ときメモGS4 颯砂希攻略感想
※個人の感想です
ときメモGS4は、人気のGSシリーズ最新作である。GSといえば、初見の人を「お、おう……?」と戸惑わせる絶妙にダサいキャラデザでお馴染みだが、今回もまたかなりの初見殺しだ。ネオロマやオトメイトの男どもを見慣れたユーザーは大丈夫か?ちゃんと付いてきてるか?と心配になるところだが、歴戦のGSユーザーは「このキャラデザに戸惑うのは最初だけ。やがて見慣れる」という佇まい。流石である。
私も例に漏れず、と言いたいところだが、私のプレイスタイルは徹底して事前情報を遮断するというものだ。なにしろ公式アカウントすらミュートしているし、キャラ名、カプ名らしきものも自分が攻略するまで全てミュートしている。当然、攻略情報も見ないので、どんなキャラがいるのかさえほとんどわからない。なにしろパッケージの情報しかないのである。
つまり、私は限りなくヒロインのマリィと同じ状態で彼らに出会ったというわけだ。
ということで、どのパラを上げたらどんなビジュアルのキャラが登場するのかさえ全くわからないままスタートしたが、私は歴代GS男子では運動パラ担当の男を好きになりがちである。最推しではなくとも、これまでかなり萌えさせてもらった。故に、「とりあえずファーストプレイは運動パラの男だ!」と決めていた。
そして登場したのが颯砂希。
彼が登場した瞬間、目が釘付けになるのはその顔でも体格でもない。頭だ。頭というか紐だ。サッカー選手がよくつけてるやつだ。
頭髪が乱れて顔にかかるのを防ぐために付けるヘアバンドを彼は部活の時だけでなく、制服時にも私服時にもさらには水着の時にも付けている。
「髪が邪魔なら切ったらいいのでは?」と短髪好きの私などは思うが、おそらく髪質の問題とか個人の拘りとかがあるのだろう。昔、陸上選手だった父親がつけていたものだという噂なので、その辺りを大事にした結果なのかもしれない。
颯砂は陸上部。前述のように一切の情報を遮断している私には初回プレイでそんなことはわからなかったので新体操部に入部したのだが、ニ周目では颯砂のために陸上部のマネとなった。一周目には見られなかったイベントがバンバン起こるので、彼をメインに攻略するなら陸上部に入るのがベストということだろう。
颯砂は陸上八種の選手である。陸上八種は100m、400m、1500m、100mハードル、走り幅跳び、走り高跳び、砲丸投、やり投げの八種目の合計点で競う。走って投げて跳んで、字面を見ただけで疲労骨折しそうだ(高校生では八種だが成人では十種になり、ここに円盤投と棒高跳びが加わる)。
キングオブアスリートの称号を得るにふさわしい種目だが、ぶっちゃけマイナーだ。だが、颯砂は陸上という競技がとにかく好きなので、色々な種目ができるこの競技が楽しくて楽しくて仕方ないらしい。
わからん。私にその競技の楽しさはわからんが、颯砂の体型についてはなんとなくわかった。投てき種目があるからか、颯砂はマラソン選手のように細身の体型ではなく、長身の上がっしりした体型のようだ。彼がことあるごとに「オレはでかいから」みたいなことを言うのも、肩幅が広くてがっしりしているから、実際の身長よりもさらに大柄に見られる事が多いからではないだろうか。背の高さだけなら御影の方が高いが、印象としては颯砂がでかく見えると、そういうイメージを持った。
ガソスタのバイトで出会った白羽の反応から考えても、颯砂は近隣の陸上関係者に名を知られた選手のようだ。しかし、はば学の陸上部はどうやら強豪ではない。陸上八種の選手育成などしたことがないのではないか。両親ともに陸上選手のいわばサラブレッドである颯砂が、なぜはば学に入ったのかは未だによくわからないが、何らかの理由はあるのだろう(家から近いとか)。ゲームを何度もやったら、そのうち明かされるのかもしれない。
しかし、彼が陸上八種という特殊な競技を選び、しかも強豪とは言えない陸上部に在籍している事が他の部員との軋轢を生んでいる。それが颯砂ルートのキモである。
