三国恋戦記プレイ記 仲謀ルート感想

※これは2010年にブログに書いたものです。

このゲームはコエテクの遙か3から戦闘と攻略メモをなくして、ノベルゲーの要素を多めにした感じだ。基本的には又掛け無しの男一本釣りだが、攻略ヒントがない分、物語がかなりのところまで展開しないと自分が今誰のルートに乗っているのか全然分からない。
だが、ヒントを頼りにゲームを進めるよりも、こんなふうに手探り状態の方がゲームとしては断然面白いと私は思う。
とりあえず「博望の戦い」で勝利した玄徳軍。しかし背後から曹操孟徳の軍が迫っている。
主人公の花は三国志などさっぱりな普通の女子高生なので、この後どうなるのかは例の不思議な本が頼りである。
世話になっている州のトップが死んで、その跡継争いに巻き込まれた玄徳軍は民衆を連れて南へ逃れる。ここから、これまた有名な「長坂の戦い」が起こるのだ。
「長坂の戦い」といったら、趙雲子龍と張飛翼徳の見せ場である。そして、劉備玄徳が単なる善人で無いことが示される場面だ。なにしろ、自分が逃れるために妻子を敵兵のただなかに棄てていくのだから。
こ、こりゃまずい。乙女ゲーでどうやって処理するんだ、この場面。と思っていたら、玄徳には妻子などいないことになっていた。そりゃそうだ。
だがそれにともなって、玄徳が棄てた妻子を単身で救いに行った子龍の見せ場はなくなっていた。
そして「長坂の戦い」もうひとつの見せ場、長坂橋に一人で立ちふさがって孟徳軍の進軍をとめる張飛。これは三国志にも出てくる有名なシーンだが、カットされてはいなかった。よかった!っていうか、なぜか「翼徳さんを救わなきゃ…!」と助けに向かう花。
こらーーーーー!!やめろ!じっとしてろ!
とこっちは思うのだが、聞きやしねえ。
助けに向かって策を授けたはいいけど、川にボッチャーンで、花は孟徳軍の捕虜になる。
孟徳軍ではチャラいけどひと癖ありそうな孟徳と、カタブツで融通が利かなそうな文若に出会うが、なんやかんやで例の本を曹操に取られ、趙雲が助けに来てくれる展開に。
…捕まっといてなんだけど、自分、ここに何しに来たんだろう。
それでもその後、花は玄徳軍に戻って孟徳軍に敵対する同盟を孫呉に申し込むことになる。花はその使者になるのだ。
孫呉の当主は孫権仲謀。軍師が周喩公僅だ。俺様系ツンデレと、これまたひと癖ありそうな謀略系だ。こういうタイプの孫権を私は初めて見た。

