アンジェリークルトゥール オスカー攻略感想

攻略8人目は炎の守護聖オスカー。
赤毛にアイスブルーの目、強さを司る守護聖にふさわしく長身で体格もいい。「美形」というより、何となく「ハンサム」とか「いい男」と形容したくなるタイプだ。
そして、オスカー様といえば「お嬢ちゃん」。むしろお嬢ちゃんといえばオスカー様であり、アンジェリーク未プレイのネオロマンサーでさえ「なぜかオスカー様のお嬢ちゃん呼びだけは知っている」という驚異の認知度。
プロフィールを見ればオスカーだって21だか22だかの若造なのだが、そこで「守護聖」という神様みたいな設定が活きてくる。外見年齢こそ若いが、守護聖様を外界基準の年齢設定で見てはいけないのだ。我々プレイヤーがいくつになっても、それこそヴィクトールの年齢まで追い越しちゃったとしても変わらず「お嬢ちゃん」と呼び、夢を与え続けてくれる男、それがオスカー様である。
まあ、プレイヤーの加齢については置いておいて、女王候補アンジェリークは17歳の小娘で、当然ながらオスカーにとっては外見も中身も「お嬢ちゃん」である。つまり「お嬢ちゃん」とはオスカーにとって主に「可愛いけど、守備範囲外」を意味する。
大人の女相手の恋に慣れた男が「守備範囲外」「お子様」と思っていた女の子にマジ恋する過程が、オスカー攻略の醍醐味の一つであろう。

女たらし、女好き、呼び名は何でもいいがとにかく女慣れしたキャラ、性別が雌なら息をするように口説いてくるキャラはネオロマンスに限らず乙女ゲーの定番であり、人気が高い。
ただ、こういうタイプがプレイヤーに対して己の株を上げるためには条件がある(※個人の感想です)。
一つは軽薄なだけでなく有能であること、もう一つは女と色恋以外に打ち込める物、大事にしている物がある、もしくはそれを求めていること。最後に、こちらに落ちた後は「お前みたいな女は初めて」みたいな言葉と態度を示すこと、この三つだ。
もちろんオスカーはここにばっちり当てはまる。
なにしろあの仕事の鬼ジュリアスの右腕である。仕事ができないわけがない。さらにオスカーは軍人の家系である。剣も乗馬も得意で、戦っても強い。
また彼は守護聖としての自分が好きだ。使命感も強く、女王陛下に絶対の忠誠を誓っている事が言動の端々からわかる。
これでもうすでにモテないわけがないのだが、私がもう一つオスカーの魅力を挙げるなら、それは女性全般への「敬意」があるところだ。

オスカーは自分がデキる男であること、モテる事をはっきり自覚しているキャラだ。「このオスカーにここまで言わせるとはな」みたいな系統のセリフも多く、リュミエールに眉をひそめられるほどの自信家だ。
言い方は悪いが、普段から偉そうな態度である(守護聖なので実際偉いんだけど)。
つまり大雑把に分けたらオスカーは、自分に靡かぬ女性に手応えを感じて惹かれる、所謂「おもしれー女だな」系のキャラだと思うのだ。
しかし、それらの男たちとオスカーには大きな違いがある。
それは先程言った女性全般への「敬」の有無である。
オスカーは女好きではあるが、女性へのリスペクトを欠かさない一本筋の通った女好きで、私はそこが好きだ。
褒めれば褒めるほど、褒めていないような感想になってしまって申し訳ないが、それは私の語彙が少ないせいでオスカーのせいではない。
世に仕事のできる女好き、女慣れしたイケメンキャラは多いし、偉そうな態度の自信家キャラも多い。しかしそのハイブリッドとなるとそうそういないのではないだろうか。
銀英伝のシェーンコップくらいしか思いつかない。

