ソウルキャリバー4
以前プロゲーマーさんに取材したことがあった。プロゲーマーなのでいろんなゲームを沢山やっているのかと思いきや、ストリートファイターならストリートファイターだけしかやらない。一日に何十時間も一人で練習して、気分転換にネットで対戦する。もう一つゲームを増やすこともあるけど、基本的に、他のゲームをやると手が動かなくなってしまうのでやらないのだそうだ。そういう話を友人とした。
「むかし月収7千円の頃があったんです」(年収7千円の頃があった某大谷氏の話はこちら)
「月収!何して暮らすの?」
「とにかく家に引きこもって、ネトゲの格闘ゲームをやってました。その頃住んでた野方ってところはすごく生活費が安くって。家賃が4万8千円、食費が2万円で、10万円あれば貯金もできる、みたいなところだったので」
「ネトゲって課金とかあるんじゃないの?」
「課金をすれば強くなれるんですが、お金がないから課金なしで、何千時間もプレイして自力でやってました」
「何ていうゲーム?」
「『ソウルキャリバー4』っていう格闘ゲームです。他のゲームはやりません。これだけ。」
「はー。ネトゲって、世界中の人と対戦するんでしょう」
「そうです。格闘ゲームなので、対戦が申し込まれて、世界中にいるどこかの人と一対一で戦うんですが、最初の2手で勝負が決まるんですよ。相手が入ってきて、向こうが最初の手を出した瞬間に、”こいつはどの国に住んでいる何歳ぐらいの人で強さはこれぐらいだ”っていうことがわかるんです」
「やりこみすぎるとそんなことまでわかるんだ」
「わかります。始まった瞬間の2手で全部決まってしまうのは誰とやっても同じです。あとはどうあがいても勝つか負けるか。劇的な逆転というのは起こらない。最初に手を合わせたときに全てが決まっている」
「宮本武蔵みたいな世界だね」
「僕が使っていたキャラクターは2種類で、キャラクターによってコントローラーを3つ使い分けていました。手が覚えてしまうので、コントローラーを分けないとキャラクターによって瞬時の判断ができないんですよ」
「完全にプロゲーマーだ」
「ひたすらやってるうちに強くなって、4万人のユーザーのうち3000位ぐらいまでいきました」
「それでよく戻ってこれたね」
「ある日プレステが壊れたんですよ。これは現実に戻れってことだなと思って、それをきっかけに全部やめました」
2017.3.3 串カツ田中 恵比寿店にて
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