金色のコルダオクターヴプレイ記 響也ルート感想

フェスタルートをクリアしたのでいざキャンプルートである。
初めに言っておくが、私はASシリーズ未プレイだ。だからAS履修組は、未プレイ勢がどのような気持ちでキャンプをプレイしたのかという視点で読んでほしい。
さて、キャンプルートではハルモニア本島ではなく付属の猫島に飛ばされ、ニアとともに散策する。案内役はマルトノ。この時点で我がTLは阿鼻叫喚であり、彼のプロフィールには何気に不穏なことが書かれているのだが、災厄の権化ことリリよりはよっぽどまともな妖精だと私は思った。
そもそも、すぐに学園寮に入れたフェスタメンバーと違ってこっちはマルトノがいないと衣食住にも困るのである。
マルトノについてはニアや天宮、冥加あたりがちょいちょい気になるワードを投げつけてくる上に別れの時に本人も何やら切なげなことを言う。ASは「もし小日向が他校生徒だったら」というifではあるが、函館天音だけは完全にifかどうかが微妙だと優しいフォロワーさんたちに教えてもらったので、察するに函館天音の女はキャンプルートで「夢だけど夢じゃなかったー!」みたいな状態なのだろうか。
ちなみにその頃、未プレイ勢の私は「なんてあざとく、上手い販促だ」とぼんやり思っていた。つまりマルトノは攻略したいほど素敵だった。彼自身はどこか憂いのある優しいお兄さん顔で、私のストライクゾーンではないのだが、付随してくる設定が面白そうだという印象を持ちながらプレイした。

全員が合流したキャンプメンバーは誰が何のためにここに自分たちを呼んだのか何一つわからぬまま、元いた場所に帰る手がかりを求めて本島に渡る。
これがフェスタとの最大の違いだと思った。向こうは呼び出した張本人リリから、呼ばれた目的(島を救う)や帰る方法(島を救わなきゃ帰れないのだ~)を教えられているが、こっちは手がかりすらない。
その後で、自分たちをここに呼び出したのがアレクセイで、小日向たちは彼の「どうしてもモンド行きたいのデース!」という我が儘に利用されただけだと分かる。しかもそれは失敗したわけだから、画策したアレクセイにも、利用された小日向たちにも、侵入者を迎え入れてしまった島の住民たちにも、つまり誰にとっても良いことが何一つ無かった。
理不尽。
私はそう思って立ち尽くした。
小日向たちは住民に警戒され、「帰るためには島に対して使命を帯びた何者かを助けよ。そのために聖域の扉を開け。方法は素晴らしい歌の絆を示すコンサートだが、観衆集めなどの細かいことはそちらで何とかせよ」というざっくりしたことを言われる。
理不尽(二回目)。
その後、無事に聖域の扉が開くとそこにはフェスタメンバーがいた、小日向達は彼らに協力することになるという流れだ。

肝心の響也であるが、再会した時からすでに「抱きつく」という選択肢が出てくる辺りはさすがであり、かなでにくっついて転校までしてきた親しい幼なじみ(よくよく考えたらすごい事だ)という絶対的なアドバンテージを感じる。
私も「すわ、響かなか!」と身を乗り出して「抱きつく」を選択したのだが、私の友人などその再会シーンを見てさえ「どう見ても響ニアだった」と言っていたので、感じ方は人それぞれなのだろう。
とはいえ、幼なじみで転校生同士で、しかも夏の大会でアンサンブルを組み優勝している響かなである。
しかも、地方組と違ってこれから遠距離になるとか、学年が違うとか、楽器が違うとか、互いの親がどんな人柄かとか、そういう心配がない二人だ。これ以上こいつらにどんなイベントが起こるっていうんだ。
と思っていたら、響也が露店で怪しい時計を手に入れる。過去に遡ったり、未来に行けたりする、かさばらない分タイムマシンよりもすごい魔法グッズだ。
「これの使いどころって何だろう?」とまず思う。上記のように響也とかなでは、くっつきさえすればあまり障害がない組み合わせなのだ。
そう油断したことろに、まさかの使いどころが示唆されるのだ。
時計の力で過去に戻れば、律の腕の怪我が無かったことになるのではないか、兄にヴァイオリンの道を諦めさせずにすむのではないかと響也は悩む。
如月兄弟の確執というか、響也の兄貴コンプレックスは3でかなり取り上げられていたことだし、私など「律に反発ばっかりしたって仕方ねえだろ」と響也に苛立つことさえあった。

しかし、だからこそ響也がちゃんと兄のことを考えてくれていたことが響かな抜きでもうれしいイベントだった。
ヴは4ではなく3の後だから、律があんな風に本格的にヴァイオリンを作る前の話だ。律がこれからどうやって怪我した自分に折り合いをつけて具体的に動いていくのか、私たちは知っているけど、この時の響也も小日向もまだそれを知らない。
だから魔法を使って律を助けたい誘惑は強く、響也が小日向と「二人で」悩むイベントだったんだろうと思う。こういう、響也とかなでだけでなく律も大事な幼なじみの一員だという流れが、最後の最後まできちんと繋がっていた。
魔法の時計の誘惑はその後も出てくるが、月森や冥加の助言もあって響也はそれを乗り越える。過去より今だ、と。
確かにそうだ。何度も言うが、響かなは一番障害が少ない組み合わせだが、「過去」の時点ではただの幼なじみだ。ただの幼なじみ以上になった「今」を大事にしないといけないと気づいた響也のルートは、希望に溢れていて見ていて幸せになれた。








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