プレイヤーである私にも、どこの選択肢で分岐したのかよく分からないまま、なぜか孫呉に滞在しつづける主人公。
仲謀はそこの一番偉い人だ。王様みたいなものだが、漢王室がまだ健在なので王というわけではない。ビジュアルはアンジェリークのゼフェルを金髪にした感じのやんちゃな少年キャラだ。
恋戦記はどうやら三国志演義を基調にしているようなので、仲謀を赤毛(金髪)で碧眼のキャラデザにしたのかもしれない。
出会った時から偉そうで(実際偉いんだけども)、こりゃ活きのいいツンデレだぜ…!と思わせられる。
アンジェのゼフェルや、ツンデレ好きでなくともビタミンZの天十郎が好きな者ならまず間違いなくストライクゾーンなキャラだろう。
主人公に対し常に怒っているかと思えば、ちょっとしたことで赤くなったりと目まぐるしい。喧嘩っ早そうな性格の割に、戦争はイマイチで民政の方が得意という三国志の設定は崩されていない。そして、女に関してはかなり初心な反応を見せる。
色々(抜かりなく、雨宿り→濡れた服を脱いで仲謀の上着を借りる→二人でくっついて暖を取る、足をくじいて仲謀におんぶしてもらう等のイベントが盛り込まれている)あって、例の本が戦争で勝つための戦略、戦術を教えてくれる、ということを仲謀に教える花。
その辺からすでに仲謀は完全に花に落ちていて、「もうお前は玄徳のもとに返さねえ」とツンデレ流のプロポーズ炸裂!と言った感じ。
だが、このヒロイン様はそのような言葉では小揺るぎもしないのである。
花は、常に仲謀の傍にいる公瑾が胡散臭いせいもあって、「自分は何か裏があって引きとめられてるんだ」と疑っている。しかもこの期に及んで「玄徳さんたちが心配」とどちらかといえば玄徳軍の心配をしている。この行動、玄徳軍の軍師としては大正解だが、乙女ゲーのヒロインとしては失格である。
いいじゃん!もう孫呉にいなよ!とこちらは思うが、やはり義理も大切であるし、花の頭の中には「戦いの無い世界を作りたい」→三国分立でお互い容易に攻め込まれないようにすればいいんだ!という考えがぼんやりとあるので、玄徳軍と仲謀軍が戦うのはまずいと思っているのだ。
だが、仲謀のことはやはり好きなので、仲謀への恋心と玄徳への義理で心揺れる。
そんな時仲謀がついに告白。それまでは好意で花に何かしてくれても「べ、別にあんたのためってわけじゃないんだからねっ!」というスタンスだったのだが、ここははっきり「お前が好きだっつってんだよ!」と言ってくる。
さらに「俺のことが好きか嫌いかさあどっちだ」と迫る。突然のことにビビるヒロインが「嫌いではない」というと、「じゃあ好きなんじゃないか」と熱烈キッス。
それからというもの、ツンからデレへと鮮やかな転換である。
花と仲謀は同年代なので、敬語なし。夜に二人で会う約束を取り付ける際の会話には大いに萌えた。
この頃にはもうほとんど孟徳の天下で決まりといった状態なので、呉としては、蜀と同盟して孟徳軍に対するか、まずは玄徳を潰して孟徳軍に対するか、もしくは大人しく孟徳の臣下に入るか、3つのうちのどれかを選ぶ必要がある。そうしないと孫呉は生き残れないのだ。しかし、2つ目はヤバい賭けだし、3つ目を選んだところで孟徳が裏切らないとも限らない。ということで、仲謀は蜀と同盟することを選ぶ。
花としても玄徳と争わなくていいのは嬉しい。同盟の証として仲謀の妹尚香と玄徳が結婚することになる。
私は劉備×尚香というカップリングが好きなのでこれまた嬉しい。周喩×小喬が望めない今、二人の会話にニヤついた。
ただ、その結婚が再三邪魔される。普通に考えたらこの同盟がつぶれて嬉しいのは孟徳軍だが、あからさまに公瑾が胡散臭い。この胡散臭さはエンディングまで行っても変わらず、このシナリオでひとつ不満があるとしたら公瑾と仲謀の関係性が花にとっては最後まであいまいな点だ。
しかし、何度も邪魔されながらも、婚儀が成立。花は成り行き上、尚香と一緒に玄徳のところに戻る。
その後、仲謀が妹の結婚祝いを届けがてら花を迎えに来て、二人は結ばれることになる。玄徳と仲謀の間に同盟成立で、平和への第一歩と言った感じの明るい雰囲気でエンディング。
例の本は、花がこちらの世界に残ると決めた瞬間消えてしまう。

いやー、かわいかった、仲謀。ゼフェルもそうだけど、こういう生意気系は落ちてくると一気に可愛げが出てくるうえ「こいつを落としてやった!」という充実感と達成感を得られる。
途中でなんか重要そうな分岐(花が孫呉に残るか、尚香と一緒に玄徳軍に行くかという選択)があったので、一応セーブしてから進めた。
一緒に行くほうを選んで進めたら見事に仲謀エンディングだったわけだが、呉に残ったらどうなるんだろうと思ってやってみたら、開始10秒で花が一般兵に殺された!
えええええ!!!
やべえ!危うく死ぬとこだった。もしやこのゲームのバッドエンディングって…と思い返して、前日セーブしたとこに戻って試してみた。
や、やはりかなりの高確率でヒロイン死亡である。
うおおおおお、すごい。私はものすごい確率で一度もバッドに引っかからずにエンディングを迎えたのか…!
この張り巡らされた地雷を掻い潜って仲謀とエンディングまでいったのかと思うと今更ながら肝が冷えた。

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