金色のコルダオクターヴプレイ記 志水ルート感想
オクターヴを手に入れてすぐに私は友人にLINEをし、志水攻略の日取りを決めた。そう、私は志水攻略を彼のクラスタを隣に置いて始めたのである。
攻略前から、志水ルートはスイート過ぎてクラスタが死ぬのではないかという情報がツイッターに流れていたので、私は友人を看取る覚悟でVitaを起動させた次第である。
ところで、私はコルダシリーズで志水が一番男らしいと思っている。もちろん中身の事だが、その男らしさは土浦や火積をしのぐ。
何しろ志水は意志が強い。やるといったら必ずやるだろうし、決断が早い。迷わない。言いにくいこともずばりと言ってのけ、細かいことはあんまり気にしない。自分の中で物事の優先順位が常にはっきりしているのだ。
彼のビジュアルを知らずにここだけ聞いたら、毎日学ランに下駄で登校してそうな漢(おとこ)を想像するだろうが、志水の外見は天使である。
志水は可愛い枠の男子でありながら、ギャップキャラでもあるのだ。
日野との再会シーンも、寝ている王子様(志水)をお姫様(日野)がちゅーして起こすみたいな流れで、いかにも「可愛い志水くん」なのだが、よく考えたら「志水くん、君は知らん場所で野宿することに一ミリの抵抗もないんだね」ということになる。
志水ルートは加地ルートと同じように、人の弱味をついて誘惑する悪霊が登場する。
外見は天使、中身は漢(おとこ)の志水に弱味なんてあるのか?と思ったが、なんとあった。
悪霊はその人が最も欲していて、でも現実には手に入らないものを餌にしてくる。それが加地の場合は「才能」で、志水の場合は「環境」だ。
志水は横浜住みではなく、地方出身で親戚のうちに下宿している身だ。加地や柚木の家のように特別裕福でもなく、土浦や月森のように家族が音楽に関わる仕事をしているわけでもない。環境が、志水が音楽をするには多分普通すぎる。それが心の奥では不満であったらしい志水は、悪霊にまんまと誘惑されてしまう。
ハルモニアに来た当初から志水は、皆が「早く帰りたい」と言うのを尻目に「ここは控えめに言っても最の高」と言っていたし、それが段々「帰らなくてもいい」になってしまうのだ。
加地はハルモニアに来る前からずっと自分に足りない部分を自覚しており、その辛さに向き合ってきたが、志水の場合はハルモニアに来て初めて「自分は今まで不満だったんだ」と気づいてしまったんだろうと思う。
ここが加地と大きく違うところで、志水が誘惑を振りきれなかった一因だと思う。一人では誘惑をたちきれなかった志水だが、日野の存在を思い出してこちらにようやく戻ってくる。志水にとって日野はミューズ、音楽の生まれる源泉みたいなものだから、いくらハルモニアの居心地がいいからといっても、日野がいない場所はやっぱり駄目なのだと気づく。
先述したように、志水の優先順位は常にはっきりしている。
日野と音楽だ。
ハルモニアには音楽はあるが日野はいない。元の世界にはどちらもある。
そういうことなんだと思う。
最後は妖精のくれた白いタキシードを志水が、ベールを日野が身につけてデュエット。志水からは「いつかまた二人でこの衣装を着られたら」的な事を言われる。
こ、これはまるで…と画面の中の日野も思ったのか「けけけ結婚するってこと!?」とかなり前のめり。もちろん私もその選択肢を選んだ。
ここで「ええと、その…(照れ照れ)」みたいにもじもしたことを言わないのが志水だ。そういう日が来ることを願っています、とはっきり返す。
男らしい。
このエンディングを志水クラスタの友人に見せたところ、彼女が萌えで死んだかというとそうはならなかった。「まさか志水くんがそんなことを言ってくれるなんて」とはならなかったし、動揺もしなかった。
「さすが志水」
ただ一言そう返ってきた。
どうやら志水クラスタは志水の男らしさをちゃんと分かっていて、このエンディングは「想定内」だったようだ。
ただ、志水は親戚んちの住環境への不満がかなり腹の底にたまっていることが今回の件ではっきりしてしまったので、菩提樹寮への入寮を検討して欲しい。
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