アンジェリークルミナライズ フェリクス攻略感想

※個人の感想ですよ

アンミナ攻略8人目は夢の守護聖フェリクス。
薄紫の長髪に灰色がかった薄青の瞳。守護聖たちは美形揃いだが、その中でもフェリクスは飛空都市のモブに騒がれるだけでなくバースのレストラン店員に見惚れられるなど、さらにめちゃくちゃな美形(語彙が乏しくてすまない)という位置づけだ。
公式人物紹介には「見た目によらず常識人なところがあり、」と書かれている。
「見た目」とは、顔立ちではなく服装や髪型の話だろうか。でも、アンジェリーク世界においてあの長髪と服装はそれほど奇異でも派手でもない。特に髪型についてフェリクスは「故郷は寒いところだったからか、そこではみんな髪が長かった」と長髪にしている理由を述べている。
ふ、普通だ…。普通の理由だ。
普通で悪いのかという話だが、髪型一つをとっても、フェリクスは「せっかく守護聖になって気候の良い場所に来たんだから思い切って短髪にしよう!」とは考えないタイプだとわかる。
基本的にフェリクスは思い切った冒険をしない堅実なタイプで、騒動を起こすよりも諌める側であり、そこがおそらく「常識がある」と判断される部分なのではないだろうか。令梟守護聖の中では、カナタと並んでキレのあるツッコミを披露しそうな人だと思う。
ただ私はフェリクスに、常識人というよりすごく真面目な人という印象を持った。守護聖の務めや女王試験についても「この宇宙のためにやったるで!」という使命感より「これが己に課された仕事であるからにはきっちりやるのみ」という仕事人のような佇まいというか、責任感を感じる。

また他の守護聖からのフェリクスへの初期評価は軒並み「口が悪い」「キツい」である。言葉使いが悪いという意味ではなく、言いづらいことも歯に衣着せずにズバズバ言うという意味だろう。言っていることはド正論なのだが、フェリクスは相手の気持を考慮して優しく伝えるなどという事はしない。それは相手のためにならないとも考えている。
アンジュが「感動した」という本についてもフェリクスは酷評する。人には好みというものがあるからそれは別にいい。
だが、まだそれほど親しくなっていない人との会話で、その人が好きなものをいきなり否定したら普通は悪印象しか与えないのではないだろうか。少なくとも私は「十二国記読んだよ」と話しかけてきた相手に「あれ感動するよね!」と身を乗り出した瞬間「でもあれってさぁ…」と否定されたら、今後そいつと仲良くやっていける気がしない。
フェリクスは自分の美学を押し付けているわけではないのだが、大して親しくない相手がそれを理解してくれるわけはないのだ。フェリクスもそれは判っているが、それでも自分のポリシーを優先させている。
おいおい、こんなやつが同じ会社の同じ部署にいたらコトだぞ。
と、おそらく社会人経験者のアンジュも思ったのだろう。フェリクスに「その言い草はあかん。その性格だと何をやってもうまくいかんぞ」と食ってかかる。
だがすぐに「言いすぎてごめん」と謝るあたり、アンジュは社会でちゃんと人間関係を築いてきた女なのだなとわかる。
一方フェリクスは社会経験のなさを自覚しているが、それでも自分の理想を譲るつもりはない。
ではフェリクスの言う美しい生き方とは何かと言えば「理想を掲げて生きること」「自分でやるべき事は自分一人でやり遂げること」。
い、生きづらい(主に彼の周りが)。
フェリクスのいう美しい生き方は、自分ひとりで完結し、結果として他者を拒むものだ(それは生い立ちのせいでもあるのだが、この段階では知りようがない)。
まあこれまではそれで良かったが、ここからフェリクスに自分の生き方を考え直させる出来事が起こる。
それがサクリア減少問題である。

サクリア減少は守護聖としていずれは通る道だが、「サクリア消失の危機」という設定を持つ攻略対象は今までいそうでいなかった。「サクリアが徐々に失われつつあるのでは?」という疑念は、フェリクスとの恋愛でかなり重要な部分だろう。
サクリアが失われつつあることで、フェリクスが今まで「美しい」としてきた「自分一人でやり遂げる」を全うすることが難しくなるからだ(逆に言うとそれまでは全部一人で完結できていたのだから彼の能力の高さがわかる)。
うまく夢の力が送れなくなった惑星はサクリアのバランスが崩れて、民の精神にも悪影響が出始める。
原因が自分のサクリア不足であることは明らかなので、責任を感じたフェリクスはそれを一人でなんとかしようとする。自分のせいだから他人を巻き込みたくないと思っているためだ。一人で解決するのは無理な状況でも、自分の不始末(だとフェリクスは思っている)に他人を付き合わせることは「自分でやるべきことは自分一人でやり遂げる」という彼のポリシーに反するのだ。
しかしそれではフェリクスの理想のために惑星の民が犠牲になる。
そこをアンジュは指摘し、時には人に協力を仰ぐことや人を頼ることが必要だとフェリクスに伝える。それでも迷うフェリクスに「女王の仕事は守護聖の力を借りる事だ、それを美しくないと否定するのかコラ」と上手い例を出して説得に成功する。
元々フェリクスは自分の頑なさをちゃんと自覚しており、だがそれでも理想を曲げたくないタイプなので、そんな自分を納得させたアンジュを見直す。

