金色のコルダオクターヴプレイ記 火原ルート感想

さて火原ルート、これがクリスマスコンサートの後ということは、火原は教師になるという夢を抱いて受験に臨む直前である。星奏大学は私立なので入試は早い。つまり、約一ヶ月後に人生の大勝負を控えている大事な時期だ。
柚木も同じ立場だが、彼の場合はとっくに対策をとっていてどこを受けても大丈夫な状態である。
ハルモニアで過ごした時間は現実にはなかったことになるのだから、受験生にとっては朗報である。
火原もやっぱりちょっと浮かれて、フェスタを満喫したり魔法のいたずらトランペットで遊んだりしている。ただ彼は真面目なので、それが受験からの逃避なんじゃないかと考えて、そんなことを考える自分ってやつは…もっと早くちゃんと勉強しておけばよかったと反省スパイラルに陥っている。
そんな火原にかける言葉は、
火原はよくやっている、今からだって遅くない、火原みたいな先生に教えてもらいたい。でも、火原らしく音楽を楽しむことも忘れないでほしい。
これである。
うん、いいこと言った!
火原もこの言葉に納得し「わかった!頑張る!」となり、「火原との心の距離が縮まりました」となる。
それはいい。
ただ、問題はこれを言って励ましたのがヒロイン日野じゃなくて柚木だということだ。
どう考えても火原と日野というより、火原と柚木の心の距離が縮まっている気がする。3Bの仲の良さはよくわかったから、こういう大事な場面ではヒロインに花を持たせてやれよと思わないでもない。
そして霧の中で離ればなれになった時、火原は「楽しんで吹かないと良い魔法が出ない」という魔法のトランペットで見事にロープを出して塔の外壁をよじ登り、塔に閉じ込められた日野を助けてくれるという流れだ。
縄であれをよじ登った上に、日野を支えて地面まで降りる火原。さすがは八木沢の恩師である。トランペットから縄が出せるかどうかより、その身体能力が頼もしすぎるし、これが柚木や志水や月森ルートじゃなくてよかった。魔法のフルートやヴァイオリンからロープが出たとしてもどうにもできず、日野は永久に塔から出られない気がする。

火原のルートはオクターヴならではの魔法グッズも登場するし、後輩とのやり取りもイベントに組み込まれている。
まさかここで「長嶺」の文字を見るとは思わなかったという者も多かったのではないだろうか。柚木とのやり取りも見られ、火原の照れ顔は可愛い。
盛り沢山ですごく良いルートだと思える。
しかし、しかしだ。
火原クラスタに土に埋められる覚悟で言うが、私はこのルートにそれほど惹かれなかった。
というのも、このルートの主軸は「受験を前にして悩む火原」だったり「これまで楽しさだけで、深く考えずに生きてきた自分を反省する火原」だったりする。
そして柚木に励まされたり日野に励まされたり試練にあったりした火原が、自分らしく焦らず一歩ずつ進むことを決意するという流れである。
良い話だ。
ただ、思ったのだ。
この流れは前にも見たことがある、と。
このルート、魔法グッズと3キャラが加わってはいるものの、2の火原イベントと流れが似ているのだ。ついでに言うとアンコールでも似たような流れを見た。
つまり、コルダ未プレイ勢や無印しかやってない勢以外はこのルート、良く言えば「安定感がある」悪く言えば「マンネリ」と思ったのではないか。
マンネリというなら月森のヴァイオリンロマンスもそうなのだが、あれはそもそもコルダの大本にあるイベントというか、「殿堂入り」というか、「月森の鉄板芸」の域に達しているヤツだ。何より、恋に纏わる伝説でもあるから何回見ても「良い」と思う。
それに対して火原のそれは恋が絡まない「受験」や「火原の悩み」を取り上げているから、何回見ても楽しーい!という訳ではない。火原クラスタならこれにも百点満点金メダルだったのだろうか。
私個人の感想として、火原のルートは、火原のポテンシャルを引き出しきれていなかった気がして残念だった。むしろ、共通ルートや別ルートの方が「やっぱり火原はいいなあ」と思わせられた。
とはいえ、さすがにエンディングは良かった。いかにもフェスタを楽しみそうな火原が、日野と二人で教室に行って将来の事を話すところなど、現実の卒業式後の二人を彷彿とさせた。

もしも、このルートで火原の悩みを主軸に置きながら彼の良さを引き出し、さらに恋愛を絡ませるのなら、登場させる3キャラは水嶋コンビよりも適任がいたと私は思う。
土岐と榊である。
以下は私が妄想した架空の火原ルートだ。

日野に対してもいつもの調子で接する土岐と榊。二人は火原と同じ歳なのに大人っぽくてしっかりしているように見えるし、日野に対する態度もスマートだ。
二人とも進路は決まってるし勉強も順調に見え、日野への態度は自分には逆立ちしても出来そうにないものだと、彼らと自分を比較して落ち込む火原。
そこで日野が「そんなことない、火原先輩は素敵です」みたいなこと(ここで選択肢が出る)を言って励ます。→日野ちゃん!おれ頑張るよ!→塔に閉じ込められる試練→ロープ

…という感じが良かった。
イベント途中でズッ友の柚木が、土岐と榊に笑顔で牽制球を投げている描写が入ってもいい。
そういうのが見たかったなあ。
いや、今回はホント、感想というより私の幻覚(よく見る)の話で申し訳ない。

私の推しは土浦だが、コルダの中で誰かと結婚させてやると言われたら火原がいいと常々思っているし、なんなら息子にしたい。
だから、このルートに満足できなかったのは、私の中のモンスターヒハラペアレント的な思いのせいかもしれない。
だからこそエンディングを見た後、「これじゃあうちの子(火原)の良さが出しきれてなかったんじゃないザマスか?」と、かけてもいないメガネの縁に手をやり、隣に立った同志(柚木)に「ねえ?」と同意を求めてしまうのだった

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