三国恋戦記プレイ記 雲長ルート感想

※これは2010年にブログに書いたものです。

雲長は気難しげな顔の美形(こんな奴が多いな、このゲーム)で、黒髪長髪である。外見は、動きやすい恰好をしたクラヴィス様(アンジェリーク)だと思って欲しい。
性格は一言でいえば、めんどくせえ男である。
現代で最初に出てくる選択肢からして特別だったので、雲長が実は主人公と同じ現代人で、この世界の歴史を繰り返して生きているというのは何となく予想していた。しかし、まさか単独でここに飛ばされた上に彼も例の本を持っていたとは思わなかった。遙かシリーズのように最初にヒロインがこの世界に来るときに巻き添え食ったうえに、主人公より過去に飛ばされたとか、そういう感じだと思っていたので。

しかし、まぁそういうわけで、この雲長は現代人、そしてヒロインよりもだいぶ前にこの世界に来ていたということが明らかになる。しかも、雲長は現代での自分の名前等は全く覚えおらず、例の本もなくしている模様。
ヒロインは最初にこの世界で孔明に助けてもらったのだが、雲長の場合は、本物の「関雲長」に拾われたという設定になっており、主人公も過去に行ったときにその「関雲長」に会う。
ああん!会いたかった!関羽!!
三国志の関羽ファンは身をよじらんばかりに歓喜するであろう、まさに「関羽」といった容貌である。そしてどうやら雲長はかなりの関羽マニア。
雲長が本を失った際、本物の関羽の方が巻き添えで死に、雲長が「関羽」として生きることになってしまったとこのこと。それ以来もとの世界に戻るどころか、何度死んでもまた最初の場所に戻り、元の「関羽」の代わりに生を繰り返しているという雲長。終わりのないループにヒロインも言葉を失う。
そして、ここにきてようやく元の世界の戻る方法が初めてすっきりした形で示される。
もとの世界に戻るための条件は3つ。まずは手元に本があること。次に、本が空白なく文字で埋まっていること。最後に、現代で本を開く前に望んだ願いがこの世界で叶えられていること。
今までのルートでは1番目と2番目さえそろっていれば帰れる、という感じだったのだが、どうやら本当は3番目も必要らしい。本来、この本を使う時には、願いをかなえるという目的がまず存在し、そのために本の空白を埋めていく。空白が埋まった時に願いは叶い、そして元いた場所に帰れるのだ。
しかし、ヒロインはこの本が望みをかなえてくれるものだとは知らなかった。知らずに、初めて本を開いた際に「軍師ってなんとなくかっこいいから、軍師になってみたいなぁ」と願っている。そのため、これが彼女の「願い」になってしまったのだ。軍師として活躍した事で、彼女の望みはそれと知らずに叶えられていたわけだ。
だから、ヒロインの場合は、手元に本があって文字さえ埋まれば帰れる状態になっていたのである。
しかし雲長の場合、本は燃えてしまって手元にないので当然文字は埋まらない。だから願いも叶わず元の世界には帰れなかったというわけだ。
そんな雲長を助けたい一心で、ヒロインは一度は帰れるところを「雲長さんを助けたい」と本に新たな願いを掛ける。これで、本の空白さえ埋まれば花はもとの場所に帰れる状態になったわけだ。
雲長を助ける、つまり彼の願いを叶えて元の世界に戻るためには、彼が本に最初に何を願ったのか知る必要がある。しかし雲長ときたら、自分の「願い」を頑なに話そうとしない。
花は「願いを教えてください、それがかなえば一緒に帰れるかもしれません」と雲長を説得。しかし、「それがかなうことを私は望んでいない。望んでないことをするな」つまりは元の世界に帰りたいわけじゃないとなぜか怒られる始末。
お前―――!!めんどくせえな!いいから早く願いを言えや!!
と、画面の前のこっちがヒロインより先にブチ切れ掛けたところで、芙蓉姫が私の気持ちを大いに代弁してくれる。雲長には花より芙蓉姫の方が似合っている気がしてならない。
しかも花に「あのこと(彼の過去やその他もろもろについて)は忘れてくれ」とか言う雲長。
あんなにぶちまけといて忘れてくれって!無茶言うなよ!
さらに、「いくら気に掛けてもらっても俺はお前を傷つけることしかできない。もう近づくな」とまで言われる。
こいつはとんだ自己完結野郎だぜ。全部ぶちまけたくせに、後はほっといてくれの一点張り!
もう!ほんと、いちいちめんどくせえなこいつ!お前が何にハートブレイクしてんのかさっぱりわかんないよ!
ということで雲長の願いも分からず、彼がなんで頑なに「自分はお前の傍にいる資格がない」と言い張っているのかも分からぬまま、舞台は麦城へ。
麦城といえば「関羽」最後の地である。
花は、雲長自身の願いによって本の空白を埋めたら一緒に現代に帰れるのではないかと考える。雲長を助けたい(つまり歴史のループから救いたい)と行動する花は、なんと赤兎馬に乗って雲長の代わりに囮になる。
それに胸を打たれた雲長は、ようやく元の世界の自分の境遇について話し出す。
雲長があまりにも「自分みたいな人間はお前にふさわしくない」「俺は駄目な人間だ、弱い人間だ」と繰り返してきただけに、こちらとしては、こいつは元の世界でさぞかしひどい人間だったんだろうな、もしやパンツドロでも働いてサツの旦那の世話になったのかとか、色々気を揉んでいた(余計なお世話)。
そしたらあなた、雲長の話を要約するに「一度中学受験に失敗して、高校受験を前に怖くなった。本当の俺は弱くて駄目人間だ」みたいなこと言い出した。
ええええ?!あんなに話すの嫌がってたのってその程度の過去?
無問題、無問題!こっちは君がダブりでもパンツドロでもバッチコイ!乙女ゲーのヒロインなめんな!と思ってたので正直、気が抜けた。
そして彼の願いは、そんな現実から逃避するかのように「憧れの関羽の傍で戦ってみたい。関羽が死なないようにしたい」という物。それも別にあんなに隠すようなことではない気がする。
ともかく花の行動で雲長は助かり願いは叶う。二人は玄徳たちと合流して一緒に戦線離脱。条件が揃ったことで、無事に本の力で現代に帰ることになる。
現代に戻ると異世界にいた時間は無かったことになるのか、年齢も元に戻り向こうでの記憶も薄れるようだ。その後、雲長はヒロインのいるクラスに転入生としてやってくる。二人はあの世界での出来事を同時に思い出し、お互いを「この世界でもお前を見つけた…!」となって幕。

