金色のコルダオクターヴプレイ記 王崎ルート感想

おそらく、オクターヴをプレイした100人中150人が「キャンプメンバーが「世界の王崎」って言い過ぎる件」と思ったのではないか。私だけ?
いや、響也を始めとして向こうのメンバーは真面目に王崎をリスペクトしているし、私だって王崎先輩マジすげえと思っている。だが、あの語感が妙に笑いを誘うので途中から何度も「やめろー!王崎の頭に「世界の」をつけるのをやめろー!!」と思った。
ただこんなことを言ってはいるが、私がフェスタルートをやってみて一番株が上がったキャラは今のところ、この王崎である。
王崎は第一作目から出ているし、優しく穏やかで頼りになり、おまけにヴァイオリンの腕前はコルダ界で一番、しかも偉ぶらずに趣味はボランティア。
全く隙がない。
物事や人物にわりと辛辣なコメントをしてくる柚木でさえ誉める逸材、それが王崎だ。
しかも高校生組に比べて攻略が易しい(2なんて電話さえちゃんとしてれば攻略できる)。
しかし、この攻略しやすさと人畜無害ぶりが、ゲームというフィールドで、今まで私の気持ちを奮い立たせなかったとも言える。
メガネに捨てキャラ無し。
乙女ゲーム界の常識である(ということに私の中ではなっている)が、並みいるメガネの中で王崎だけは今まで私の琴線にはあまり触れてこなかった。
乙女ゲーのメガネキャラは、真面目すぎて空回ったり、真面目すぎてぶちギレたり、語彙が豊富すぎて名言をドロップしたり、ネオロマ初のダブりキャラだったり、フリマでずっと体育座りしてたりと、とにかく「何か」を持っているのだが、王崎にはそういうのが無かったからだ。

このオクターヴでも王崎はいつも通りだった。現実世界ではいつも通り=地味な感じになってしまいがちだ。
ただし、オクターヴのように異世界が舞台で「見知らぬ場所に来ちゃってどうしよう」という状況では、それが凄まじい魅力になる。つまり、それが王崎の魅力でもある。
王崎はどうやら3つほど若くなったらしいが、私が目を凝らしても何一つ外見が変わって見えない。
王崎自身は何度も「輪郭が」とか「少しだけど変わった」とか言ってくる。若返ったことに少しはしゃいでいるように見えた。
いや、何一つ変わってないです、先輩。
そう思ったのだが、クラスタなら違いがわかるのだろうか。ただ、王崎は8年後もあまり変わっていなそうな気がする。
変わらないというのは、安心感をもたらす。オクターヴで私が王崎に感じた魅力はそこである。
外見もさることながら、どんな場所に来てもどんな相手でも、王崎の態度は変わらない。それがこの場合は「頼もしい」となる。土浦や火積のように身体を張って守ってくれそうな「頼もしい」とはまた違う。王崎は常に精神が安定しているので、こちらも落ち着くのだ。キャンプメンバーに誉めちぎられても、人外であるところの妖精に対しても、態度が何一つ変わらない。
最強かもしれんな、この人。
何度もそう思った。何事も異世界に飛ばされてみなくては気づかないものだ。
そして王崎の真骨頂が、優しすぎて女の子を勘違いさせその気にさせちゃうイベント。
出たー!!
この流れは無印時代から連綿と続く王崎ルートの定番だ。しかも今回の被害者は人間ではなく、妖精。
さすがは世界の王崎(何度でも言いたい)。スケールが違う。
そして、王崎の優しさを勘違いした女のたどる道は、ヒロインにケンカを売って勘違いを王崎本人に正される。これである。
つらい。
特に今回出てくる妖精ニーナは、自分とは違う種族である人間に恋したわけで、王崎との両想いを勘違いしてしまった時点で、きっと家族の反対や種族の違いなども想像しただろう。
つらい。
しかし、プレイヤーは日野。ニーナに感情移入したい気持ちを、ここはぐっとこらえよう。
この展開で、王崎本人が最後まで恨まれないのがまたすごい。しかも、他の女の子(この場合は妖精だけど)に「勘違いさせちゃってごめん」と言った後、こちらにははっきり「君が好きだ」と言ってくれる。王崎は結構ずばりと言ってくるタイプだ。
元の世界に帰ったら、王崎はウイーンに戻ることになるのだろうが、留学が決まっていて同じように離ればなれになる予定の月森よりも切なさがない。
それは王崎がどこにいても変わらないと、日野が確信しているからだと思う。
突然異世界に行っても変わらなかった男が、ウイーンごときで変わるわけがないのである。

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