アンジェリークルミナライズ ノア攻略感想

※個人の感想ですよ

アンミナ攻略4人目は闇の守護聖ノア。
黒髪、金の瞳、小柄で華奢な美少年タイプなのだが、実は成人年齢を越えているというギャップ持ち。
乙女ゲーには必ずといっていいほど心に壁を築いている男が混じっているが、ノアの心の壁もウォールマリア級の高さだ。
ただ、ノアが壁を作って周囲の人間を拒絶するのは、自分の心を守るためというよりも、「相手の命を守るため」だ。
そこが、よく見かけるタイプの心に壁がある系(自分の心の傷に触れてほしくない)キャラと、ノアとの大きな違いだと思う。

ノアとの恋愛イベントでは、親しくなるにつれて会話の途中でいきなり「もう帰って」と言われることが続く。「さっきまでわりと仲良く会話してたのになぜ?」とアンジュが腑に落ちないのも納得の唐突さでノアは拒絶を繰り返す。
後日その理由を尋ねたアンジュに、ノアは「物好き」「悪趣味」「面倒」と、かなり強い言葉を使って返答を拒むのだが、アンジュは「ここで引いたらあかん!」と粘り、その理由を聞き出すことに成功する。
ノアは根負けして仕方なしに話してくれたように見えるが、アンジュに対する信頼感や好意が育っていたからこそ渋々であっても話してくれたのだと思う。もしこれが恋愛段階1くらいの関係だったら、多分いくら押してもノアは話してくれなかっただろう。
ノアの中に「アンジュになら話してもいいのかもしれない」「話してみようかな」という気持ちが芽生えていたのは間違いない。そして、そのためらいを見逃さずに踏み込んだアンジュの大勝利と言える。
ノアが周囲を拒絶する理由は、その壮絶な生い立ちにある。
生まれつき強力な闇のサクリアを持っていたノアは、自分でも気づかないうちにその力で周囲の人間を眠らせてしまう。眠りに落ちた人間は二度と目覚めない。つまり「死」である。
その力はノアの意志に関わらず行使されるのだが、残酷なのは「ノアに近づく」という事が力の発動条件になっていることだ。
つまり、ノアに好意を持つ人間、ノアが好意を持った人間ほど「ノアに近づく」という条件に引っかかりやすいのだ。
だから、ノアの力の最初の犠牲者は彼の身内である。家族が亡くなり、その後、ノアを引き取った親族も次々に眠りに落ちる。「これはおかしい」と気づいた誰かによって、ノアは「悪魔の家」という施設に収容される。
そこの運営形態とか経営者とか職員とか、ノアの他にどういう人間が収容されていたのかなどは、何もかも謎である。
だがそこが劣悪な環境であったことは間違いない。なにしろノアは格子のはまった狭く薄暗い部屋で「悪魔の子」と呼ばれ、食事は皿に入れたものを床に置いて与えられていたのだ。間違いなく、歴代ネオロマ男子の中でもトップクラスの過酷な生い立ちである。
ノアの佇まいからして、彼にはつらい過去があり、酷い環境で育ったのだろうと予想はしていたものの、想像以上に重かった。
ノアは自分をそういう境遇に落とした人間を恨むのではなく、そんな力を持った自分自身を嫌悪しながらそこで過ごす。そして「もう限界」となったあたりで、ようやく聖地から迎えが来る。
もうちょい早く見つけてやれよぉぉぉぉ!!マジで!!
と宇宙意思の胸ぐらを掴みたくなる。
聖地に来て初めて、ノアは自分の異能が闇のサクリアによるものだと知り、他の守護聖たちは自分のそばにいても眠らない事に気づく。
だから普通なら、聖地はノアにとって安息の場所であるはずだ。だが、その事に気付けないほどノアは自分に絶望している。自分と関わって死ぬ人間を多く見すぎたためだろう。何人もの人間を死に至らしめた罪悪感と、それをした自分への嫌悪でいっぱいなのだ。
また彼は、自分のそばに来た人を殺してしまうかもしれないという恐れをずっと抱えている。
そんな中で女王試験が始まりアンジュと出会ったのだ。