いやー、長い(この文章が)。
でも今までと切り口が違っていてとても面白いシナリオだった。心配していた仲謀の扱いも良い意味でものすごくあっさりスルーされており、その後の異世界情勢等の都合の悪い部位には一切触れない乙女ゲーのお約束も不自然ではなくてとても良かった。
ただ、雲長の過去についてちょっと引っ張りすぎたなぁと思う。どうしても、粘ったわりにそんなに隠すことじゃないと拍子抜けしてしまう。どうせなら、もっと人様に言うのが憚られるような過去にして欲しかった。そしたら彼の葛藤にもっと共感できたと思う。
それに、全部ぶっちゃけといて「もう諦めてるから」とか勝手に影を背負われると、私の場合、段々「…わかった!もういい!」と思ってしまうのだ。芙蓉姫の言うことがすごく理解できる。
が、彼のようなタイプを「放っておけない」と思う方もいらっしゃるだろう。生を限りなくループしてしまうところが、リズ先生(遙か3)のルートによく似ているので、先生が好きな方にはおすすめのシナリオかもしれない。
雲長攻略後、他のキャラを狙っている際にも「こうしている間にもこの人、何度も歴史を繰り返して生きているんだなぁ」と思うところ、そしてそれを知りつつ他キャラとラブになろうとしていることに多少の罪悪感を覚える部分まで、リズ先生攻略時とよく似ている。

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