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フィレンツェのBARで考えたカルチャーギャップ

フィレンツェを歩いて観光している時に雨がひどくなってきて、ちょうどランチ時だったし、適当に目の前にあったBARに入りました。

私: Buongiorno!  英語のメニューありますか?
店員さん: メニューはないんだよ。何を食べたいの?

日本だと、お店に入ってメニューを見て、全ラインナップに目を通して、その中から食べたいものを選んで、値段も見てから注文を決めますが、このお店はそうじゃなかったです。文字になっているメニューがなかったんです。

一瞬戸惑いましたが、「チキンと野菜が食べたい」と伝えたら、「OK あのテーブルに座って待っててね」と。

なかなかの席数があるのに、一人でお店を切り盛りされていて、しばらく待っていると鶏むね肉のソテーと山盛りの人参サラダが出てきました。オリーブオイルとバルサミコ酢とお塩も。
パンも要る?と聞かれたので、うんと答え、食後にカプチーノもいただきました。

メニューがないから、もちろん値段は分からないまま席について、出てきたお料理をいただきました。食べている途中で、「あれ?これっていくらなんだろう??」と我に返ったのですが、BARだからそんなに高くはないだろうと踏んで、値段は気にしないことにしました。そもそも、もう食べているから気にしても仕方ない。
支払は11.50ユーロだったので、フィレンツェのランチ相場より安かったと思います。

文字のメニューがないから、私よりも後からお店に来たお客さんには、ランチパターンを3つくらい口頭で説明して、お客さんはみなさんそれぞれ1stと2ndを選んでいました。私には分からないイタリア語会話なので、憶測ですが。

常連客風の方は1stでパスタを食べて2ndでお肉料理を食べていました。
イタリアの食事について旅行前に調べていたので、前菜、第一の皿、第二の皿、デザートという流れだと読んでいて知っていたのですが、目の前で見ると、ボリュームにびっくりしました。

お店は一人で切り盛りしているので、雨宿りがてらコーヒー飲みにきたお客さんが入ってくると、常連風のお客さんがキッチンに向かって「ルイージ、お客さんだよ」と叫んで教えてあげていました。
ルイージさんは慌てる様子はなく、自分のペースで歩いてバーカウンターに戻ってきます。お客さんと挨拶してコーヒー作って、またキッチンに戻って他のお客さんのランチを作っていました。


選択肢の中から食べたいものを選ぶのではなく、自分が食べたいものを伝えるっていうのが、なかなか新鮮な経験でした。
どんなお皿が運ばれてくるのか、わくわくしながら待てたし、しかも美味しかった。
雨に濡れて寒くてどんよりしていたのですが、胃も心も満たされるランチがいただけてよかったです。


お客さんが待っているからと慌てることもなく、通常運転で対応しているのもいいなぁと思いました。一人で対応しているのだから、できることには限界があります。
日本の過剰な厚遇接客はちょっと違和感があるというか、逆に居心地が悪くなることがあるので、フィレンツェのBARでお店の人とお客さんのフェアな感じを見て、これが自然だよな、と思いました。


タイトル画像はミケランジェロ広場から見下ろしたフィレンツェの街並みです。この日は横殴りの雨でした。

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