次に会った時のフェリクスは、あの後ちゃんと他の守護聖に協力を頼んだことを報告してくれるし、さらに、次代の守護聖選定について悩んでいるという話をしてくれる。
フェリクスが悩みを相談!
これはすごいことだ。
人を頼らない、自分で解決したいマンのフェリクスが、話したところで解決するかもわからん「素人への悩み相談」をしてきたのだ。
「あんたのことを浅はかで軽率だと思ってたけど」と、相変わらず「今それは言わんでええ」ということまで口に出しちゃうフェリクスだが、アンジュを認めたことがこのイベントからよくわかる。アンジュの好きな本についても、否定するだけではなく別の見方が出来るようになっている。
フェリクスはアンジュを認めて信頼した。だからこそ悩みを相談したのだろうし、自分の生い立ちについて話してくれたのだろう。キツい生い立ちエピソードを話しながら、そこで自分を憐れむ方向に行かず「他人の価値観にほとんど触れずに生きてきた自分は狭い」と結論を出すあたり、彼は本当に聡明な男だと思う。
その後、アンジュの社会人時代のエピソードにフェリクスは解決策として「強い味方を探すこと」と答えている。つまり、誰かを頼れということだ。
ずっと一人で解決しようとしてきたフェリクスが他人を頼るようにアドバイスするとは。
以前は美しい生き方について「自分でやるべき事は自分一人でやり遂げること」と話していたフェリクスだが、告白段階になると「一人でやり遂げることに固執しないこと」と変化し、前よりずっと柔軟な考え方ができるようになった事がわかる。
強い拘りや理想を持つことは悪いことではないが、つくづく自分を縛る行為だ。頑ななこだわりは不自由さを生む。だが、だからといってポリシーが皆無だと生き方がブレてダサくなり、結果として他者に訴える美しさを生むのは難しくなる。
もしかしたら、夢の守護聖というのは、こだわりと自由のバランスをとるのがとても難しいポジションなのかもしれない。

フェリクスはアンジュとのやり取りから影響を受け、その過程で彼女に惹かれていったのだろう。アンジュも同じだ。ただ、私がこれまで攻略した守護聖たちに比べるとフェリクスはすごく静かに恋に落ちた気がする。告白に至るまで、「おっ、こいつはそろそろアンジュに惚れてきましたな」みたいなわかりやすいデレ描写が無いからかもしれない。ほとばしる熱い恋心というよりも、お互いへの信頼からそっと恋が芽生えたような印象である。
フェリクスとアンジュのカップリングは、思う存分殴り合った後にわかり合い、信頼感が芽生えてハグするいにしえの少年漫画っぽさがある。
フェリクスはアンジュに言いたいことを言い、アンジュはアンジュでフェリクスにはっきりと物申す。
そういう関係ができてからのフェリクスの告白だったと思う。「一緒に歩いてほしい」というのもフェリクスらしくていい。
昨今では妻や夫の事を「パートナー」と呼ぶ向きがあるが、フェリクスはアンジュの事をそういう意味で「パートナー」と呼びそうだな…と思っていたら、エンディングで本当に呼んでいた。
どちらかが手を引いてあげるのではなく横並びで歩いていくような対等さで、職場で出会って社内恋愛の末に結婚したかのような二人だったと思う。
自分の職業経験からアドバイスをしたりされたりと、社会人ヒロインの良さが発揮されたシナリオだったのではないだろうか。

ただ結局、フェリクスのサクリア低下問題はサクリアの枯渇が原因ではなく、女王不在の不安定な状況のせいだったらしい。「サクリアが衰えているという割にエリューシオンには問題なく力を送れている」という事実に着目したアンジュが事前に王立研究院に話をしておいたため、調査でわかったのだ。
フェリクスは自分の力が再び安定し始めた事と失われたサクリアが戻ってきた事を報告してくれる。
うーん、でもその報告をしてくれた時も「女王不在の不安定な状況」そのものは変わっていないはずなのだが、なんでフェリクスのサクリアは安定したのだろう。それに、なんでエリューシオンには問題なくサクリアを送れていたのだろう。あとエリューシオンの話しか出てこないが、エスポワールには力を送れていたのか。
それらについてはよくわからずすっきりしなかったのだが、なにしろ私の場合まだ半分近くのイベント回想が埋まっていない状態なので、きっとどこかにそれが明らかになるイベントがあるのだろうと思う。

あと、私が個人的にフェリクスの好きなところは「女の子と付き合ったことがない」とはっきりと言ったところだ。
このくらいの年齢の男(女もそうだけど)が、同年代の人に「私はこれまで男女交際したことがない」とカミングアウトするのって、なかなか難しいと思うのだ。つい見栄をはってしまいそうな所をフェリクスははっきりと初めて宣言する。キスについても「初めてした」とはっきり言っている。
フェリクスの生真面目さがよく出ているセリフだし、アンジュならそれを笑ったりしないという信頼あってのことだと思うから、私はこの告白シーンが好きだ。
だから、帰省でわざと元カレの話をする選択肢は好きじゃない。交際したことがないとはっきり言っている相手に、自分の交際経験を持ち出して反応を見るのはひどいと思うからだ。
そして、なんといっても夜の視察。恋人になってからのミスティックカナル9。
あれはえらいこっちゃで。
フェリクスは恋人になってからもわりとクール(甘いことは言ってくれるけど)というか、わかりやすく色っぽい事は言ってこないので、彼がサンドイッチと間違えてアンジュの指を口に含んだという報告には心底びっくりした。
しかもわざと。
まあ「わざと」というのは、フェリクスジョークなのかもしれないが、彼がアンジュの指を口に含んだことは間違いない。
ど、どどどういう風に咥えたのかな。
唇で挟み込むように?軽く歯は立てた?びっくりしたアンジュの反応をどう思ったのかな?驚いて引っ込めそうになったアンジュの手を、引き止めるように掴んだりはしなかった?
と聞きたいことは山ほどあるのだが、怒涛の勢いで気持ち悪い事を言ってしまいそうなので(手遅れ)、このあたりで終わる。

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