんなのもまた間違いではない。

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