金色のコルダオクターヴプレイ記 七海ルート感想

七海ルートと言いながら、まずはオクターヴの前段階の話になる。
コルダ3を初めてやった時、やり終えた時、私が正直一番興味の持てなかったキャラが七海である。嫌いなのではなく「興味が持てなかった」のだ。
というのも、私は元々可愛いルックスの男性キャラにときめかないタイプだからだ。
それなのに、私がコルダ3キャラの中で一番好きなのはハルだ。
おいおいハルこそ可愛いルックスじゃねえかよ、と思われただろう。たしかに土浦の外見が一番好きな私であるから、顔だけならハルは全く好みではない。ただ、可愛いルックスのキャラでも私の好感度がぶち上がる場合がある。
それが「ギャップ」である。
ハルは「あの顔で武闘派。異常に男らしい」というかなりのギャップを持っているのだ。例えて言うなら小型の室内犬が実は凄腕の猟犬だったようなものだ。
しかし七海にはそういうギャップがない。あの可愛い外見に仔犬のような性格である。あえて言うなら、一人称が「僕」ではなく「オレ」なことくらいだろうか。
あの外見で目立ったギャップ無し。これでは、私の好感度は上がりようがない。
3のシナリオも、落ち込む七海をヒロインがひたすら励まし宥めすかして成長させた印象で、好きな方には本当に申し訳ないが、ときめくどころか苛ついたというのが正直な感想だ。
だから、4の七海にも期待していなかったのだが、なんとここで私は意外にも七海に対して素直に「可愛い」「萌える」と思ったのである。
相変わらず、私の好きなでかいギャップを七海は持っていない。しかし、ギャップなしのままひたすら突っ走ったら萌えに変わることがある、と新たな地平を見た思いだった。
オクターヴのルートでもそういう七海の良さがちゃんと出ていたと思う。
七海はとにかく真っ直ぐで、思い込みが激しく小日向を最初から慕っている、というかなついている。小日向にブーケをプレゼントしようとしたがBPが足りなくて慌てたり、目の前の壁を破ろうとして頭から突っ込んだりする。それが「一生懸命で、ちょっと抜けてて可愛い」となるのが七海なのだ。
これをスマートな、例えば東金や大地のようなキャラでやられたら、「可愛い」ではなく「残念」になってしまう。
普通のデートにド正装で来てしまったり(コルダ4)、花束をプレゼントしようにも手持ちがなくて支払いが出来なかったりというのは、七海だからこそ許され、しかも映えるのだ。
それに、まさかハルモニアで氷渡について考えさせられるとは思わなかった。
七海ルートは、氷渡から正チェリストの座を奪ってしまった自分に向き合い、この先どんなチェリストになりたいのか考えていく過程ともいえる。
まあ、火積から言及があるまで、七海の中で氷渡の件は完全に「めでたしめでたし」で済んでいたような気もするが、自分が勝ち取ったものは退いた者の上にあるのだと意識することで、またひとつ成長した感じだろうか。
七海のルートはオクターヴに限らず、とにかくヒロインが、悩む彼の成長を見守るという印象が強い。コルダ3では彼の魅力がよくわからなかったので、見守るどころか全てを投げ出したくなったが、オクターヴではそんなことはなかった。
七海がブレなく一途に慕ってくれる様はやっぱり嬉しいし、火積に嫉妬したり、妖精の祝福に照れてくれたりと七海はとにかく反応が分かりやすい。
前にBPが足りなくて買えなかったブーケを最後にちゃんとプレゼントしてくれるところなど、「私(小日向)のために頑張ってくれたんだなあ」と素直に思える。
それに、ヒロインの花嫁衣装にはストレートな感想をくれる。もちろん盛大な赤面つきだ。
ひねりを入れたセリフ、詩的なセリフ、もっと言えば気の利いたセリフなど七海は言えないし、言う必要もない。
エンディングのドストレートなプロポーズは、それでもやっぱり「格好いい」ではなく「可愛い」。
こちらにつぶらな瞳を向け、しっぽを一生懸命振っている小型犬を憎む人間はそうそう存在しない。そして、そこにギャップ(実はめちゃくちゃ凶暴な犬だとか)はいらない。
七海というのはそういう存在なのだと思う。
あと、共通ルートの話だけど、彼は冬海と合奏したんだろうか。七海と冬海と小日向の合奏はさぞかし可愛かっただろうなと思う。

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