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エセ・フレンドリーな接客

スタバでたまにアメリカ発の「フレンドリーな接客」をがんばって取り入れようとしている子に会うことがある。「今日は寒いですね〜」「お仕事ですか?」「あっわたしもそれ好きなんです〜」みたいに話しかけてくれるやつだ。だいたいいつも、「君絶対そんなの興味ないしマニュアルに書いてあるから言ってるんでしょ...」みたいな感じでお客さんとの間になんとも微妙な空気が流れるのを感じる。わたしはそれを「エセ・フレンドリー」と呼びたい。

知らない人に気軽に話しかける文化がない日本でそれをやるのは大変なことだと思う。なんだか頑張りすぎてしまって、ウェットになってしまうのだ。コーヒーを売ってくれる人と買う人の関係なのに、これは、、、キャバクラかな?みたいな距離感を発動してしまうこともある。

なぜなら日本の接客業は「お客様は神様」みたいな感じで、カウンターの中と外では別世界の人間で話をすることも叶わないみたいな空気があるのに、その構造のままで「フレンドリーな接客」をしようとしているからだ。

日本以外の国だと、カウンターの中の人も外の人も同じ人間で対等である。というかたいていカウンターの中のほうの人の機嫌が優先される。ものを売ってくれないと困るのは消費者だからだ。店員が客をナンパしてくることもよくある。

日本の子は真面目だから頑張りすぎてしまう。本来はそういう風に、対等な人に「ちっす」みたいな感じで挨拶するくらいでいいのに、加減がわからなくなってしまうのだ。だいたいローカルショップにおける常連のおじさんとかにくらいしか発動できない「気安さ」というものを、「均一なサービス」としてスタバのような一見さんばかりのお店で適応しようとするからぎこちなくなって当たり前なんだと思う。

そういう子が暖かく迎え入れてくれようとしているときに、わたしはいつもうまく返事できなくて、「お、、おう」みたいになってしまうのも申し訳ないし、その子が「エセ・フレンドリー」によって生まれる微妙な空気にあてられてしまい、家に帰って「わああああ!!!」って自己嫌悪に陥ってたりしないか心配になったりして変に気を使う。どうかそういう子に幸(いい会社に内定とれるとか)がありますように

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