嫌いな人

昔、いやそんな昔でもないけど、嫌いな人、苦手な人がいた。直接「お前はなんなんだ」って怒られたり、誰かに「あの人があなたのことこんな悪く言ってるのよ」って言われたり、言われることが嫌なことだったり、なんかそんなことがきっかけで、人を嫌いになっていた。

人を嫌いになると、その人を遠ざけるようになる。どこかで見かけても、話しかけることはなくて、避けるようになって。そうすると、心の中でその人への憎しみはどんどん大きくなるのだった。

でも、ふとしたことで誤解が解けたり、時間が経って「まあいいや」と思えるようになったりして、またその人と話すようになると、ものすごく気持ちよくなるのだ。大きな氷が溶けた後に綺麗な水が流れるように、「元気?」「最近どう?」「このまえTwitterでなんとかって言ってたの見たよ」なんて話すようになると、めちゃくちゃ楽しい時間が過ごせるようになる。そしてその相手の人も、ものすごく優しく接してくれるのだ。その時間は、すごく幸せで、「愛」を感じる。

世界は愛で出来ていて、それを見失ってしまうと、憎しみとか黒い感情にとらわれていま生きている時間がすごく嫌なものになってしまうんだと思う。

なんでこんないい人のことを、嫌いだなんて思ってたんだろう。自分の考えはすごく視野が狭かったし、しょうもないプライドを守ろうとしていたし、つまり人間の器が小さすぎたし、ほんとに馬鹿みたいだった。

でもいま、こうしてその人と話して、気持ちいい時間を過ごす。それは本当に幸せなことだ。これからは、黒い気持ちにとらわれて世界に流る時間を淀ませたりしないようにしていきたいなあ、と思うのであった。


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