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テセウスの船:ワンダヴィジョンを見てボロボロ泣いた

「ワンダヴィジョン」とはマーベル映画、MCUシリーズのドラマだ。「エンドゲーム」から2年、ついに出たフェーズ4の作品なわけなのだが、これがもうとんでもなかった。

あらすじ:観る者すべてを騙す超現実スリラー・アクション。マーベル・スタジオ初のオリジナルドラマシリーズ。「アベンジャーズ/エンドゲーム」後の世界を舞台で、スカーレット・ウィッチ / ワンダ・マキシモフとヴィジョンは、とある郊外の町で幸せな日々を過ごし、夢のような理想の結婚生活を送っていた。しかし、死んだはずのヴィジョンがなぜ幸せな生活を送っているのか。隠された謎が徐々に明らかになっていく。

ワンダ・マキシモフは不幸な運命のヒロインだ。10歳の時に故郷ソコヴィアの爆撃で両親を亡くし、双子の弟 ピエトロと二人で生き残ってきた。双子は救助されるまでの2日間、家のがれきに埋もれながら、 目の前にあるいつ爆発するとも知れない不発弾(アイアンマンの会社が作った爆弾です)を見ながら生き延びた。

そこから復讐(ワンダいわく「世界を変えるため」)のためにテロ組織ヒドラに入り、スーパーパワーを持ったワンダとピエトロは大活躍。アヴェンジャーズと対決するが、そのいざこざでピエトロは命を落としてしまう。家族を亡くしたワンダはアヴェンジャーズの施設に引き取られ、ただ呆然とする日々を過ごしていた。

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そんな彼女の悲しみに寄り添い、良き話し相手から大恋愛へと発展していったのがヴィジョンだ。ヴィジョンはアイアンマン(トニー・スターク)が作ったアンドロイドである。もともとは彼をサポートする人工知能“J.A.R.V.I.S.(ジャーヴィス)”として、声として生まれ、そこから人工生体ボディを得て、究極のシンセゾイド(人造人間)となった。

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二人は惹かれ合い、めでたくカップルとなったのだが、アヴェンジャーズ最後の戦い「エンドゲーム」でヴィジョンは命を落としてしまう。親を奪われ、兄弟を奪われ、愛する人まで失ってしまったワンダ。

なのだが、この「ワンダヴィジョン」では、死んだはずのヴィジョンが、アメリカ郊外の小さな街でワンダと幸せな日常を送る様子が描かれる。いわゆるシットコムというやつで、観客の笑いがワハハと入るラブコメ・ドラマだ。なぜだかわからないが、二人は50年代風で出てくる。スピンオフだから?

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それには底深い理由があり、その謎が徐々に、徐々に明らかになってくる。完璧に見えた世界にほころびが見える時。その世界のほころびから新しい世界を垣間見る瞬間に、視聴者は戦慄する。

■人を愛するってなんだろう

人を愛するってなんだろう。これは私が以前から延々考え抜いているテーマで、まあ「余人を持って代えがたい」ということなんだと思うのだが、その「余人」はどこまでを含むのだろうか?

その人の意識が完全に再現されている人工知能音声はその人か?その人の身体に全く違う魂が入っている場合には?全く違う身体にその人の魂が入っている場合には?何を持って「その人」を「その人」たらしめるのか、どこまでが「その人」で、どこまでが「その人」なのか。

愛する人を亡くし、泣いている人になんて声をかければいいのか。「わかるよ」なんて気安い慰めは言えないし、その人の傷はその人自身が癒やすしかない。

「ワンダヴィジョン」は、「人を愛するとはなにか」というテーマをシットコムからサスペンスへというなだらかな亀裂と変遷によって目の前に突きつけてくる。気づけばもうドラ泣きである。愛とは何なのか、愛とは何でできていて、どういう場合に成立するのか。ワンダという女性を通して、たくさんのことを考えさせてくれる傑作です。

久々に浴びるマーベル、これだからやめらんねえ〜〜〜

ぜひみなさんディズニープラスに入って、見てみてください。

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