前述したように陸上八種という競技は飛んだり走ったり投げたりする。種目の合計で総合優勝が決まるのであって、八種目全てで一位を取らねばならないわけではない。全種目三位でも、合計で一位ならそいつが総合優勝だ。
だが、颯砂は八種全てで一位になりたいと言う。陸上競技がとにかく好きだから、その全部を全力でやりたいし勝ちたいのだと。だが、各種目にはその競技のスペシャリストがいる。普通、オールラウンダータイプはその種目に限ればスペシャリストには勝てないものなのだ。しかし弱小のはば学陸上部では、颯砂は部内のスペシャリストたちにも勝ててしまう。一種目だけを集中して練習してる奴らが、八種目やらなきゃならない奴に自分の専門競技で負けるのだから、そりゃプライドも傷つくだろう。これが団体競技なら、突出した能力がある人間は「エース」として重宝がられるのだが、陸上はリレー以外は個人競技である。
颯砂はコミュ力もあり、爽やかで礼儀正しくいい奴なのだが、それでも彼が陸上部内で孤立しがちなのは、部員たちのプライドを粉砕していることを理解しつつも、自分のやりたいことを押し通す我の強さがあるからだ。強豪校ではない以上、練習器具にも使えるフィールドにも限りがある。陸上部としての結果を優先させるなら、颯砂にそれを譲るべきとわかっていても、他の選手にしてみればやはり悔しいだろう。つまり、颯砂に色々と譲らなくてはならない選手が必ずいるし、颯砂もその選手に対して申し訳なく思っている。それがギクシャクした空気となって部内を覆っているのだ。
ヒロインは、そんな颯砂を陸上部マネージャーとして支えることになる。上記のような事情もマネージャーとして働く中で知ったことだ。颯砂のアップやクールダウンに付き合いながら彼の話を聞き、彼との距離が縮まっていく。
また、マリィがマネージャーとして頑張るにつれ、部の先輩たちと颯砂の間にあったわだかまりもだんだん溶けていく。なんだかんだで部員たちは颯砂の一本筋の通った頑張りを見ていたからだろうし、ヒロインの気働きが潤滑油になったのだろうと思う。
一年目のインターハイでは「とにかく全種目優勝したい」の一点張りであり、総合優勝しても喜べなかった颯砂だが、ニ年目には周りの応援と後押しにより、改めて「全種目優勝」の目標を掲げるのだ。目標自体は一年時と変わらないのだが、その動機は一年目の「俺は陸上バカだから」という、ある意味周りの反論を封じてしまうものから変化している。ニ年目のインターハイ後、颯砂は初めて真の意味で「周りの期待」や「周りの応援」を受け止めたのではないだろうか。
そして三年目、最後のインターハイでも総合優勝はしたもののやはり全種目優勝はならなかった。結果だけ見たら一年のときと同じだ。だが、三年目の颯砂の表情はすごくさっぱりしている。目標に向かって全力を尽くしたという充実感が溢れている。
彼はこれまでただ好きでやってきた陸上が、実は色んな人に支えられていることを実感として知り、その人たちと自分、みんなで掴んだ結果が今回のメダルなのだと理解したのだと思う。
しかし引退後、颯砂はさらに悩み始める。自分はこの先も夢に向かって邁進するつもりであるが、そのせいで、自分のサポートをしてくれる周りの人間の夢が壊れてしまうのではないかと不安に思い始めるのだ。 これは彼が周りを気にかけることができるようになった故の悩みであり不安である。一年目、ニ年目の颯砂からは絶対に出てこない言葉だろう。
このルートは、マリィとの恋物語でありながら、アスリート颯砂の成長物語なのだ。
悩む颯砂にマリィは「颯砂の夢はみんなの夢」と伝えるのだが、これはほんとにそうだよなと思う。インハイで優勝するような選手は、将来オリンピックみたいな誰もが知ってる大会に出場できる可能性を持っている。そんな選手の夢は、周りの人間にとっての夢にもなるのである。
我々だって、そばで支えたわけじゃなくても、選手の金メダルを心の底から応援したり、試合の結果に一喜一憂したりできる(先日のサッカーワールドカップを思い出しながら)。颯砂はそういうレベルのアスリートであり、これから先、彼の夢は勝手に周りの夢になっていくのだ。マリィの「颯砂くんが立ち止まっちゃだめ」という言葉は、そういう意味でも彼への激励になったと思う。
