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夫のコレクションを勝手に捨てる妻について

目黒のスタバにはスターバックス リザーブ®という、専用のカウンターで、目の前でバリスタさんがスペシャリティコーヒーを淹れてくれるというサービスがある。スペシャリティコーヒーなのでえらく高い。一杯1200円みたいなコーヒーもある。

土曜の昼下がり、そのスタバに行ったところ、リザーブのカウンターに夫婦と思われる二人が座っていた。男性はすごく物静かな感じ。女性はしっかりした感じ。二人とも立派な身なりをしている。マイペースに、満足気にそのスペシャリティコーヒーを飲んでいる男性。奥様と思われる女性のほうは手持ち無沙汰そうに隣に座っているのだが、全身から「なんでこの人わざわざこんな高いコーヒー飲んでるのよほんと意味わかんない」というオーラが出ている。

旦那さんはほとんどしゃべらない。ただにこにこしてコーヒーをすすっている。でもとても楽しそうだ。若い女性の店員さんが豆の説明をしている。旦那さんは「インドネシアの豆って酸味が...」と、コーヒーのことに関してはちょっと饒舌になっている。世界各地で微細な豆の違いがあって、そういう世界にちょっと詳しくなるって、仕事のストレスとかから離れることができてすごく面白いことなんだと思う。いっぽうの奥様は「フーン」って感じである。

その二人を見て、インターネットでよく見る「夫の趣味のコレクションを捨てる妻」のことを思い出した。元祖は多分有名コピペの「夫の鉄道模型コレクションを勝手に処分した」あたりで、ついこの前も家にあった自転車を、「風水に詳しいママ友が捨てたほうがいいっていうからママ友に立ち会ってもらって処分した」という「夫の自転車を断捨離した」が話題になっていた。

そういうのって奥さんがすごく寂しかったんだろうなと思う。豆の微細な違いについては興味があっても、自分には興味を向けてくれない。旦那さんも悪気があるわけじゃないし、奥様のことはすごく好きなんだけど、それが伝えられていないだけだ。でも奥様からすると、自分にはまったく興味がないように思えて、不満を募らせることになってしまう。

なんでだか知らないが、女の人は自分の側にいてくれる時間がより長い人により思い入れを深くする傾向がある。男性からすると「役割を果たすために必要なことだから奥様も当然わかっているだろう」と思っていても、女の人からすると「事情は知らない。時間を作ってくれない=興味がない」になってしまう。夫の自転車を断捨離した奥様は、風水に詳しいママ友が自分と時間を過ごしてくれるから、自分を顧みない旦那様よりも、ママ友のほうにおもねて自転車を捨てたのだ。

おそろしいのは、いくら高価だったり手間がかかるような気遣いをしたとしても、「実際に会ってコミュニケーションする時間」をつくらないと「ああこの人わたしに興味ないのね」と見なされることだ。いくらたくさんメールを送っても、高価なプレゼントをしても、「一緒に行動してコミュニケーションしてくれる時間」がないと、女の人にとってそれらの贈り物は無価値である。そうすると、男性側で「こんだけやれば150ポイントを稼ぎこれまでのマイナス点もチャラになるだろう」と見積もった贈り物であっても、女性側においては均一点の1ポイントしか加点されない。

もうすぐクリスマスだし、普段は忙しい男性も今年は一緒にいる時間を女性にプレゼントしてはいかがでしょうか。

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