見出し画像

今はなんでもドライブ・イン

先週末、久々に映画に行った。映画館はまだ閉まっているので、車で行って車の中から鑑賞するドライブイン・シアター。

これぞ、アメリカ!という感じがする。高校生の頃からはまりだしたハリウッド映画にはよく出てくるシーンだ。アメリカの高校生や大学生はこういう風に女の子をデートに誘ってキスするのか、とか思いながら見ていた。高校生が車運転って、私が高校生だった頃の日本ではありえなかった。今はどうなんだろう。車の免許はまだ18歳から?

そんな私が高校を卒業してアメリカに来てからもう四半世紀経っていますが、何を隠そう、先週ドライブインに行ったのが初めてだった。なかなか面白い。

午後7時半からの映画を観るべく家族3人でお出かけ。映画は夫と私が観たいもので、息子ちゃんは飽きるだろうと思っていたので、前もって彼は飽きたらアニメを観れるようにしておく。そして夕食をお持ち帰り用に注文し、それをピックアップして現地へ向かう。

ここのドライブイン・シアターのことを教えてくれた友達が、結構混むから30分から45分ぐらい早い目に行くのがいいよ、と教えてくれた。ちょっと遠いので余裕を持って出発。そしたら、1時間も前についてしまった。いつも何かと遅れがちな私ら家族が1時間も前に着くなんて?! 待ち時間を持て余すかしら、なんて思ったが、車を定位置に止めて、トイレに行って、さぁ、ごはん食べましょう!なんてやってると1時間はあっちゅう間に過ぎた。

観た映画は、”Nomadland”というタイトル。主人公の中年の女性は、ご主人を亡くし、それまで住んでいた街は植物の肥料に入れられるジプサムを採取するためにできたような街で、景気が悪くなったために採取工場は閉鎖され、人々は仕事を失い、次の仕事も見つからないようなどうしようもない状況に陥る。そこで彼女はその街を去る決心をする。なんだけど、どこへ行くという目的もないし、次の仕事もないので、バン(ミニバンのようなのではなく、配達に使われるようなバン?)を購入し、それに住みながら、現代の季節労働者として例えばクリスマスシーズンの始まる辺りにアマゾンの配送センターで数週間働き、夏にはキャンプ場の管理人をし、という生活を送る。そんな生活をするうえで知り合った人々の生き方とか、言ってみれば世捨て人みたいになった彼女の話など。役者さんも出演しているが(主役の女性)、大概は実際にそういう生活をしている人々をドキュメンタリー風に映し出している。

ハッピーエンディングでも、絶望エンディングでもなく、観た人それぞれが、今の自分の生活と重ね合って、今一度考えてみたり、というくくり方をする。

こういう考えさせられる映画は好きなんだけど、あぁ、考えたくないこと、というか正面から向き合いたくないことがたくさんありすぎるのよね、と自覚する羽目に。だから息子ちゃんとスピードレーサーのテストストロンだらけの映画をみてスッキリ気分良くなってるほうがよっぽど寝つきがよい。

それはさておき。

ドライブイン・シアター初体験だ! なんてはしゃいでいたら、今朝友達メッセージが。

今日の4時ごろ開いてる? 僕の誕生日会をするんだけどさ、ドライブ・スルーなの。

なんと、ドライブ・スルー・お誕生日会のお誘いが来ました。彼の奥さんが計画してくれたものらしい。ドライブ・スルー・お誕生日会も初体験だ。一体どんなもの?と聞いたが、彼も、「さぁ、そのあたり僕も良く想像つかないんだよね~」とのこと。

即答で行きます、と返事した。

到着するとおうちのガレージの前に風船やら垂れ幕(祝50歳!)がかかっていて、大人や中学生、高校生ぐらいの子供たちが20人ぐらい、散らばって立っている。

なるほど、ドライブ・スルーっていうから、テクストで「着きました」みたいに連絡し合って、窓越しにプレゼント渡すのかしら?なんて思っていたけど、そうではなく、車を止めて、ソーシャルディスタンス取りながら話をする、という感じだった。それで私らも車を止めて、挨拶をし、知り合いが数人いたので彼らと「最近どうよ?」みたいな話をし、30分ぐらいでおいとましてきた。

お誕生日会にもドライブ・スルーがあり得るなんて。COVIDはさっさと収まってほしいが、みんなそれぞれクリエイティブだし、そういう意味では打たれ強いのかも、と思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?