ラスト、颯砂からの告白は、彼らしい率直な言葉で気持ちを伝えてくれる。また、陸上のフォームを指導するときのような言葉選びからのキスである。これまで散々彼とグラウンドを並走してきた身としては実に趣深いが、それと同時に、颯砂が「もう少し腰を上げて」みたいな事を言い出す颯マリ18禁二次創作がありそうだな、とも思った。
過去作でも私は告白を断るエンディングを全員分見ているので、もちろん颯砂の事も振ってみた。
颯砂は、マリィに振られた後もスカッと爽やか。 もちろん颯砂だってショックだっただろうが、こいつは振られたことをあまり引きずらないだろうと思わせられるので、こちらの罪悪感がそれほど刺激されない(助かる)。これは彼のメンタルの強さと、これから夢に向かう前向きなエネルギーのおかげだと思う。
悩みや葛藤含めて、とにかく全てが健康で爽やかな好男子であり、世が世なら風の守護聖に任命されてもおかしくない男だと思った。
あと私が颯砂に対して「いいな」と思うのは、一人称が「オレ」なのにマリィへの呼びかけが「お前」ではなく「君」なところだ。乙女ゲー界全体を見ても、意外とこのタイプは少ない。
一人称「俺(オレ)」タイプは、「お前」呼びしてくる事が多いのだが、呼びかけを「君」にすることで格段に礼儀正しい感じがする。颯砂は真っ当にのびのび育った男なんだなぁという気がして、いいなーと思うのだ。
また、これは颯砂に限らずなのだが体格の良い男の大接近後が私は好きだ。というのも、颯砂みたいな体格の男が襲いかかってきたら、女は絶対に逃げられないからだ。颯砂が本気を出したらマリィを簡単に襲えてしまう。彼女を傷つけてしまう。それを本人もよく理解していて、だからこそそうならないように、どれだけマリィに触られまくっても必死に耐えている。その様子を「いとをかし」と思うのだ。
あと颯砂といえば、『乳搾り』のイベント。牧場でのデートで牛の乳搾りを体験できるイベント(スチル付きの)が起きるのだが、これが何というか凄い。
颯砂はどうやら牛乳が苦手なので、乳搾りはちょっと苦手…というような流れなのかなと思ったが、焦点はそこではなかった。
「牛の乳搾りが体験できるんだって!」と歓声をあげたマリィ。颯砂は顔を赤らめる。なんと彼は「乳搾り」というか「乳」というワードがマリィの口から出たことに対してドキドキしていたのだ。
なんてこった!鳴り止まない童貞警報!
その後も搾乳するマリィの姿や彼女の口から発せられる「乳」という言葉にドキドキしっぱなしの颯砂。
それはまあいい。よくはないが、まあいい。
颯砂は他のイベントや接触でも、マリィの感触にドキドキしていたり、ミニスカートのヒラヒラを目で追ったり、水着で入るジャグジーで妄想を膨らませたりと、微笑ましい程度の性的興味を垣間見せるからだ。
だからこの乳搾りイベントもこれだけで終わってくれたらそんなに気にならなかったはずだ。しかし、このイベントはここからが良くない。なにしろ、こちらは乳搾りの事など忘れかけているというのに、颯砂は何度もその話を蒸し返してくるからだ。部活でも乳搾りトーク、蛍を見ながら乳搾りトーク。シナリオライターの趣味なのか何なのか知らないが、それにしても乳搾りを引っ張り過ぎなのである。
最初は気になる女の子の口から発せられた『乳搾り』『おっぱい』というワードにちょっとドキドキしていた思春期男子だったはずが、いつの間にか『女の子が牛の乳を絞るという行為に興奮している人』みたいになってしまっているではないか。颯砂が『新たな性癖の扉を開けた人』みたいになってるじゃないか。
やめろ!
縛られた女の横でひたすら蕎麦打ちをするAVがあるらしいが、颯砂の乳搾りトークからはそれと同じ系統の特殊性癖を感じる。あのイベント自体はともかく、とにかく引っ張り過ぎは良くない。そのイベントばかりを擦られた颯砂が気の毒になる。
颯砂ルートはとにかくそれだけが残念である。
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