ノアの過去を知ったアンジュは「気づいていないだけで幸せは自分のすぐそばにある」という青い鳥の話をするのだが、その話は、ノアに自分が今いる場所を肯定させるきっかけとなる。
私はこの夜のイベントがすごく好きだ。
ずっと他人と接するのを怖がっていたノアが、自分から誰かに触れたいと思って初めて行動するシーンだからだ。彼がおすおずとアンジュの手を握ったのは照れているからではなく、「触れたら彼女が死んでしまうのではないか」という恐れのためだ。にもかかわらず手を取って夜が更けるまでそばにいる事を望んだのは、それだけ彼女の言葉と、手から伝わる温かさが嬉しかったからだろう。

後日、ノアのそばでうたた寝したアンジュは闇のサクリアに捕まって眠り死にしそうになるが、見事それをはねのける。
ノアは、なかなか目覚めないアンジュを泣くほど心配してくれるのだが、当の本人はピンピンしており「ぐっすり寝てスッキリした」「闇の力は必要だよ」みたいな事を言う。
死ぬ気配がまったくない。
ノアはアンジュがちゃんと目覚めてくれて、どんなにホッとしたことだろう。闇の力は必要だと言い切ってくれた事も嬉しかったに違いない。
こうしてノアは、自分の居場所とすでにあった幸せに気づかせてくれた上、闇のサクリアにも囚われなかったアンジュへの思いを自覚し、告白に至るのだ。
女王試験については、元々特に熱心ではなかったというか失敗してもいいとすら思っていたノアなので、「君は女王にむいてるから、宇宙のために一緒に頑張ろう!ファイト!」などと背中を押すようなことは言わない。「ここで諦めるのもいやだよね、これまで頑張ってきたんだし続けたら?」くらいのテンションなのがノアらしくて良い。
エンディングではノアが未来について、自分のこれからについて話している。
それだけでも「良かったねええええ!!」と思うのに、スチルではノアがアンジュにくっついていて、彼がもう「彼女に触れたら死なせてしまう」と怯えていないことがわかる。
それにノアは恋人になると、わりとグイグイくる。
それは思いが通じた途端、手を握るだけじゃ嫌になっちゃったと一気にキスまで進展したことからもわかる。
今まで人に触れることをしてこなかった分「アンジュにいっぱい触れたい」という気持ちが抑えられなかったんだろうなと伝わる、いいエンディングだったと思う。

ノアの良さは、おずおずしてはいるもののオドオドはしていない所だ。嫌なことははっきり嫌と言うタイプなのである。
自分に対する嫌悪感は持っているが、かといって押しが弱いわけではなく、他の守護聖にももちろんアンジュにも意外とはっきり要求を口にする。
「○○していい?」のあとに「…だめ?」という確認が来たら、ノア推しは「だめなわけがありません!!」と直立不動で心臓を捧げるポーズを取ってしまう。それくらい破壊力がある。
おずおずと遠慮がちに、でもちゃんと自分の要求を通してくるあたりに、ただの可哀想なかわい子ちゃんではないノアの押しの強さを感じて私は好きだ。
あと私が好きなのは、ノアの喉仏と首の線、そして拳を固めた時に手の甲に出るスジだ。
すまない、一気にマニアックになった。
バースに帰省すると、守護聖はバース風の衣装にチェンジする。その時のノアの衣装はパーカーだったのだが、普段の衣装では見えない首元が丸見えになっていた。
つまりだ。
喉仏が出ている。
しかもその時のノアは横を向いているので、首の線がよくわかるのだ。
お、男らしいじゃないか…!!
エンディングでキスするときににもその首すじがちらりと見える。
これらのシーンで、それまで可愛いとしか思っていなかったノアを「かっこいい」「色っぽい」と思い直したプレイヤーは多いのではないだろうか。
私もその例にもれず、「この喉仏を我が大陸の国宝に指定しよう」と思った。

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