三国恋戦記プレイ記 翼徳ルート感想

※これは2010年にブログに書いたものです。

攻略4人目は翼徳。
彼は天津爛漫で裏がなく、明るく無邪気な可愛いタイプ。だが、中身がそんなんなのに強くてでかい、良い意味でギャップキャラ。
ただ、「張飛翼徳」といえばどうしても酒豪で酒癖が悪いイメージがある。
乙女ゲーとして、あの酒癖の悪さをどのようにクリアするのか、もしやそこはスルーかと思っていたのだが、なんとちゃんとシナリオにぶっ込んできた。それもすごくいい感じの仕上がり。翼徳はあらゆる場所でギャップを駆使してときめかせてくれる。酔っ払って押し倒してきたかと思えば、別れの時にはぼろぼろ泣いて、しかし蛇矛を手にすれば強さは無双。
それに、翼徳はなんというか、原作の張飛ファンにもお勧めできるのだ。
私はこれまで3人をクリアしたのだが、その3人(仲謀、公瑾、文若)を、本家「三国志」のファンで、かつ仲謀、公瑾、文若が好きな女性にもお勧めできるかどうかと言えば微妙なのである。これは、恋戦記のキャラがいいとか悪いとかそういう問題ではない。
例えば「三国志」の「孫権仲謀」が大好きな人間が恋戦記の仲謀を見たら、これはゲームだ「三国志」とは違うと頭で分かってはいても「なんで孫権様がこんなに喧嘩っ早そうな性格なんだ?」と戸惑うことだろう。乙女ゲーであるという前提だから外見のことでは譲れても、中身についてはなかなか譲れないはずだ。一般的に、孫権は熱くはあるが沈着な智将というイメージだからだ。
公瑾にしても「彼はもっと熱い男だよ!」とか色々あるだろう。これは理屈ではない。他の登場人物については譲れても、自分の「三国志」の推しについては、あまりにもイメージからかけ離れてしまうと、別物だとわかっていてもやっぱり文句の一つも言いたくなるのである。
ちなみに「三国志」の私の推しは夏侯惇と張遼だ。私はこのゲームの夏侯惇元譲にはおおむね満足しているが、これでもし彼が策士っぽくて腹黒い性格に設定されていたら怒る。
三国恋戦記が「三国志」ファンよりも、「三国志」に詳しくない人への方が圧倒的勧めやすいのはそのためだ。
特にこれから攻略予定の孟徳など、あまりにも既存のイメージからかけ離れ過ぎていて、仲謀どころでなく曹操ファンには勧められない。
しかし、この翼徳はいい。他のキャラと違って、これなら張飛ファンも許してくれるだろうと思わせられる絶妙なキャラ設定。
外見は乙女ゲーであることを考慮してもらう(まさか虎髭にするわけにはいくまい)としても、中身がすごくいい。無双の強さや酒癖を始めとして原作のイメージを入れつつ、しかも少女漫画要素を盛り込んであるからだ。
それに、小難しい戦略系の話ではなく、翼徳ルートは全部のイベントが気軽で楽しい。

4人クリアして気付いたのだが、基本的にヒロインは「犠牲者が出ないように、勝つためには…」と願って本を使うことが多いので、城攻めとか撤退戦ばかりに絡んでくるようにシナリオが組んである。
どうしても大量死が避けられない「赤壁の戦い」では花ではなくて孔明が前面に出てくるし、「合肥の戦い」という孫権仲謀がこてんぱんに敗れた戦では「勝てますように」ではなく「仲謀が死なないように」という具合に作戦の趣旨が変わっている。戦に関わるというのは、やっぱり重てえ話なのである。
たが翼徳ルートの場合、そういう人死に沢山が出るでかい戦ではなく、盗賊とか人攫いとか治安を乱す悪い奴らを取り締まる、みたいな戦いが多いので、ものすごくわかりやすいし気が楽だ。
過去に飛ばされた時も「帰れなくてもまぁいいか」という気分になった。文若に爪の垢でも飲ませたいくらいの順応ぶり。
最初は全然興味のないタイプだったが、大いに株が上がった翼徳ルートである。


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