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魔法の言葉

この前友人のことを手伝ったところ(といっても何もしてない)、「ありがとう。すごく支えられました」というお礼の連絡をもらった。

支えになる!!

なんという素晴らしい言葉。

今まで100回ぐらい、いやそれ以上、イベントだったり会社の仕事だったり、簡単な用事だったり、誰かが何かをするのを手伝ってきたけど、「支えになった」と言われたのは初めてだった。そういえば会社を立ち上げるとか四日間お風呂に入れないとか何か大きなものに立ち向かうとか大変なこともあったけど、そんな時でも”支えになる”と言われたことはなかった。

人はすぐに慣れてしまうものだから、感謝というのはそもそも他人に対して思うのも大変なこと。それをさらに、言葉にして伝える事ができるのはさらに大変。でも、誰かに伝える事ができたら、その効果は絶大だ。そして、そんな風に他人に感謝の気持ちを伝えることが出来る人は、これから先も、ずっと大切にされると思う。

言葉というのは魔法みたいで、いまここで無から生み出されたたったひとつの言葉だけで、それまでの全ての時間が報われたような気持ちになる。10年でも20年でも100年でも、骨が折れて足が折れて何もかもを失うような大変な思いをしても、たったひとつの言葉で何もかもが意味のあることだったような気持ちになれることがある。

いま自分が誰かに対して思っていることは、なんだか伝わっているように思ってしまうものだけど、実は全然伝わっていない。だから、絶対、言葉にして伝えなくちゃいけない。あなたのこういうところが素晴らしい、こういうところが素敵だ、好きだ、ということは、ふとした瞬間に伝えるチャンスがやってくる。でもすごく当たり前のことに思えて、「まあいいか」とやりすごすと、そのチャンスはまるで風のようにどこかに消えてなくなってしまう。それで失ってから「伝えればよかったなあ」と嘆くことになってしまう。いつだって、だいたいそうだ。

言葉が素晴らしいのは、ひとに捧げるもののなかで一番コストが低いことだ。絵が描けなくてもいい、写真が撮れなくてもいい、映像を編集できなくてもいい。花束を買う手間もお金もいらない。目の前にいる大切な人に、その人が素晴らしいということを伝えるだけで、それだけでいい。気の利いた言い回しにしようとか、改まった言葉にしようとか、そんなことは考えなくてよくて、頭に浮かんだことをそのまま伝えるだけでいい。今までは出来なかったけど、これからそれが出来るようになればいいなと思う。

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