女性全般を敬い愛するオスカー。だからもちろんアンジェリークがお子様だろうがなんだろうが優しく接してくれる。だが、もちろん本気ではない。
オスカーは最初からキザな言葉を連発するし、さらっと手を引き肩を抱いてエスコートもしてくれるが、自身が「まだお子様」と判断した少女には手を出さない。
この状態から何がどうなってオスカーがアンジェリークに惹かれたのかと考えるに、やはりアンジェリークが女王候補であることは大きい気がする。
実際オスカーは「お嬢ちゃんが綺麗になったのは女王としての資質に目覚め始めたからだ」とはっきり言っている。
女王陛下はオスカーにとって特別な存在なのだ。
オスカーは守護聖だが気質としては騎士なので、忠誠を重んじる。
女王という至高の存在のタマゴがアンジェリークとロザリアだ。だから、最初からオスカーは彼女たちを興味深く特別に見ている。甘いセリフに紛れているが、この二人が自分の剣を捧げるのに相応しい相手かどうか冷静に見定めているような雰囲気があり、そこはちょっとジュリアスと似ている。

オスカーが見守る中、アンジェリークは日に日に女王候補らしくなり女王のサクリアも増す。花開くように眩しく魅力的になる。
オスカーはそれまでそういう経験、つまり守備範囲外の「お嬢ちゃん」がレディとして花開くまで見守った経験がなかったのではないかと思う。
なにしろこれまで大人のレディ、話のわかるいい女ばかりを相手にしてきて「お子様」には目をくれなかったはずのオスカーだ。少女がレディになるまでとか、少女と大人の間のアンバランスな魅力とかは本当に知らなかった可能性がある。
大人になろうと背伸びする少女の初々しさや、会って話す度に変化する印象に戸惑うのはオスカーにとって初めての経験だったのだと思う。
女王の資質に目覚めるにつれて魅力が増すアンジェリークだが、オスカーにとって女王は忠誠を捧げる相手であって、恋の相手ではない。オスカーは軽薄に見えるが「女王になってもこっそり逢おうぜ」などとは間違っても言わない。そこの線引きが硬いところがギャップであり、オスカーの魅力になっている。
となるとアンジェリークには女王の座に登るのを諦めてもらわなくてはならない訳で、告白の際のオスカーはすごく潔い。
「今までずっと子ども扱いしてきてすまなかった」と謝罪から入り、女王を諦めてくれないかと懇願するような告白だ。それまでのお子様扱い、オスカーの自信家ぶりを見せつけられてきたからこそ感慨深い。それに、オスカーは告白が終わるまで一度も「お嬢ちゃん」とは言わない。「君」と呼びかける。
彼にとってアンジェリークはもう「守備範囲外のお子様」ではないからだ。
これには、オスカーの事がそんなに好きじゃないプレイヤーも「ついにやったぜ!」となるのではないだろうか。

エンディングの後のシーンだが、正直、オスカーの事だから甘々な事を言ったりキスしたりするんだろうなくらいにしか思ってなかったのだが、全然違った。
エンディングの後、オスカーは補佐官アンジェリークを馬に乗せて職場まで送ってくれている。そして「補佐官としての仕事を頑張れ」と言いつつ、職場に着くまではもっとこっちにくっついて甘えていい、みたいな事も言う。二人は恋人でありながら、共に女王ロザリアを支える同志なのだという事、きちんと公私を分けて付き合っている事がよくわかる。
そして、オスカーはアンジェリークに「仕事が終わる頃にまた迎えに行く」と話す。そして「今夜はそのまま俺の屋敷で過ごさないか?」とも。
これは多分、初めての夜のお誘いシーンなのではないだろうか。直球な誘いに、この後のアンジェリークの赤面ぶりが想像できる。甘々なだけではなく、守護聖として補佐官として女王を支えている二人の姿が見られてとてもいいラストだったと思う。 
こちらから告白するバージョンは、休日に私服でのんびり膝枕してもらっているオスカーである。
夜の誘いにしても、「まだ時間はたっぷりある」という膝枕からのセリフにしても、オスカーらしいちょっと色っぽい部分もありつつ、普段は執務中いちゃついてないでちゃんと仕事してんだなこの二人、と思えるラストだ。
2つとも、甘いだけではない、オスカーの魅力である守護聖としての真面目な働きぶりがきちんと伝わるエンディングだったと思う。

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