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ときメモGS3 桜井琉夏攻略感想

※個人の感想ですよ

 攻略4人目は桜井琉夏。
 1人目に攻略した琥一の義理の弟である。
 今さらっと書いてしまったが、琉夏が琥一の義弟であるという事実はゲーム内ではなかなか出てこない。ただ、のっけから桜井兄弟が「普通の」兄弟ではないことだけは匂わされている。桜井家の家庭の事情であり大っぴらには尋ねづらい話なのだな、と何となくわかる。
 だが「何となく」以上の事は分からない。「 同学年の兄弟なのに双子じゃない」とナゾナゾみたいな事を言われても、バンビときたら「そっか」「そうなんだ」以上の突っ込みをしないからだ。バンビのスルースキルのせいで、結局その事情がはっきりわかるのは3年目のクリスマスである(遅い)。
 結論から言えばルカは桜井家の養子。両親を事故で失って、親戚(従兄弟)であるコウの家に引き取られたという過去を持っている。
 そういう生い立ちのせいか、自分という存在の所在がはっきりせず、それを確かめるかのように無茶なことばかりやる、というのがルカだ。
 外見は王子様的美形ながら、完全脱色の長髪金髪にピアスのマイルドヤンキーである。とはいえ、同じヤンキーでも眉が半分無いリーゼントのコウに比べたらとっつきやすく、性格もやんちゃで人懐こくて基本的に優しい。王子ポジションらしく何でもこなすし、全体的にノリもいいので当然モテる。ただ、たまにヒロインに対して「こういうポーズをとってみて」「こういう言い方でおねだりしてみて」と性癖丸出しの事を言ってくる。少しは隠そうぜ。
 表面だけ見れば、一匹狼気質で強面のコウよりも、愛想がよくて茶目っ気のあるルカの方がどう考えても陽性である。しかし実はそれが逆で、闇を抱えているのはルカの方であるというのが桜井兄弟の萌えポイントではないだろうか。
 ルカみたいな外見と明るい性格を持つキャラが実は「闇を抱えている」というのは、乙女ゲーではわりとある。ただ、その闇の方向性が「ちょっと目を離した隙に、切ったらどうなるかな~とかいう理由でリストカットしてそう」となるとそうは無い。
 ルカはニコニコ笑いながらリスカしそうだし、電車が来てるのにわざわざ白線の上を片足ケンケンで歩きそうな危うさを持っているのだ。
 喧嘩だって一度ぶちギレたら相手が死ぬまで殴っても、「殴っちゃった♥️」とか言いそうだし、逆に自分が死ぬほど殴られてもニヤニヤしてそうなとこがルカにはある。
 言葉で説明するのは難しいが、ルカの場合、ただグレているのとはまた少し違うのだ。それを兄のコウはよくわかっていて彼のそばにいる、というように見える。
 抱えた闇のヤバさでは歴代最高峰のルカだが、バンビを愛し愛され、少しずつ変わっていく。それから過去と決別すべく行動を起こすのだが、帰りに事故に遭ってしまう。死にかけてようやくルカは、自分の居場所はちゃんとここにあったんだと気づく。ラストで「大事な人を連れてきてくれる、会わせてくれる」というサクラソウの言い伝えも回収されるいい話だ。
 このルートはバンビとの恋物語でありながら、ルカの救済の物語でもある。幼いルカは「また君に会えますように」とサクラソウをバンビに渡したのだが、それとは別にそもそもサクラソウの言い伝えに固執したのは「また両親に会いたい」という切実な気持ちが含まれていたためだと思う。
 三年目のプレゼントにルカは古い讃美歌集をくれるのだが、「ルカの両親がクリスチャンだった」というエピソードを聞いたあとでは、これはかなり意味深い。おそらくその歌集は両親のものだとわかるからだ。
 ルカは両親とのよすがを手放しても自分はもう大丈夫だと判断し、それをバンビに持っていて欲しいと思ったんだろう。
 ラストの告白でもルカは、自分に帰る場所をくれたバンビ、自分を変えてくれたバンビにこれからもそばにいて欲しいと言っている。ルカは自分が帰る場所をようやく見つけたのだ。
 ここで、はっきりと「キスして」と言うのもルカらしくてとてもいい。この部分はコウのエンディングと対のようになっているから、比較すると面白い。
 ただし、私の不徳の致すところ(パラぎりぎり)により、このエンディングでバンビは大学を落ちてイラストレーター見習いになっている上、彼氏のルカは浪人生である。つまり双方が無職であり、退廃を体現したみたいなカップリングになってしまった。だが、それはこの際まあ良い。
 よかったな、幸せになれよ、ルカ。

 と祝福してルカのために樽酒でも開けたいところなのだが、私はこのプレイを設楽を親友にして進めてきた。それは、設楽からの告白もワンルートで回収してしまいたいからだ。
 つまり、設楽からの告白を受けるためには、この激重エピソード満載なルカからの告白を断らなければならないのだ。
気が重い。
 気が重てえのである。
 再三言うが、私はヒロイン=自分としてプレイしていないし、これまでもあまたの乙女ゲーにおいて軍師の顔でデートを差配し「今回はお前じゃない」とキャラからのアプローチを切り捨ててきた。
 そんな私なのに、ルカの告白を断るのはかなり気が引けたのである。
 何故ならこの男は、もしバンビに振られたらその足でまた華麗に事故るのではないかとか、唐突に降りだした土砂降りの中に飛び出して肺炎をこじらせるのではないかとか、そう思わせるものを持っているからだ。
 それでも意を決して告白を断ってみたのだが、予想通りキツい。いや、ルカは潔い態度なのだが、振った私が「ごめん、マジごめんな」と最高に潔くなかった。
 ルカは出来ることならあんまり振りたくないキャラだと思ったが、私はまだ「桜井兄弟三角関係」をこなしてもいない。
 桜井兄弟の萌えの一つに「兄弟仲がいい事」が挙げられるので、そいつらと三角関係なんて切ないを通り越してつらいのではないかと今からとても心配している。
 どっちかを振ってダメージを受けるよりは、二人にシェアされた方が円満な気すらしているが、頑張ってルートに乗りたいと思う。

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